ZCON(インタラ)を解釈する①

ごきげんようみなさん/
ZCON(インタラ)を解釈する動画です/
この動画の内容はすべて私が適当に言ってるだけなので話半分で聞いてください/
じゃあスタート/
まず、ライブを通して見て/
量子論っぽいのがちらほら出てきてるな、と感じました/
悪天候に不完全性を投入してZCONITEの効果にノイズを加えたり/
クオリア塔では、飛行機が落下していると同時にしていなかったりしていました/
これは重ね合わせ状態と言えます、シュレディンガーの猫と同じ状態です/
時の連続性という錯覚も、量子論で否定することができますね/
時間も、とびとびの値をとる粒状のものですから/
そう考えると、ZCONやZCONITEは量子論が出る前の古典物理的な概念が含まれていそうです/
古典物理は人間の理解できる言語で書かれた、人間の感覚器官に基づいた概念です/
ちなみに、そのような概念に対する皮肉は、20年よりもさらに前からされていました/
例えばP-MODELのパースペクティブというアルバムも、そういった唯物論的な世界観を皮肉った作品ですね(多分)/
と思ってたらこんなTweetが/
やっぱりZCONはパースペクティブと結構つながってたんですねぇ/
呪詛はドキュメントの脅威というわけですね/
また、ライブでは科学的なもの以外のZCONの効能も描かれていました/
優性思想、人間の奴隷化、画一化、働かざるもの食うべからず…/
それらをふまえるとZCONは、近代的な概念を生み出す装置だと解釈されます/
そして、ZCONITEは近代的な教育システムによって脳内に発生します/
人は完全な姿で生まれ、不完全な姿へと成長させられます/
というわけで、このライブのテーマの一つは、近代的な価値観の破壊です/
近代についての説明は、同じく脱近代を目的の一つとするデジタルネイチャーという概念で/
BEACONを解釈するという過去の動画で触れていたので省きます/
さておき、このライブには目的がもう一つあります/
それはデュンク・アンを完成させてBEACONを聞くことです/
頭部にZCONITEが発生している私たちには意味不明に聞こえますが/
ライブのあちこちにそのヒントが隠されている気がします/
しかし、ライブの内容を見ていく前に、ここで、時間という概念について触れておきましょう/
時間流の話は平沢作品によく出てくるのでちょうどいいですね/
実は、過去と未来を区別できる物理法則は一つしかありません/
それはエントロピー増大の法則です/
簡単に言うと、熱は熱いものから冷たいものに移り、逆に移ることは無い、という法則です/
これによって、不可逆的なエントロピーの移動により過去と未来に差が生まれます/
そしてそれ以外の物理法則では過去と未来を区別することができません/
例えば、空気の摩擦などの熱の移動がない場合は、振り子は永遠に揺れ続けますし、落下するボールは地面で跳ね返った後同じ高さに戻ります/
ここで、エントロピーについても説明しておきます/
エントロピーは一言で言うと、微視的な乱雑さ、です/
エントロピーが低いときは乱雑さが小さい、高いときは乱雑さが大きい状態を指します/
トランプで例えると、トランプの上半分が赤、下半分が黒の時はエントロピーが低く、シャッフルするとエントロピーが高くなっていきます/
この時、トランプをシャッフルしていくとカードの配置は乱雑になっていきますが、いくらシャッフルを続けても元のエントロピーの低い状態に戻ることはありません/
この不可逆的なシステムが時間の流れを作る法則です/
ところで、エントロピーの低いトランプの並べ方は他にもある気がしませんか?/
例えば、1~13まで順番に並んでるとか、上半分が奇数で下半分が偶数だとかで並んでいると/
赤と黒がバラバラだったとしても、エントロピーが低そうな気がしますね/
何が言いたいかというと、ある視点においてはエントロピーが高い状態でも、見方を変えるとエントロピーが低い状態になる、ということです/
そして、よくよく考えると、トランプがどんな並び方だろうと、それは全部何らかの特別な並び方なんじゃないかという気がしてきます/
最初の、上半分が赤下半分が黒の配置は、トランプの色に着目しているから特別なのであって、それ以外の項目の/
例えば、数字とか、白色の割合とか、カードの汚れ具合とかに着目したときでは、なんら特別な配置ではありません/
突き詰めると、ありとあらゆる条件に着目すると、あらゆる配置が唯一のものとなります/
そうすると、エントロピーという概念は消滅し、過去と未来は対照になります/
裏を返せば、時間が過去から未来へと一方的に流れていると感じるのは、人間の感覚がぼやけているのが原因ということです/
消えるTOPIAでは/
ホログラムの塔は燃える熱も無く/
過去はたった今 今はたった今 明日はたった今 洗われ降る/
というフレーズがありましたが/
熱をエントロピーと考えると、エントロピーの変化がなくなると過去と未来という区別が消える、と解釈することができます/
ここで、聡明なる視聴者様は/
過去と未来が消えたとしても今は消えないだろう、とお思いになるかと思います/
しかし、エントロピーではない別の物理法則によって、現在なんてものは無いと宣言されています/
それは相対性理論です/
もはや相対性理論についての説明はしませんが、この理論は万物に共通の時間流は無いと言っています/
例えば、テーブルにおいてある時計と床においた時計では床に置いた時計のほうがゆっくりと進みます/
また、飛行機にのせた時計は地上に置かれた時計よりもゆっくり進みます/
このように、質量や速度によって時間はズレます/
このとき、どちらの時計の表示する時間が現在なのだろうか、と考えるのは不毛ですね/
というわけで、時間は視点によってそれぞれ異なる時間が流れているのです/
宇宙を旅するAstro-Hoが私たちと異なる時間の感覚で行動しているのも納得ですね/
そして、量子論を使えば時間を量子化出来ます/
時間の最小単位は10のマイナス44乗で、それより短い時間は存在しません/
時の連続性という錯覚は、極めて微小な時を近似的に捉えるための数学的手法でしかないのです/
というわけで時間は/
1つではなく、方向がなく、連続でもなく、今なんてない訳ですが/
それじゃあ、私たちが感じているこの時間っぽいのは何なのでしょうか/
結論から言うとそれは出来事です/
この世界は出来事のネットワークなのです/
この世界に実体で存在しているものは何もなく、あらゆるものは出来事の過程で一時的に生じているものです/
例えばその辺に転がっている石は一見物体のように見えますが/
じつは量子場の振動であり、複数の力の一瞬の相互作用であり/
惑星上の元素同士の相互作用のタイムラインの中でほんの一瞬だけ存在する仮の姿なのです/
その、石っぽいのが見えるという出来事は、石っぽい何かを形成する量子場の振動と言うよりも/
むしろそれを知覚するこちら側の身体構造に依拠したこの世界の細分化の一部であり、現実を構成する宇宙規模のネットワークの複雑な結び目と言えます/
つまり、宇宙総動員という訳です/
さて、ここまで来たら/
宇宙総動員による貴方という記憶の喚起に灯る微かな光がこの世の明かりの源である/
を解釈してみます/
このフレーズは、貴方の見ている世界は、貴方と貴方以外の宇宙の全てとの間の関係のみで成り立っているんだよという意味だと思います/
この世界は出来事のネットワークで、実体のあるものは本当は存在していませんが、貴方には実体っぽいものが見えているはずです/
なぜ、実体っぽいものが見えるのでしょうか/
実はそれは、そこに物体があるのではなく、貴方の記憶の喚起によってそこにあるように見えているだけです/
人間の「見る」という機能について、こんな研究成果があります/
脳が目で世界を認識するとき、信号の大部分は目から脳ではなく脳から目へと向かっているというものです/
これは人間の直観に反しています/
普通に考えたら、目の網膜に達した光を受容体が探知して、電気信号に変換して、信号が脳の内部に伝わり、ニューロンが処理し…/
という流れで世界を認識していると思いがちです/
しかし実際はその真逆で、脳から目に向かう信号のほうが多いのです/
どういうことかというと、脳は、既に知っていることや以前起きたこと、つまり記憶に基づいて、見えそうなものを予め予期しています/
脳は、目に映るはずのものを予測してその像を作り/
その情報がいくつかの段階を経て、信号として目に送られます/
そして、脳が予測したものと目に届いている光に違いがあると、その時に限ってニューロンの回路が脳に向けて信号を送る、という感じになっています/
これが記憶の喚起によって灯る光、というわけです/
一見すると突飛に聞こえるこのシステムは、よく考えると合理的です/
脳が既に知っていることを確認するために脳に向けて新たに信号を送るのは無駄ですから/
実際、情報技術の分野では似たようなことをやっています/
例えば画像を圧縮するときは、メモリにすべての画素の色を入れるのではなく、色が変わる場所の情報だけを入れます/
これによって情報は少なくなりますが、画像はきちんと再構成されます/
それで、何が言いたいかというと、つまり、私たちが見ているものとこの世界の関係について/
私たちが見ている世界のほとんどはデジャビューによって作られた像だという事です/
そして、見える世界と像の間に不一致がないかどうかを無意識に精査し、必要ならその像を修正します/
私たちは、目から得た外界の情報を再構成した像を見ているわけではなく、自分が予期し、把握した情報にもとづいて修正を施した像を見ています/
これはZCONの作る世界観と激しく矛盾していますね/
ZCONの世界観での科学は、最小の労力で事実を最大限に記述するような、エコノミカルなやり方で要約されていますが/
それは近似によって成り立っているのであって真実ではありません/
実際には宇宙総動員によって成り立っている世界を、人間に理解できる範囲で描写する、パースペクティブ的な手法で描かれているのです/
しかし現実の世界は、宇宙と自分自身との関係の間に成り立っており、第三者の視点は存在しません/
視覚的に見えている像はデジャビューで構成されており、全員に共通で成り立つ物理法則はありません/
だから貴方という記憶の喚起に灯る微かな光が全ての明かりの源なんですね/
では、なぜ人間はそのようにして世界を見ているのでしょうか/
言い換えると、人間がそのようにして世界を認識する意味とは何なのでしょうか/
それは変異性と自然淘汰で説明がつきます/
ダーウィンの進化論みたいなやつですね/
要は、何か目的があって記憶の喚起システムを発達させたのではなく、たまたま記憶の喚起システムを持って変異しただけという事です/
そして、たまたま持っていた記憶の喚起システムが良いものだったため、そいつが生き残ったという話です/
このような感じで生命体が洗練されていくと、心の中の世界と外の世界の間に生存を有利にするような相関関係が形成されていきます/
例えば、今、大きな岩が崖の上から落ちてきているのが見えた時、人は避けます/
その行動の原理は、ダーウィンの理論を使うと、岩を避けた奴が生き残って、避けなかった奴は死んだから、だと説明できます/
この時、岩を避けた奴らは、岩が落ちてきたときに、その岩が自分のほうに落ちてきていることを何らかの形で察知できるはずです/
それは、そいつの内側の世界の物理変数と外側の世界の物理変数との間に妥当な相関関係が存在するということを意味します/
そして、そのプロセスを何万年も続けて来たヒト科の末裔である私たちの精神世界には、ありとあらゆる相関が記憶されているはずです/
つまり私たちが世界を見る時、実は私たちは自分自身の精神世界を見ているという事なのです/
「生存は焚かれている」とはおそらくそういう事だと思います/
というわけで、ZCON(インタラ)を解釈する動画でしたが/
複雑すぎて、ほとんどバックグラウンドの話しかできませんでした/
後で続きが出るかと思います/
あと、テーマが難解だったので、内容がちゃんと伝えられているか不安です/
という訳で、最後に、今回の動画を作るにあたって参考にした本を2冊紹介します/
カルロ・ロヴェッリの「時間は存在しない」と「世界は関係でできている」です/
この2冊は、数式をほぼ使わずになるべく読みやすくなるように書かれているので、物理学の参考書よりかは楽しく読めると思います/
そして、平沢作品の世界観と結構マッチしてる気がするので、ファンならより楽しめると思います/
あるいは、時間についての話は、予備校のノリで教えてくれる人の動画にもあったので、そっちのほうがわかりやすいと思います/
私の説明ではわけわかめだった人はぜひ見てみてください/
という訳で今回はここまで/

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