さくらんぼ100%
雨上がりの桜を見て、僕はあの春を思い出す。
どうもピースフルクリエイター俺です。
皆さんには忘れられない春はありますか?
僕にはあります。
今から話すはなしはとても甘酸っぱくて、それでいて懐かしくて、そしてどこか切ない恋の話です。
話は10年前に遡る。
中学の入学式。
僕の胸は不安と期待と一抹の便意でいっぱいいっぱいだった。
「友達はできるだろうか?」
「部活は何にしようか?」
「うんこは漏れないだろうか?」
そんな思いを吹き飛ばす衝撃に僕は出会った。
長い黒髪を靡かせた君は僕の前を通り、あの日の僕には少し刺激的なシャンプーの匂いを置いていった。
周りと比べて幾分か大人っぽい君に僕は胸と腹部を痛めつけられた。
この胸の痛みが恋で、この腹の痛みが圧倒的便意であると気づくのにそう時間は掛からなかった。
※圧倒的便意=天井知らずの便意
僕は初恋したのだ。
そしてうんこも漏らしたのだ。
その日からは、彼女のことを想う日々が続いた。
幸か不幸か同じクラスだったので、僕は来る日も来る日も彼女のことを目で追いかけた。
クラスメイトからはうんこマンと呼ばれていたが、そんなことはどうでも良くなる程に君のことしか考えれなかった。
だけど思いが強くなればなるほど苦しい。
だってうんこマンと学園のマドンナの恋など実現しないのだ。
決して叶わない恋だと知っていても僕はあの子が好きだった。
それはもう、すごくすごくすごく好きだった。
僕は決めた。
例え、叶わぬ恋だとしても君にこの想いを知って欲しい。
季節は移り変わり夏になった。
位置について、よーい、
足は速くなかったがバトンパスが上手すぎた僕は体育祭のクラス対抗リレーの第一走者に選ばれた。
皆がクラウチングスタートの構えで銃声を待つ中、僕はクラうんちングスタートと言われるのを恐れ、スタンディングで構える。
全校生徒が注目している。
そう思うと胸の鼓動が速くなり、焦りと緊張感、そして爆発的な便意に襲われた。
パァン!
乾いた銃声と共に一斉にスタートする。
僕もうんちを漏らした後、スタートする。
軽量化に成功した僕はいつもより速い。
絶対にここで活躍しなくてはいけない。
というのも僕は決めていたのだ。
このリレーで4位以内でバトンを繋げたら、あの子に告白すると。
とはいえバトンパスが上手いだけの僕は他の走者に置いていかれる。
現在5位。
バトンパスまであと50メートル。
その時、前の走者が激しく転倒した。
僕は颯爽と無視して走り抜けた。
昨日、うんちを漏らした時にうんちを隠す用の穴をトラックに掘っていたのだ。
備えあれば憂いなしとはまさにこのこと。
なんとか4位でバトンパスをした僕は、応援席にいる彼女に向かって喉が破れるほどの声で想いを伝えた。
「奈良さん!!僕はあなたのことが好きです!!」
運動場は一瞬で静寂に支配された。
すると君はその静寂を切り裂いて、天まで届く声で僕に言った。
「てめぇみてえな、うんこ野郎がわたしに喋りかけてんじゃねぇよ!!!!!!!!!!!」
「だいたいお前臭えんだよ、!!!!!!!!うんことかじゃなくて普通に!!!!!!!!」
これが僕の初めての恋。
初恋。
それは甘酸っぱくて、みずみずしい。
まるでもぎたての果実。
どんな味がしたのかは食べた人にしか分からない。
皆さんも自分しか知らない果実の味を忘れないでくださいね。
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