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旅の記憶とスケッチ:宮古から大神島へ、そして那覇へ

3日目[2022.11.10]

朝からどんより曇り空だったが予定通り大神島へ渡る。宮古南部の島尻港から出ている定期船は1日4往復。島尻は、パーントゥ、という厄祓いの奇祭が行われている地域で、港近くの購買所に記録集のようなオールカラー写真集があり、これは帰りに必ず買いたいねと友人と話す。


さて雨が降り出したが15分ほどで無事大神島に到着。10年以上前に日帰りで訪れてから時間が止まったような島の風景、怖いほどの海の美しさ。
変わったことといえば、島唯一の食堂兼宿泊所ができて、おばあがやっていた商店がなくなり、大神小中学校がなくなったこと。それもそのはず、現在の島の人口は約20人、島の名のとおり神事が多いため移住は許されておらず、ひっそりと島民が暮らしを続けているのだ。

島唯一の食堂兼宿泊所、おぷゆう食堂
カナちゃん


食堂兼宿泊所は島の人の憩いの場でもあるらしく、いろんな人や猫が出入りする。日帰りで訪れる数人の旅人もたまにやってくる。わたしたちもまずは宮古そばでお昼ご飯、そのあと海へ向かう。

曇りだが蒸し暑く、島の一周道路(正確には工事中に多くの異変が起きたため中止され、途中までで終わっている)の端までいくと汗だくになった。船のどこかの部品だろうか、赤い板が落ちていたのがどこでもドアにしか見えず撮影、お気に入りの1枚に。🚪

どこでもドア


ノッチと呼ばれる、山から落ちてきた岩が侵蝕された不思議なかたち。




一度部屋に着替えに戻り、友人はシュノーケリングへ。わたしは膝までつかったのみ、そのあとは絵を描いて過ごした。

プールみたいなシュノーケリングスポット。曇りでも美しい



この絵を描いている途中で雨が降ってきて、慌てて近くにある広場の東屋へ逃げ込み、数枚描く。日帰りの船の出発まで時間合わせの数人の旅人たちと話す。そのあいだに雨のかたまりがすごいスピードで移動していくのを目にして、うわー、となる。
海の中は珊瑚の白骨化が進み、数年前とは全然ちがう…と友人談。

夜は大神島で取れたタコを使ったカーキタコ丼。もずくも美味しかった。大神島にも金ちゃんヌードルがあったよ!(沖縄ではなぜか日清より徳島製粉の金ちゃんヌードルが有名)

カーキタコ丼。サラダにはニンジンもどきが入っていて美味しい


島唯一の食堂は商店も兼ねている


日が落ちれば離島ですることもなく、この日も早々に雨音のなか就寝。お部屋は5畳ほどが2室。ひと部屋は住み込みでお手伝いにきているらしい方が長期滞在していて、壁が薄いのでいびきも声も筒抜けだったが、すべて含めて離島の夜の趣満点。

カナちゃん何度もお部屋をのぞきにくる





4日目[2022.11.11]


宿からすぐの港


夜中じゅうずっと雨の大神島。食堂で卵焼きとハムの朝食をいただいたあと、船の時間まで部屋で絵を描く。そのうちに雨は止んで、船に乗る頃には曇りに。宿の皆さんにお礼を伝えて船に乗り込む。曇りだとなおさら深い海の色が神々しく感じる。天気が悪く、島の真ん中の山には登れなかったのでまた次回。




島尻港に着き、購買所でパーントゥの写真集を買う。オールカラー、文章ほぼなし、の潔い記録集。これは良い買い物をしたなあと思う。地域に受け継がれている祭事はその土地の信仰を知ることができるので興味深い。



夕方の飛行機で那覇へ移動するので、それまで大和井(ヤマトガー)という井戸へ行ったり、お昼を食べたり。ヤマトガーは今もきれいな水が湧いていて、当時の技術でここまで立派な石垣が組めたこと、そしてこの水を桶で運んでいたこと、に改めて驚く。琉球王朝時代のもので、なかなか庶民の使用は許されなかったとか。ここで神様のような長細い魚に出逢う。水面までスッとあがってきてまた奥底へ消えていった不思議な瞬間。

大和井(ヤマトガー)


神様みたいな魚



そのあと友人おすすめの浜に行ってみるが残念なことに開発が進んでいて、絶賛リゾートホテル建設工事中。海も濁ってしまっていて、なんとも言えない気持ちになり、後味悪いまま去る。そうこうしているうちに飛行機の時間となり、宮古空港まで送ってもらう。とても濃い4日間を一緒に過ごしてくれた友人に感謝。

さて那覇へ到着。空港の大きさ、何車線もある道路にぎゅうぎゅうに走るたくさんの車が作る大渋滞。レンタカーを借りて宿へ向かうまでに既に心折れそうになる。那覇中心部の渋滞は酷い。雨の降るなかなんとか豊見城の民宿"海ぬ風"へ到着。駐車場があり出入りが自由で、渋滞を避けられ、翌日多方面をまわるにちょうどいい場所として選んだが、我ながらよい選択だった。チェックインをして部屋で軽めの夕食をとり、そのまま就寝。

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