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ひとりになるということ。

 誰でも、ひとりぼっちになると悲しいものなんだろうか。大切な家族や友人と遠く離れた土地で、見知らぬ人間に囲まれて。1人で生きていくと決心する時、人はどう思うだろうか。
ワクワクするだろうか。
胸を張って生きている喜びを感じるだろうか。
悲しくてどうしようもなくなるだろうか。
不安でおかしくなってしまうんだろうか。
自分がなんで生きているのか、分からなくなるんだろうか。
それとも、その全部だろうか。

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 小さい頃からお母さん子で、
保育園に通っていた頃、お母さんの背中がどんどん遠ざかっていくのが、どうしようもなく哀しくて、寂しくて、怖くて、しばらく泣き止まなかった。周りの子は遊びに夢中。笑い声や叫び声が、もう溢れ出しそうなほど鳴り響く部屋の片隅で泣き続けた。私だけ、ひとりぼっちだ。ひとりじゃないのに、ひとりぼっちだ。私は弱虫だ。友達はみんな強いのに。

親戚や友達のママに会う時、しっかりしてるねぇ〜とかハキハキしてるねぇ、なんてあまり言われなかった。大人しいね、お人形さんみたいだね、って。

誰よりも恥ずかしがり屋で、目立つのが一番嫌い。
知らない人の前だと、スモールライトを当てられたように小さく小さくなっていく。
誰にも気づかれたくない。私になんて話しかけないでね。そっとしといてね。って心の中で思っていた。

中学生になって、初めて友達と子供だけで遠くに遊びに行った時、最後まで笑顔を作るのに必死だった。心の中には、私を不安にさせる虫が住み着いていた。
みんな大人っぽいのに、私だけ子供みたい。
自分が、なかなか立ち上がれない哀れな小鹿に思えてきた。

沢山経験を積んでも、同じことを何度やっても、不安が消え去るのには人一倍も人二倍も時間がかかった。

高校生になってから、少しずつ私の不安は消えていき、私だって大人だ〜!って胸を張って生きていけるようになった。高校生活が終わったら、とうとうひとり暮らしが始まるんだ、と思っても何とかなるんじゃないかという根拠のない自信があった。今なら何でもできる気がする!どこでも生きていける気がする!きっと私の人生はうまくいく!きっと何をやっても成功するだろう!そう思っていた。

それなのに、またやってきたんだ。あの弱虫だ。
いつの間にか、周りの友達はもっと大人になっていた。今、私はみんなからは見えないほど遠くに取り残されているようだ。いつの間に?どうなってるの?って誰かに聞きたい。誰か教えてくれない?私は、人より遅れてると感じると弱くなるみたいだ。
私はこれからうまく生きていけるだろうか。
ひとりでも立っていられるだろうか。
怖くて怖くてたまらない。

みんな私をいじめればいいのに。嫌いになってくれればいいのに。優しくしなければいいのに。じゃないとひとりになるのが嫌になる。どんどん弱くなってしまう。

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