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なみある?塩田気象予報士の波や天気のお話。【8月に入ってからの波模様は⁉】

初のオリンピックのサーフォン競技!
なみある中で開催された大興奮の3日間が終わりました。
今月は予想データが日々刻々と目まぐるしく変わる日々でしたが、サーフィン競技が行われた期間、台風8号によってウネリが強まりました。
準々決勝、準決勝はジャンク&ハードで、オリンピック選手だから対応出来るぐらいの厳しいコンディションだな、そして、翌日の3位決定戦と決勝はアタマ前後の波は残ってコンディションも整い、まさにファイナル日和で「オリンピックすごーー!」と思っていたところ、、、まさかの3日目に決勝までとの発表。
4日目もきっと世界中の人々が観ても物足りないとは思わないぐらいの波は残るはずなのに、あえて一般の方々では厳しいでコンディションでの決行だったのしょうか。
それにしても、興奮と感動の3日間でした!

オリンピックに波をもたらした台風8号は、その後、観測史上初めて宮城県に上陸しました。
前回、太平洋高気圧を押しやってはるか東海上を進むことはないだろうとお話ししましたが、はるか東海上ではないにしても、発生前の予想データよりもずっと東寄りを進みました。
太平洋高気圧が日本付近に張り出し梅雨明けしたのち、7月下旬にかけて張り出しが弱まり、日本付近はもう台風の通り道になりやすい状態となりました。
熱帯低気圧や台風が発生すると、沖縄方面に限らず、平年よりも早い時点で関東や東北付近に進んでくる条件が揃うという、季節感が早めな感じの展開です。
7月はまだ水温が低い日が多い千葉でも、今年は8月のようにウエットなしで入っている人が目立っていました。

さて、8月に入ってからの波はどうなるでしょうか。
6号、8号が消滅し、普通ならこれからが台風シーズン真っ盛りとなっていくわけですが、、、
オリンピックが始まった25~26日辺りの8月上旬の、ある予想データでは、南や南東の海上に熱帯低気圧がポコポコと発生し、発達しながら北上して、太平洋高気圧の吹き出しとともに東~南東ウネリが強まり、また大きくサイズアップ!なんていうことになっていました。
しかし、この数日でややトーンダウン。

7/30時点の予想データでは、8月に入ると上空の太平洋高気圧が一時的に北日本へ張り出す見込みです。

2021-07-30  080221  500予想図

(8月2日21時 日本周辺の上空の予想図この赤いラインが上空の高気圧)

台風にはならないとしても、熱帯低気圧の卵が太平洋高気圧の西側のフチに沿って発生してやや発達したり、しなかったり。。。
7月下旬によく見られる、日本付近にデーンと太平洋高気圧が張り出しているような夏は、ウネリの素が台風でも高気圧の吹き出しでも比較的予想データは安定しているのですが、今月は、気象庁ECMWF(ヨーロッパ中期予報センター)、GFS(アメリカ海洋大気庁(NOAA))の予想データも2~3日前まで、てんでバラバラな時もあり「波あるある詐欺」「波ないない詐欺」にならないよう心しながら、悩める日々です。

いずれにしても、太平洋の日本のはるか東の海上では高気圧の南側の縁に沿って東~南東風が吹き続いており、東向きのポイントでは、8月上旬は波が続きそうです。
また、日本近海や南の海上では反時計回りに風が回り始める(低気圧性の風の動き)と南の海上では南西風が強まるため、南向きのポイントでも南~南西ウネリが反応する日もあり、また、南東ウネリを拾えるところでは遊べる波がある日が多いでしょう。
日本海側は、今のところ大きなアップはなさそうですが、北~北東ウネリが多少反応したり、少しは出来る日がありそうです。

太平洋沿岸は西~東日本で、日本海はかなり北部まで海面水温が高くなっています。

海面水温

日本近海で小さな低気圧が発生し、それが予想外に発達して急に波が上がる!なんてことも考えられますので、日々最新情報を気にしておくと良いかも。
ただし、台風が近づいたり発達して上陸した場合の備えもお忘れなく。

今年は太平洋高気圧が西~東日本へ張り出すという、いわゆる温帯特有の夏という感じではなく、高気圧が引っ込んで亜熱帯と亜寒帯が出会っているような⁉少し不思議な感じがします。

気候変動の影響もあるでしょうけれど、オリンピックでサーフィン競技が初めて行われたコロナ禍の2021年の夏は、波も天気も珍妙な夏だった。ということになるかもしれません。

気象予報士
塩田久実