日々こつこつ小説 〜わらしべ長者になりたくて 第六話
家に着いてからも子猫のことが気になって気が気じゃないゆうだったが、どうする事も出来なかった。
『ごめん』
布団を頭から被ると涙を流した。
そしてそのうちに心配と、ここ最近の自分の不甲斐ない数々の出来事を思い返しながら疲れ果てて眠ってしまった。
翌朝、朝の眩しい光で目を覚ますと急いで出かける支度をして、昨日猫を置き去りにしてしまった場所へ向かった。
子猫は居なくなっていた。
『大丈夫だったかな』
子猫のことを思っていると、木の根元に
風と共にひらひらと揺れているものが目に入った。
『あれ?あんなのあったかな』
見ると何か文字が書いてある。
『子猫家で飼います。ありがとう』
ゆうは無事に飼い主が見つかったようで安堵すると、
『子猫を飼ってくれてありがとう!そして、知らせてくれてありがとう!』
と心の中で叫び、木の根元の土に
『ありがとう』と書くと
文字の書かれている紙を手に取った。
この気持ち、二度と忘れない。
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