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君のバンドが大したことなくて良かった


忘れようと思いました。

売れてないバンドマンに必死に恋しちゃって、ぼろぼろにすり減ってまで追いかけたことを。

誰よりも私を愛してくれた、私が愛していた人の事を。

忘れてやろうと思いました。



「目を覚ませ」
なんて言われてしまうくらいに、それは私を盲目にさせて、人の声がもう届かないくらい深くまで落ちていました。

馬鹿げている。分かっていました。
伝えられない想いを歌詞にして歌うのも疲れてしまった。
溢れて止まらなかったはずなのに、とうとう歌詞も書けなくなりました。私の感情もここで終わりなのだろう。

二度と会わないと心に決めました。
連絡先を断ち切ることは出来なかったのだけれど。
二度と話さないと心に決めました。

離さない、と誓ったはずでした。
考えるたびに溢れていた涙が今、「笑い」に変わってしまいました。呆れました。

どんなに酷い話を聞いても、酷いことをされても、期待を捨てきれずに待ち続けていた自分に。信じようとした自分に。好きだった。嫌いになれなかった自分に、呆れました。


私みたいな女の子、何人いるんだよ。
どれだけの子を傷つけて、沼らせて、落としてきたんだよ。

せめて、私だけが君を好きで、君に傷つけられていたなら、まだ全部許せていた。

そうじゃないらしいじゃん。


君から貰った、良くも悪くも「今までで一番の女」って言葉。それだけ無様に信じて終わりにしようと思うよ。

私を愛してくれた君を、あのまま思い出にしようと思うよ。

遊ばれてた、とは思えないし。思わないし。
あの頃は私よりも君の方がこの恋に一生懸命だったじゃんか。必死に追いかけてきた君に惚れちゃったんだから。

私がいる所に必ず君は現れたし、私の後ろを尻尾振ってついてきてたし。少し照れた顔で「大好き」って笑ってくれたはずだし。もうほとんど覚えてないけど。


私が泣いていたら、始発でも終電でも関係なく会いに来てくれたね。ボロボロの私を見ながら君は泣いていたね。離れたくないって子供みたいに駄々こねていたし、ヤキモチ焼きで私には手に負えなかったよ。私が考え込む暇もないくらい楽しいをくれたし、「ひとりじゃない」って何度も言ってくれたね。

全部綺麗なまま終わらせようと思った。
絶対に遊ばれてなんてやらない。

君にとって私は、都合のいい女じゃなくて、死ぬほど愛してた女のままでいたい。私の事クッッソ愛してたでしょ?

全部分かっていた。


会わないって決めたし、もう君の音楽に触れることも、頑張ってる姿も応援できないのか、って少し思った。

多分だけど、私は君のこと本当に好きだったんだろうね。君だけ、だったんだろうね。



悔しくも、悲しくもないよ。
本当に、君のバンドが大したことなくて良かった。


p.s. なんかムカつくし、幸せになるなよー♡

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