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パンの行方

お母さん起こしてって言ったじゃん!!

もう!!転校初日なのにー!!

ちゃんと目覚ましかけときなさいよ!!

ほら、食パン咥えて行きなさい!

分かったよ、行ってきまーす!

はぁー、ちこくちこくぅー!!

あっ、あぶな〜い!!!!

痛ったーい!あんたどこ見て歩いてんのよ!!

お前がぶつかってきたんだろ!!

、、、って目の前に俺がいる?

え、?なんで目の前に私がいるの?

これってもしかして入れ替わってる!?!?

「よし!きたぁ!!!!」

俺は曲がり角でぶつかって魂が入れ替わった女子高生の咥えていたトーストを収集している。

「やっとだ。ついに手に入れたぞ!やったぁ!!これで俺も大金もち、、、、」

「おいおい嘘だろ?」

俺は拾った食パンを見て愕然とした。

トーストじゃなくて、生の食パンじゃねぇか。

俺は怒りに身を任せ、男子校生の姿をした女子高生のもとに行き怒鳴りつけた。

「なんでトーストしねぇんだよ!!これじゃあなんの意味もねぇよ!!」

女子高生、転校初日、寝坊、遅刻、曲がり角、衝突、男女、魂交換。

全ての条件が揃っていたのに。

もしこれがトーストだったら、軽く時価2億は超えていただろう。

「なんで、火を通さなかったんだ!!それ以外は全て完璧なのに!!」

「お母さんに会わせろ!!それじゃ無いと納得できない!!」

その行為が何の意味も持たないことだと分かっていても、ただ現実を受け止めたくなくて。

しかし現実は俺の目の前に冷酷な顔をして仁王立ちしてやがる。

「くそっ、くそぉ!!!!!!」

膝から崩れ落ち、大粒の涙をこぼした俺に女子高生の格好をした男子校生がハンカチを差し出してきた。

俺はハンカチを受け取り涙と鼻水を拭いた。

そのハンカチは優しくて、暖くて、でもどこか甘酸っぱい青春の香りがした。

あとJKの匂いもした。いい匂いだった。やっぱり女子高生はいいよなぁ。


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