見出し画像

亡くなったペットに心配された話

ーこんにちは。お目にかかれて嬉しいですー

 新婚時、オカメインコの雛を迎え入れました。
まだ羽も生え揃わないくらいの子だったので
数時間ごとに差し餌をしてはそれはそれは大事に育てたのでとても懐きました。
オーストラリアに生息する『コカトゥー』からネームをとり
『コカッちゃん』と名付け、性格が落ち着いたとてもカワイイ子でした。
朝晩放鳥しては私達とコミュニケーションしました。

 私が妊娠していた時、コカッちゃんがカーテンレールの上にいるのを確認し
昼寝してしまったことがありました。
目覚めるとコカッちゃんが嘴を私のおでこに押し当て
一緒に寝ていた姿に驚き、寝込んでいる間に枕元に飛んできて
ずっと一緒に寝ていたのかと思うとコカッちゃんからの信頼に
愛おしさを感じたことは今でもクッキリと心に残っています。

 そして出産後、初めての子育てに翻弄された私達は
コカッちゃんとのスキンシップが足りていなかったようで
ホッペの羽がごっそり抜けて円形脱毛症になってしまい
その繊細さに今までの対応を反省しました。

 そんな日々を過ごして数年、子どもも二人になり引っ越しをしました。
新天地に慣れた頃
朝元気に部屋を飛び回っていたコカッちゃんがゲージの中で
突然落鳥し荒い呼吸をし始めたことに慌てふためく私達。
色々対応してみるも残念ながら
その数時間後、コカッちゃんは虹の橋へと飛び立ってしまいました。
普段休みがとれない夫がその日は休みで、コカッちゃんの旅立ちを
見送ることができたことも
コカッちゃんからの最後の気遣いのようで泣けました。

 今でもその時の光景が目に浮かび、色々な後悔もあって
思い出すと涙目になってしまいます。
ペットロスの辛さを数年引きずりその後はペットを迎える気に
はなれずにいました。

それから何年も経ち子ども達が9歳12歳になった頃
私は夢をみました。
コカッちゃんが飛んできて肩にとまり私はすごく幸せな気持ちになっている夢。
肩にとまってくれた時の癒されるような幸せな感覚を目覚めた後も
まざまざとリアルに感じた夢でした。
それから驚くほどオカメインコの情報が私の目に
飛び込んでくるようになったのです。
何かコカッちゃんからのメッセージなのではないかと思うほど。

 ちょうどその頃、我が家は人生の大嵐の真っ只中で。
数年続いているその嵐は私の心を武装し気持ちが固くなっていた時期でした。
夫や娘達へは塩対応だった覚えがあります。

 そんな中届いたメッセージだったので
「次のオカメインコを迎え入れなさいってこと?」と
思い至りました。
が、あの時のお別れが辛すぎるのと
ペットを迎える責任の重圧もあり躊躇っていました。
なので問うてみました。
「もし次の子を迎え入れなさいという意味なら
 鈍感な私でもわかるようなメッセージで伝えてください」と。

 すると次々と分かりやすいメッセージが届きました。
 (1)新聞の日曜版を開いたら大きくカラーで
    オカメインコを肩に乗せた居酒屋のおじさんが載っていました。
 (2)化粧品の会員誌で目についた記事を読んでいたら
    「私はペットのオカメインコに癒されています」の一文に驚く。
 (3)何気なく占いのカードを引いたら
    「天国にいるペットがあなたを見守っています」
  で、観念しました。

 そして家族の賛同もあり再びオカメインコを迎え入れることになったのでした。
縁あって我が家に来た子はやはり雛で数時間ごとに刺し餌でした。
そうやって面倒を見ているうち、私の心がほぐれていくのが
自分でも分かりました。
ある時、デチュマチュ口調でオカメインコと話していたら
夫が驚愕の表情を浮かべ
「そんな姿見るの久しぶりだ…」と後ずさりする姿に
今まで自分が般若のような表情でどれほどの塩対応をしていたのかに
思い至ったのでした。

 それからでしょうか、オカメインコと戯れると癒され
少しづつ薄皮を剥がすように武装した心も解かれ
私の態度も柔軟になっていったのは…。
今思うと、あの時二代目オカメインコを迎え入れないでいたら
我が家の未来は今の地点には到達していなかったと思いゾッとします。
今も元気でなかなかヤンチャなニ代目君とコカッちゃんに
私は心から感謝しているのです。

           ーおしまいー





 


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?