ZCONを解釈する③

ごきげんようみなさん/
ZCON(インタラ)を解釈する動画/
第3回です/
この動画の内容はすべて私が適当に言ってるだけなので話半分で聞いてください/
じゃあスタート/
今回はルビィとシトリンについて掘り下げてみましょう/
ZCONの特設サイトの説明では/
テンプレと呼ばれる分裂症的姉妹、と説明されていました/
分裂症でググると精神疾患に関するページが多数出てきます/
彼女らは何かしらの精神疾患を抱えているということでしょう/
そしておそらくそれは自閉症と統合失調症です/
あるいはうつ病もあるかもしれません/
というわけで、精神疾患について学ぶために2冊の本を読みました/
橘玲のスピリチュアルズと、テンプル・グランディンの自閉症の脳を読み解く、です/
今回の動画で出てくる専門的な話は主にこの2冊の本を参考にしています/
じゃあ本題に戻りましょう/
ZCON内で出てきた精神病的な描写を振り返ってみます/
ルビィとシトリンは実はnGiapが分裂した姿でした/
つまり一人の人間の中に2つの視点が存在していたということです/
これは自閉症にも見られる症状です/
言葉を話さない自閉症の少年ティトは自著で、自分が現実をどのように体験するのかを/
「行動する自分」と「考える自分」の二つに分けて説明しました/
私たちからはティトの「行動する自分」しか見ることができません/
ティトが体を激しく揺らしたり走り回ってる間、彼の「考える自分」はそれをじっと観察しています/
考える自分は私たちが考えているよりもずっと多くの情報を取り入れています/
もう一人、このような二つの自分を持つ自閉症の少女、カーリー・フライシュマンがいます/
カーリーは10歳になるまで言葉を話さない自閉症のように見られていました/
しかしある日、彼女がいつになく落ち着きがなく、機嫌が悪かった時がありました/
療法士が、どうした?と尋ねると彼女は/
助けて歯が痛い、とキーボードに文字を打ち込みました/
彼女は、行動する自分が言葉を話さないだけで、考える自分は言葉を理解していた、ということです/
さて、これ以上ここの話を掘り下げると収拾がつかなくなるので、つづきはさっき紹介したテンプル・グランディンの本を読んでください/
ここでは重要な点だけピックアップします/
彼らの行動する自分のふるまいは感覚刺激の過剰、情報過多が原因です/
彼らはとてつもなく混乱している感覚の中で生きており、自分たちと周りの世界とのかかわりを表現するのが困難になっているのです/
ルビィとシトリンをこれに当てはめると、ルビィが考える自分でシトリンが行動する自分でしょう/
ライブの最初らへんの、ZCONを起動した直後のシーンでは/
シトリンが炎から逃げようと激しくドアをたたいているのをルビィが何してるの…と冷静に観察していました/
一方で、ライブでは統合失調症っぽい描写もちらほらありました/
冒頭でシトリンに詐欺の炎が見えていたのや、飛行機が墜落する恐怖を必要以上に感じてしまったり/
消えるTOPIAのセリフでは/
貴方を不安にする出来事の変遷に整合性がないことを気付いていますか?/
Aは突然Bになり、そこに矛盾があろうと説明はされません。それは偽物だからです。/
とか/
歴史、道徳、倫理、科学、宗教、あらゆる事件という人工物で貴方を取り囲み/
恐怖と不安のみが確実であるかのような世界に貴方を閉じ込めているのです。/
といったセリフがありました/
自閉症と統合失調症は関連する脳の分野が似ているので併発していてもおかしくありません/
つまり、ルビィとシトリンは自閉症と統合失調症で、ZCONはそれを乗り越える物語というわけです/
乗り越えるといっても、それを治療して健常者と同じ脳にしようというわけではありません/
その発想はむしろZCON的な、優生思想の考え方です/
ライブのストーリーはむしろその真逆で、その脳をうまいこと活用して生きられるようにしようという感じです/
自閉症や統合失調症になる脳にはメリットとなる点も多々あります/
なぜ自閉症のような症状が出る脳が育つのかという問いに対して/
発達の初期の段階で、脳のどこかの領域に損傷を受けると、ほかの領域がそれを補おうとして成長するという仮説があります/
つまり、自閉症の人の脳は通常の人より劣っている部分もあれば優れている部分もある、ということです/
例えば、自閉症の人は扁桃体が普通の人よりも大きい傾向にあります/
扁桃体は恐怖などの感情を処理するときに重要な役割を果たします/
そのため自閉症の脳は普通の脳よりも恐怖や不安を感じやすいということです/
ライブでも、恐怖・不安という単語がたびたび出てきていましたね/
このように、自閉症の人の脳内の各部位では、普通より小さいところもあれば大きいところもあるというわけです/
そしてその程度は非常にばらつきがおおきく、その結果も多岐にわたります/
いずれにせよ、自閉症だから機能が全般的に劣っていると一概には言えないわけです/
例えばそれらの脳を持つ人は優れた創造性や連想力を持つ場合があります/
実際、かなりの創造性を持つ人は統合失調症などの精神疾患のリスクが高いという研究もあります/
極端な例を挙げれば、サヴァン症候群の人なんかもそうです、彼らは大抵自閉症などの症状を持っています/
そこまで突っ切った人は自閉症の中でもまれですが、自閉症の人たちには創造性が高くなりそうな特徴があります/
それは、細部にこだわる、という特徴です/
これは局所バイアスとも言います/
ボトムアップの、細部第一の考え方をする人は、創造性の高いものを生み出しやすくなります/
彼らは、その細部が全体の中で何を意味するのかわからないまま、細部同氏の関連性をひたすら探し積み上げていきます/
これにより先入観にとらわれずに考えることができ、結果的に創造性の高いものが生まれるというわけです/
もちろん、自閉症の脳にはデメリットもたくさんあります/
感覚が過敏になってしまうというのもその一つです/
自閉症の人は聴覚刺激を視覚刺激と混同してしまうことがあります/
普通の人は、音や声を聞いているときには、脳の視覚野の活動が低下します/
しかし、自閉症の人は、音の刺激を受けているときに、視覚野が普通の人よりも活性化し続けます/
音を聞こうと耳を澄ませているときでさえ、視覚刺激に気を取られて頭が混乱してしまうということです/
ZCONの支配する近代的な社会では、そのような少数派の障碍者をうまく扱えません/
なぜなら、近代的な社会は均一な商品やサービスを大量に用意し、人のほうをそれに合わせる、というスタイルで成り立っているからです/
普通の人と違う感覚を持つ彼らはその近代的な社会から外され、健常者による保護を受けます/
例えば、学校教育では彼らは特別支援学校に入れられてしまいます/
これは、明治・昭和時代に作られたカリキュラムによる近代的な学校教育がアップデートされていないためです/
確かに通常の授業についていけない自閉症の人は一定数いますが/
彼らに最適化された教育を施すことができれば、彼らは普通の人以上に優秀になれる可能性もあります/
彼らの脳は全体的に劣っているわけではなく、ただ普通の人と配分が異なるだけなのです/
ZCONのストーリーの一つにZCONITEを消去してアンバニを開放する、というものがありました/
ここまでの話を踏まえると、これは/
アンバニに対して近代的ではない教育、彼らの脳に適した教育を施し、彼らの持つ優れた能力を引き出す、と言い換えることができます/
ライブの成功ルートではデュンクに対して応答のアンを思い出すことでルビィとシトリンは自分がだれかを思い出していました/
これは自閉症の症状の改善にも使われる音楽療法に似ています/
言葉を話せない重度の自閉症の子供でも、音楽に対しては強い関心を持つ場合があります/
実際、自閉症の子供に言葉を教える際に、普通に話すよりも歌で教えるとうまくいったという例もいくつもあります/
また、自閉症の人に対して、普通に話しかけるよりも歌の刺激のほうが脳の言語にかかわっている部位が活性化された、という研究結果もあります/
アンバニを開放するための手段が旋律を聴かせることだったのは案外理にかなっているのかもしれません/
また、それにより世界との関係性を思い出し混乱が解消される、というのも納得できますね/
人は誰でも子供の時に、自分の外の世界と自分の精神世界とのかかわりを確かめながら体の動かし方を学びますが/
自閉症の人が普通の人と同じ方法でそれを学ぶのは困難です/
普通の人よりも感覚が過敏だったり、本来使わない脳の部位が誤動作したりするからです/
そのため、自閉症の人が自分と世界との関係性を理解するには特殊なアプローチが必要です/
BEACONのアルバムの曲の歌詞には/
見せる火を見よ聞かす無言の灼熱を聞けと/
や/
光る声を聴け/
といった感じで視覚や聴覚などの感覚器官をまたぐような歌詞が随所に出てきますが/
これらももしかすると自閉症の人に最適化されたアプローチなのかもしれません/
本来は明かりであるBEACONが聞こえるのも同じニュアンスでしょう/
そして、自分の精神世界と物質的な世界との関係性を思い出すことが出来たら、彼らは自由に体を動かせるようになります/
そのときアンバニはアンバニでなくなり、輝くような能力の数々を取り戻すことでしょう/
というわけで今回はここまで/

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