見出し画像

食べる楽しみを思い出そうとしたら泣いてしまった。

本題に近い前座

先日はかなり気分が爽快で、念願のケンタッキーを食べるなどしました。ビスケット本当においしかった…!

ちょっと前の記事にチラッと書いたと思うのですが、月曜日に「食べてても楽しくない」という境地に至りました。
また別に書くんですけど、最近本当に修羅場も修羅場で、おいしいバターチキンカレーのはずなのに、「あ、なんかチキンみたいなの口に入れてる」、「あ、味噌汁ちょっと冷たい」と思うだけで、ほとんど何も感じませんでした。
いつもはもっと食べる事が楽しくて、「おいしい、幸せ」って感情があったはずなのに。
非常にまずい、まずすぎる。
危機感を感じた私は、ある行動を起こす事にしました。

その名も、

「ご飯がおいしいという感情を取り戻そうの会」

はい、かなり安直ですね。知ってます。

おいしいご飯を食べて、なんか色々やって、元の「おいしい」という感情を取り戻す事にしたのです。

そんな事を考えつつ、先日少し本屋さんに用事があって赴いたところ、さっと回って本屋さんを出た時、私の手には漫画が2冊入った袋が提げられていました。

その内の片割れがこちら。

『舞妓さんちのまかないさん 13』

元々大好きな漫画で、京都の花街を舞台に物語が展開していきます。

この作品を初めて知ったという方のために簡単にご紹介させて頂くと、この作品は青森から舞妓さんになるため、遥々京都にやって来たキヨちゃんとすーちゃんが主人公です。
この2人は幼い頃からの幼なじみで、キヨちゃんは花街の屋形「市」でまかないさんとして、すーちゃんは新米の舞妓さんとして働いています。(キヨちゃんも元々は舞妓さん志望だったのですが、そこからまかないさんとして働くようになった経緯も別の巻で描かれています…!)

キヨちゃんのまかないさん、という仕事は、屋形に住む舞妓さん達のためにご飯を作る、というお仕事で、青森でも料理上手の祖母の横で台所に立っていたキヨちゃんは、毎回毎回とてもおいしそうなご飯を出してくれるのです。

作中では、1話につき1つお料理が出てくるという事が多いのですが、この作品に出てくるご飯は、とても凝ってる!などの驚きはありません。
豚汁やミートソーススパゲティ、唐揚げなど普段から親しみ深いご飯ばかり。
でもそこには、その日、そのメニューを考えたキヨちゃんの思いがいっぱい詰まっており、それを食べた人は「おいしい〜!!」ととても幸せそうな顔をしてご飯を頬張るのです。

そんな素敵な作品ですが、もう今しかない!と思い、最新巻の13巻を今回買って読みました。

前巻の12巻では割と平穏な事が多いこの作品で、初めて?久しぶりに?衝撃的な終わり方だったので、あの後どうなってしまうのか、気になっていました。

感想(ネタバレなし)

まずは、13巻をまだ読んだ事のない方に向けてネタバレのない感想を書こうと思います!

13巻をまだ読んだ事が無いとは言ってもそれ以前の巻は読んでいらっしゃると思うので需要があるのかちょっとわからないですが、この作品を読んだ事がない!という方にも魅力を伝えられるよう書いていくので、未読の方も読んで頂けると嬉しいです!

13巻の魅力は、キヨちゃん、すーちゃん、健太の幼馴染3人の絆が強く描かれている点だと思います。健太もキヨちゃんとすーちゃんの幼馴染で、2人の故郷・青森で野球をやっています。

普段、あまり地元に帰らないすーちゃんですが、この巻ではいとこの結婚式のため、青森へ1人帰省する事になるのです。
キヨちゃんは京都に残っているのですが、回想シーンやすーちゃん、健太の行動から2人にとって、キヨちゃんは、いて当たり前の、「家族」のような存在なんだなぁと思います。

たまたま幼い頃から一緒にいた3人ですが、形は違えどお互いを思う気持ちは変わらなくて、大切な存在だという事が伺えます。

どれだけ遠くにいても、連絡を頻繁に取らなくても、心は繋がっていて支えになってくれるような存在って、とても素敵だと思うし、同時に憧れてしまいます。

皆さんにも、そんな存在はいますか?

そして、いつもの作品の舞台である京都から、この巻ではキヨちゃんとすーちゃんの地元である青森が主な舞台となります。そのため、青森の料理がたくさん出てきます。

みそ大根のおにぎりや、あんずのしそ巻…。

どれもおいしそうで食べてみたいなぁと思いましたし、私も地元に帰って地元のご飯を食べたいです。

そういう地元のご飯って幼い頃から親しんでいる味なので、無性に食べたくなるし、食べるとなんだかホッとするんですよね。すーちゃんにとっても、キヨちゃんのおばあちゃんが作ってくれるご飯は、自分の幼い頃の思い出と結びついた、落ち着く味なのかなと感じました。

感想(ネタバレあり)

ここでは、特に心に残った場面を紹介しようと思います。

1つは、すーちゃんと健太が一緒に帰る場面。

すーちゃんが健太のケガの原因を聞き、これまでわだかまっていたものが一気に無くなって涙を流す所は、私まで泣いてしまいました。

「やっぱりおにぎり食べる。」
「なんだよ。」
「みそ大根入ってへんやん。」
「いったろうが。」
「みそ大根入ってねえくらいで泣くな。」
「泣いてへん。」
「ほんとよく泣くよな。」
「泣いてへん。」 
「ぼうしかえせ。」
「いやや。」
「キヨのばあちゃんち寄ってくだろ?」
「うん。」

このやり取りが2人の性格とかお互いの気持ちを表しているようでとても好きなのです。

そしてもう1つは、すーちゃんが1人、結婚式の帰り道でキヨちゃんと健太との思い出を振り返る場面です。

「なんでうちはこんなに変わったのに、うちの“好き”はずっと変わらへんのやろう。」

この一言がすーちゃんの思いを全て表していると思います。

変わっていくものも多い中で、何も変わらないものって、それこそ地元じゃないけど、1つだけでもあると、やっぱり落ち着くなって思います。

終わりに

そんなこんなで、食べる楽しみを思い出すために読んだのですが、3人の絆に泣いてしまったり、地元が懐かしくなったりと、結局他にも色々なものを思い出しました。

食べる事は色々な記憶と繋がっているんですね。

そう考えると、何かを食べても「おいしい」と思わなかったあの時の事もある意味ずっと忘れない記憶として残り続けるんだろうな、と思えて、忘れるよりはいっか、と感じます。

でもやっぱり、食べるからには楽しく、おいしく食べたいので、この漫画を読んだり、好きなものを食べて、「おいしい!」と思えた時はホッとしました。
一番最初にケンタッキーのビスケットがおいしかったと書いたように、今は何も問題ありません。

これからも色々な「おいしい」に出会えますように。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?