なみある?塩田気象予報士の波や天気のお話。【オリンピックが近づく】
オリンピック開幕まであと1か月を切りました。
収容人数の50%以内で1万人を超えない、という制限での有観客となりましたが、開催はほぼ間違いないのでしょうか。
会場の釣ヶ崎海岸は、6月いっぱいまでビーチには入ることができるため、入水しない日でも波チェックがてらちょくちょく行っています。
工事は着々と進み、姿がどんどん変わっていくオリンピック会場。
今のところ観客用のスタンド席などは見当たりませんが、今後つくられていくのでしょうか。
予備日のチケットが当たっていたものの、3000人に絞る再抽選は7月に入ってからとのこと。
果たして入場が叶うのか!?非常に気になりながら、日々会場を眺めております。
さて、オリンピックが開催される7月下旬の会場の波も気になるところです。
広―い太平洋では、夏になると日本付近に大きく張り出してくる太平洋高気圧のフチに沿って、東寄りの風が長い距離を吹き続きます。
この東風が吹いている位置の緯度が高ければ(太平洋高気圧が北へ偏っていたら)、千葉付近で高気圧の吹き出しによる東ウネリが反応しやすくなります。
ほぼ東(やや東北東) 向きの志田下ポイントでは、運が良ければムネ~カタ前後ぐらいの波が続くこともあります。
しかし、昨年は梅雨明けが8月1日だったこともあり、7月はまだ太平洋高気圧が南にあって、そのフチにあたる千葉は南西風が吹き続いていました。
南西風が吹くと東向きのポイントは水温が下がります。気温は高いので、顔はゆで蛸状態で暑いのに、ジャーフルを着ないと節々が痛くなるほど冷たいという日が多く、水温がとっても低いうえに、さらにサイズもヒザ~モモ・コシ前後という、なんとも冴えない感じの日が目立っていたように思います。
今年の関東の梅雨入りは、なんだかんだ平年よりも7日遅くなりました。
前回、一ヶ月前倒しのような季節感だとお話ししてしまいましたが、その後梅雨前線は南下し、季節が戻りました。ごめんなさい。
今年は同じような天気の傾向だった東海地方が梅雨入りしたのち、関東甲信地方の梅雨入り日まで29日の差がありました。
平年は東海と関東甲信は1日ズレ程度で梅雨入りしますので、非常に珍しいことです。
1951年の統計開始以来、これまで梅雨入りの日の差がもっとも長い年で18日間だったことに対して、大幅更新となりました。
そして、関東甲信以北の地方では、梅雨前線が南の海上に南下しているという、いつもとは違ったパターンの気圧配置での梅雨入りとなりました。
(正式な今年の梅雨入り日の発表は9月初旬です。)
そして、25日気象庁発表の季節予報では、気温が7月、8月ともに全国的にほぼ平年並みかやや高い確率となっています。
(気象庁HPより)
月別の天候を見ても、7月後半の東日本太平洋側は、平年と同様に晴れの日が多い、となっています。
ということは、関東甲信の梅雨明けは平年(7月19日ごろ)と同じ頃となる可能性が高く、そうなるとオリンピックのサーフィン競技がスタートする7月25日には、関東地方は梅雨明けしていると予想されます。
7月下旬から8月初旬は太平洋高気圧に覆われて、夏真っ盛りとなりそう!?
そして、7月になるといよいよ台風シーズンに突入していきます。
夏が近づくと、台風の発生するエリアの緯度は高くなる傾向ですが、太平洋高気圧の中には入り込まず、そのフチに沿って西へ進み、南西諸島から東シナ海、九州付近を通り日本海へ進むことが多いため、期待できるのは西~東日本の、主に南向きのポイントになります。
太平洋高気圧の張り出しが一時弱まった場合、本州に近づき、突っ込んでくる可能性がないこともないですが、海面水温が上がってくる7月下旬は発達した状態で近づくなど、災害にも注意が必要となります。
秋になり、太平洋高気圧が徐々に張り出しを弱めると、右にカーブするように進路を取り、南東~東ウネリが入る可能性もありますが、夏真っ盛りの期間は千葉北部の東向きのポイントに台風からのウネリが入るということは、あまり期待できないでしょう。
オリンピック期間に釣ヶ崎海岸に入るウネリは、高気圧の吹き出しによるウネリがメインとなるでしょう。
先にお話ししたように、高気圧の南フチの緯度が高ければ高いほど、ウネリの反応が良くなる可能性も高まります。
果たして、梅雨が明けてのオリンピックスタートとなるでしょうか。
日本に近づく台風は、その都度季節を進めていきます。今の時期の台風は夏の暖気を引っ張り上げて夏を近づけます。(秋の台風は冬の寒気を引き込むことで、徐々に冬が近づきます。)
台風5号は太平洋を北上しながら梅雨前線を押し上げるでしょう。その後、前線は南下することもありながら、徐々に北へ位置を移していくことになります。
今後の季節の移り変わりと波に注目していきたいと思います。
気象予報士
塩田久実