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なみある?塩田気象予報士の波や天気のお話。【2021~2022冬季、ラニーニャ再び】

23日は七十二候の「虹蔵不見(にじかくれてみえず)」で、陽の光が弱まり空気も乾燥し、虹があまり見られない季節となりました。そして、27日は「朔風払葉(きたかぜこのはをはらう)」となり、冷たい北風が木の葉を落とす頃となりました。
今週は冬型の気圧配置が強まり、北海道や東北北部では記録的な大雪となっているところもあります。
他のエリアでも朝晩の冷え込み具合が日ごとにじわじわと増し、本格的な冬の近づきを感じるようになってきたのではないでしょうか。
そろそろ冬仕様の装備も準備も始める頃ですね。

さて、11月10日のエルニーニョ監視速報(気象庁)では、「ラニーニャ現象が発生しているとみられる。」と発表されました。
今後、冬の終わりまでラニーニャ現象が続かない可能性もある(40 %)が、ラニーニャ現象が続く可能性の方がより高い(60 %)ということですから、やはりこの冬は寒くなりそうです。

前回発生したラニーニャ現象は、2020年夏~2021年春にかけて。終息の発表は6月でした。
エルニーニョ現象、ラニーニャ現象の発生は、統計が出ている1949年以降、交互となることが多く、過去に2度だけラニーニャ現象が連続で発生していますが、ともに1年空けての発生であり、今回は5か月で再び発生するという珍しい展開となりました。

過去のお話にもあるように、ラニーニャ現象が発生している時は、太平洋の赤道域で吹く貿易風と呼ばれる東風が平常時よりも強い状態が続くため、西太平洋熱帯域では暖かい海水が厚い層となり蓄積するため、インドネシア付近の海上では対流活動が活発になり、積乱雲が発達しやすくなります。

ラニーニャ 太平洋赤道域

↓は11月11日の太平洋の海面水温の実況図ですが、まさに西部に高温域が存在しています。

20211111海面水温

ラニーニャ発生の年の日本付近では、夏は太平洋高気圧が北へ張り出しを強め暑い夏となり、冬は西高東低の冬型気圧配置が強まり、寒い冬となる傾向があります。

ラニーニャ 冬 影響

この冬の波模様は、昨シーズンと同じようになることが予想されます。

日本海側は、今シーズンもなみある冬になるでしょう。
冬型の気圧配置が強まり、大陸からゴンゴンに冷えた北西~北風(季節風)が吹き渡り、サイズアップする日が多くなりそうですが、冬将軍が居座り大寒波となるとこも予想されます。そんな時には波も天候も大荒れになります。
寒気がドバっと出た後は、次の寒気が溜まるまでしばらく吹き出しが弱まり、等圧線の間隔が広がるため、この冬型の気圧配置が緩んで風が弱まるタイミングが絶好の狙い目となります。
がしかし、昨年は波があっても大雪で海にたどり着くことができない、また、大雪による事故なども目立ちましたので、雪が程々になることを願います。

一方、太平洋側は冬型の気圧配置が強まると、四国や近畿、東海や湘南などでは、寒気の吹き出しで強まる北西~北風にウネリが抑えられてスモールコンディションとなりがち。
ただし、南の海上や北日本を低気圧が通過する時には南~南東~東ウネリが一時的に反応しサイズアップしたり、東海上に抜け冬型の気圧配置に変わった時には、東海や湘南、千葉南部の海上で西風が強まると南西~西ウネリが反応し、波が続くこともあります。

そして、主に千葉以北では、日本付近を抜けた後、遥か北東アリューシャン列島付近 (低気圧の墓場)に達し、猛発達する低気圧からの波長の長い北東ウネリが届く日があります。冬のハワイにビッグウェーブをもたらすあの低気圧です。
波長の長い波の特徴といえば、セット間隔が長くパワフルということ。
例えば、遥か南の海上で発達する台風からの南~南西ウネリは10分以上のセット間隔を開けながら、ウネリの筋がしっかりとある波がわかりやすく入ってきます。
アリューシャン付近から遥か長―い距離をはるばる日本までやって来るわけなので、超ビッグウェーブとはならず、また、冬型の日は東の海上で寒気の北寄りの風が吹いているため、波長(周期)の長いセット波の合間には、北寄りの風による波長が短めの北~北東ウネリも入ってきます。
結果、波質は極上とはなりづらいものの、波数がそこそこありつつサーフィンできる波はある!なみある日は多い!ということになります。

水温も気温もが下がり、装備が増えていく季節ですが、冬は冬なりに海ライフを楽しめたらいいですね。
ラニーニャだからと100%極寒の冬になるとは限りませんが、この冬もこんな感じになりそう!というお話でした。

気象予報士
塩田久実