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大切な人

あれは12歳。

夢のために。目をキラキラさせた人に出会って。私も負けないように頑張ろうって思って。

その人に再会するときに。私も頑張っている。キラキラしてる人になっていよう。それは。私の心の支えだった。

20歳のとき。再会した彼は。夢の途中だった。でも。相変わらず。変わらない。素直な人だった。まっすぐだった。変わってないことにホッとした。

今思えば。奇跡だ。初恋の人とトントン拍子で結ばれた私は。あれを奇跡と呼ばずに何を奇跡と呼ぶのだろうか。

彼の夢の途中に寄り添えたことを嬉しく思う。

一足先に社会に出た私を支えてくれたのも彼だ。紛れもなく。あの社会に出たばかりの私は。彼の支えがなかったら。耐えられなかった。

彼の夢にも紆余曲折あって。けど。彼は。きちんと社会人になった。とても。立派な。消防士という。尊い仕事に就いた。それは。彼の幼いころからの夢とは違った。けど。悩んで。迷って。彼が決めた仕事だった。

私は。彼に依存してた。私は幼稚園の先生の仕事が辛くて。彼と結婚して。仕事を辞めることばかり考えてた。

夢は叶うこととなる。25歳のとき。夢は叶うはずだった。寿退社。

なぜ。うまくいかなかったのだろう。彼と。私の母親のウマが合わない。そんなのは。ただのいいわけだったんじゃないかな。

離れることを決めた私たちだったけど。
その別れは緩やかだった。嫌いになって別れるわけじゃない。1年に一回会ってたし。お互い。子どもが欲しいんだから。30歳になってもお互い独り身だったら。また、一緒に過ごそう。そんな。甘い別れだった。

私は別れたくせに、まだ彼に依存してた。心のどこかで。やっぱり、私は彼と再び一緒になるだろうって。

だからこそ。私のもう1つの夢に挑戦しようって思えた。文章を書く仕事。誰かに話を聞いて。誰かの想いを言葉にする仕事。

ここでも。奇跡は起きる。偶然にも。何の経験のない私が文章を書けることになる。ただ。ただ。楽しい毎日。最低賃金だけど。実家に甘えて。ただ、ただ。楽しい3年間。誰かに会って。文章を書く。

でも。甘ったるい日々は永遠には続かない。契約の終える日が迫ってきた。

今、思えば。ちゃんと。夢と向き合って。大好きな仕事を続けられる方法を考えればよかったんだ。けど。私はやっぱり依存してしまった。そう。彼に。

だって。やっぱり。結婚したかったんだよ。子どもが欲しかったよ。30歳目前だった。夢じゃないよ。子どもだよ。

そして。ちゃんと。繋がることができた。彼と。なんと幸福なんだろう。

胸を張って言える。29歳の私。幸せだった。大好きな仕事。大好きな彼。幸せだった。

なんだろ。なのに。なぜ。うまくいかなかったんだろう。それは。やっぱり。依存や。甘え。では。うまくいかないってこと。

契約満了になって。別の仕事に就いた私は。荒れた。仕事が全然楽しくなくて。辛くて。辛くて。彼に八つ当たり。彼は。仕事はやめればいい。って言ってくれた。それなのに。それじゃぁ、満足しない私は。なんだったのだろう。

そんな気持ちのまま。うまくいきっこないんだよ。

ひどいひどい別れだったよ。

後にも先にも。人にあんなにひどい言葉を吐いたのは最初で最後。

数々の奇跡を全部。踏みにじった。

ひどかった。本当に。

売りことばに買いことば。

彼にひどい言葉を言わせたのも私。

でも。それでも。最後に。最後に。彼が私に伝えたことば。

俺を消防士にしてくれたのは私だと。

あの時。私を幸せにしたい。と。消防士を選んだと。

いつか。また。笑って会えたらいいな。と。


ああ。

それからの私は。ただ、ただ。闇の中。おそらく。病院に行ったら診断名がついたかもしれない。(意地でも行かなかったけど)

2年。2年は闇の中。辛かった仕事にも慣れた。ようやく慣れた。

そんな時。


彼が。他の人と結婚したことを知る。


高校の同級生らしかった。

実は。私も名前は聞いたことのある人だった。付き合ってた時に。女友達なんだ。って話してた。

本当の意味で失恋した気持ちだったけど。私より数百倍。よかったと思う。
地元の友達。姉妹の友達。よかった。私なんかより数百倍よかったよ。

そこから。私は。よーーやく。とにかく。自立しなければと思うようになり。

家を出て。

本当の本当のいみで。

独りになって。

迷走は続いて。仕事を替えて。やっぱり。辛くて。体調を崩して。ってどーしよーもないけど。

今は。34歳の今は。文章を書く仕事で。独りで細々と暮らしてる。お金はたくさん稼げないけど。体調を崩さず。楽しく。仕事してる。

ようやく。誰にも依存しないで。生きてる。

彼が。私をここに連れてきてくれたんだと思う。

今も。まだ、不安定な業務形態に不安になるし。

やっぱり。このまま。独りでは嫌だなって思うけど。

同級生だったから。20.30歳と節目に会う機会が訪れるから。

もし。もし。40歳のときに。彼と会う機会がくるのなら。

その時に。笑っていられるように。

私も。時間はかかったけど。好きな仕事で。誇りを持って働いているよ。自立して生きてるよ。ってきちんと伝えられるように。

それを支えにしてる。

一緒に過ごすことはできない。

けれど。支えになる存在。

彼は私の大切な人。

それでいい。って今は思ってる。


痛い痛い。34歳の女の話。

誰もみてない。ここにしか書けない話。

おしまい。


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