【アジアカップ2023】意味のある敗北【女子バスケ】
「2021年9月以降の女子日本代表は恩塚亨の成長ストーリー」
自分はこのように思いながら今の日本代表を見ています。
恩塚さんがどう成長するか、どう考え方を変えるかによって日本代表が変化する。選手がどうとかはチームの出来にあんまり関係ない。
だからこそ批判も称賛も恩塚さんに向いています。
今回日本はアジアカップで準優勝となり、6連覇を逃してしまいました。
しかし、オリンピック以降の日本代表では間違いなく最も強いチームを作り上げたこともあり、2021年の優勝よりも遥かに価値のある準優勝だったのではないかと考えています。
今回はアジアカップの決勝をざっくり振り返りつつ、今後の日本代表についてつらつらと書いていきたいと思います。
アジアカップ2023
結果
優勝 中国
2位 日本
3位 オーストラリア
4位 ニュージーランド
~~~~ここまでがオリンピック最終予選出場~~~~
5位 韓国
6位 フィリピン
7位 レバノン
8位 チャイニーズ・タイペイ(DivisionBへ降格)
MVP ハン・シュ
ベスト5
G 山本麻衣#23(日本)
G リー・メング#9(中国)
F ALICE KUNEK#10(オーストラリア)
C デビッドソン#12(ニュージーランド)
C ハン・シュ#15(中国)
良いチームだった
今回の恩塚JAPANはオリンピック以降の日本代表で1番好きになれるチームでした。コーチにも選手にも「ありがとう!お疲れ様でした!」と素直に言いたいチームです。
試合について細かく書く気分でもないので、頑張った選手たちに対して語彙力低めで2,3言書いていきたいと思います。
社長は神!中国戦の前半最高にカッコよかった!社長いなかったらこのチーム崩壊してる!40歳まで代表でいてほしい!
山本麻衣ちゃん!勝ってたらMVPだった!1番大事なオーストラリア戦で1番良いパフォーマンスもってくるのは流石!インスタで悔しそうなコメントを見た。更なる成長に期待してる!
ステ!ハンに対するブロックが凄かった!今大会1のスーパープレイと言っても過言ではないくらいヤバかった!
スーパーシューター林さん!スペシャリストが輝くホーバスJAPANでも、オールラウンダーが活躍する恩塚JAPANでも主力なのはヤバい。中国戦終盤の6連続ポイントは痺れた!キャプテンお疲れ様でした!
ひま!時々PFもしてて偉い!何戦か忘れたけど力強いドライブも見れて満足!中国戦はWNBA選手のリーメングとのマッチアップが熱かった!
星ちゃん!オリンピックの本橋さんばりに最強6thマンだった。大会通してベストなパフォーマンスだった!中国戦ハイライトにも載ってるレイアップは思わず声が漏れた!恩塚JAPANのツーガードを象徴する選手!
平下あねあね!この大会1番走ってる姿が印象的だった!平下さんの凄みはまだまだ過小評価されてるように思えてならないから来シーズンは妹と共に布教していこうと思う!
モニカ!フリーダム!のったら手がつけられない選手!ニュージー戦のショットクロックギリギリのドライビングレイアップは感動した!
宮崎さん!もはや日本の顔?笑顔が素敵!宮崎さんが笑顔ならもうなんでもいい気がしちゃう。笑顔をありがとう!
本橋さん!宮崎さんとのコンビが楽しかった!アジアカップで1番見たかったコンビネーション!
なな子さん!ディフェンス流石!!!大会中のパフォーマンスも良かっただけに大会始まるまでのチーム内の立ち位置がもったいなかった(恐らくプレータイムは大会始まる前までにある程度決まってたから)。
朝比奈さん!成長!185cmであんなに腰落としてガードの横の動きにもついていけるセンターは多分日本に朝比奈さんしかいない!これからの日本の大黒柱!
ステのスーパーブロックを見て良い気分になりましょ。
決勝73-71 なぜ負けた?
負けた理由は……運だと思います。
負けた理由を何かにこじつけようと思えばいくらでも言えますが、2点差での負けは勝つ可能性もあった負けなので自分の中の答えは「運が悪かった」でいいと思ってます。
結果論を言ってもしょうがないので。
ただ、一応他の人が挙げそうな理由を言及するのであれば…
ほとんど中国のホームだったから
ハン(205cm)の高さに対応できなかったから。それに付随して渡嘉敷さんがいなかったから
後半、日本のディフェンスのインテンシティが下がったから
エース2人のオフェンスの調子が悪かったから(中国のディフェンスの良さが原因だと思ってます)
ここに書いたことが正しいとも間違いともそんなに思わないのですが、日本が負けたメインの理由ではないように思います。
疑問・モヤモヤ
負けた直接的な理由はわかりませんが、アジアカップ、特に決勝の中国戦を見ていて気になったこと、モヤモヤしたことを書いていきたいと思います。
批判ではなく気になったことなので気楽に読んでください!
ネガティブな意見を読みたくない人は「これからの日本代表は…?」までとばしてください。
ジリ貧作戦どこいった…!?
「1試合通して相手にプレッシャーをかけ続けて、タイムアウトを取らずにひたすらプレーし続けて相手の体力を削る作戦」を恩塚JAPANでは取り入れているのですが、決勝の中国戦では何故かやらなかった。…なぜ?
一般的なHCが取るごくごく普通のタイミングでTOを要求。いつもはやってないのに。
相手は前日にオーストラリアと死闘を繰り広げていて、日本よりも条件の悪い中での試合だったのに。
接戦の時や強豪相手にはやらないってこと…?
選手の調子は無視?
大会全体を通して特に調子の良かった星杏璃さんの決勝のプレータイムが11分29秒。決勝も素晴らしいパフォーマンスでした。
決勝でHCに一つ文句をつけるとしたら「なぜ星杏璃をもっと出さなかった?」ということです。
人によっては前回大会で中国キラーで、今回も調子の良さそうだった宮崎さんや、一瞬で流れを変えられる本橋さん、チームのディフェンスに穴があったからこそスーパーディフェンダーの東藤なな子さんなど他の選手を出した方がいいのではと考える人も多くいるようですが、やはり自分としては星杏璃さんの起用法が最も納得いかなかったです。
その他にも大会中の選手のパフォーマンスの質に関係なく選手起用をしているようにしか見えなかったです。
唯一大きく変えたのは「本橋&宮崎」⇒「星&宮崎」くらい?
恩塚さんは自分の決めたタイムスケジュール通りに選手起用をする人だからスタメンのプレータイムが長くなることは目に見えていましたが、やっぱりそこはこのバスケで好きになれない点の一つです。
HC「タイムシェアします!」 ⇒ 出れない選手がいる
調子いい! ⇒ スケジュールにないから全然出れない
これって選手目線でやる気失せないのかな?と思います。ヒートカルチャーみたいなものがあれば別にいいと思うんだけど…。
30分前後出場したスタメン以外は決勝戦だけは正直不完全燃焼だったと思います。悔しい気持ちはあるけど泣くほどじゃないというか。「私が出たらもう少し変わったのに…」って思ってる選手も何人かいるかもしれません。
髙田社長以外は良い意味でベンチもスタメンもレベル差がないところまでせっかくチームをもっていったのに、最後はタイムシェアを信じ切れずにプレータイムが偏ったのはどうなの?と疑問が残ります。
メリハリのないバスケットボール
今の恩塚バスケの否定をするつもりはないのですが今やってるバスケは「あえてメリハリをつけないバスケ」です。
ず~っと同じオフェンス、ず~っと似たようなディフェンス。
型はないけど、メリハリもない。
恩塚さんは負けた理由の一つに3Q序盤にディフェンスのインテンシティが下がったことをあげていましたが、インテンシティが下がった理由を選手のせいだけにしてほしくない大きな理由がこの"メリハリのなさ"です。
ずっと100%なんて無理!
⇒だからこそウルトラマン作戦でタイムシェアしてインテンシティをあげる。
これを全然やらなくなったのに「インテンシティは継続で」は都合が良すぎるなと思いました。
選手をコントロールするのもHCの大きな仕事の一つです。
メリハリのないバスケットボールは試合の中でアジャストしやすいので自分はこのバスケは接戦に弱いと思っています。「だから負けた」と言いたいわけではなく、単純に好きじゃないなって話です。
細かいミスにはこれからも目をつぶるの?
ホーバスJAPANと恩塚JAPANの比較はあまり好きではありませんが、あえて比較をするとしたらこんな感じです。
ホーバスJAPANは…
「選手それぞれの得意なことにフォーカス」
「勝つために苦手なことを封印」
「試合で120%を発揮してもらう」
「細かい決まり事が多い」
「ミスるとすぐに交代される」
「個々のディフェンスレベルも重要視する」
恩塚JAPANは…
「ほぼ全てのことができないと足切りで日本代表にもなれない」
「その代わりレベルはそんなに高くなくていい。パスやドライブが得意じゃなくてもいいけどできないとダメ!とにかくできることが大事」
「自分がやりたいことを好きにやらせる(明らかに苦手なこともやらせる)」
「その過程で起こるミスは許容する」
「小さなミスをしても交代されないことが多い(許容する)」
「個々のディフェンスレベルは選手起用の考慮に入れない。(求めたことは全員ができて当たり前だよね?とHCは思っている)」
どちらがいいかはそれぞれで判断してください。
最近まで諦めていたのですが今回の中国戦で改めて気になったこととしては「細かいミスが山ほどあるけどチームとしては許容してるってことだよね?」ということです。特に気になったことをあげていくと…
P&Rの守り方がなんとな~くやっている
「絶対に3ptを打たせない」なのか「ミドルを打たせる」なのか「ハンドラーに打たせない」なのかは似ているようで違うことで、このチームでは特に決まっておらず選手任せにしているように見えてしょうがないです。
現代バスケのオフェンスの主流の一つであるP&Rは必ず対策を練ってこなければならないディフェンスの一つで、チーム内でP&Rのディフェンスの仕方って似てくるのに対して恩塚JAPANは選手個人に任せる部分が大きくて全然似てないのが特徴。
特に気になったのがリーメングがハンドラーの時のファイトオーバーのディフェンス。インサイドのハンを除いたらこのチームで最も打たせてはいけない選手に対するディフェンスがこれでいいの…?と思うような内容でした。
ディフェンスの良いチームのHCは手の使い方、足の入れ方まで教えるのでそのへんは選手任せなんだなあ~と特に感じる部分でした。
トランジションの戻り…遅い時あるよ…?
デンマーク戦から指摘していることですが、早いはずの日本が逆に戻りが遅くてトランジションで後れを取っている場面がこの中国戦でもいくつかありました。
HCによっては交代させられてもいいミスですが交代していなかったので「許容されたミス」なんだろうなと思ってます。
ディフェンスミスはだいたい許容される(けどいいの?)
自分が今の恩塚JAPANを「9:1でオフェンスのチーム」と言っている一番の理由はディフェンスのミス(小さなミス~明らかなミスまで)をしても咎められないからです。
恩塚さんの指摘はもっと大きな目線での指摘で「インテンシティ低いよね」「プレッシャー弱いよね」とかで、目を離したとか、マークを間違えたとか、コミュニケーションミスしたとか、はチームとして許されています。
もし恩塚JAPANに入りたい選手がいたら「とにかくオフェンスでできないことをなくして、パワーの大半をオフェンスにぶつけよう」とアドバイスしたいです。
ここまで書いたことは別に批判の気持ちはなく、また「直してほしいこと」でもなくて「本当にそれでいいの?」と疑問に思うことです。
今回の日本代表は素晴らしかったです。
見ていて面白かったし、感動しました。
色々言いましたが本当に本当にお疲れ様でした!
これからの日本代表は…?
もし優勝していたらこのままのシステムを継続していたと思います。しかし、案の定というか不幸中の幸いというか決勝で負けたことによりテコ入れが入ります。
ワールドカップからアジアカップにかけた進化は上手くいっていたので、今回も負けたおかげでオリンピック最終予選までにチームは進化すると思います。これはポジティブな要素です。
最後にこれからの恩塚JAPANで変化がありそうな部分について言及して終わりたいと思います。
とりあえずパリオリンピックが終わるまではHCとACの変更はなし
エース(山本&ステ)の変更はあるか?
主力(山本&ステ&髙田+ひま&林)の変更はあるか?
PGとSGの間である1.5番4人体制は継続か?
1.5番の申し子の星杏璃選手はよりプレータイムを増やすか?
スーパーPGの町田瑠唯の席はあるのか?プレースタイルを変えるのか?
オールラウンダーではない、スペシャリストな林さんのキャプテンは継続か
今の日本にオールラウンダーで日本代表に入れそうな人はいるのか?SFにひま、東藤、平下以上の選手なんているのか?…今野紀花?それ以外にいるか???(自分は見つけられない)
PFはステ&モニカ(&ひま)が継続か?野口さくらが入るチャンスはあるのか?SFに転身もありか?
ハンに無双された日本。渡嘉敷選手の返り咲きはあるのか?プレースタイルの変更を強いることはできるのか?
オフェンス全ふりは継続か?ディフェンス得意な選手は不利か?
扇形で意外と窮屈な日本のショットチャート。テコ入れはあるか
アジアカップ本当にお疲れ様でした!
皆さんが今後の日本代表で気になることはなんですか?
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