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なみある?塩田気象予報士の波や天気のお話。【前線と波】

新春とは名ばかりの厳しい寒さが続く年明けとなりました。
昨年秋に、ラニーニャの冬は寒い、というお話をしましたが、こうも次々とやってくる寒波の波。
今の時期は1年で最も気温が低くなる頃ですが、この寒さはいつまで続くのでしょうか。

気象庁7日発表の1か月予報の平均気温は、15日までは全国的に平年より低い見込みですが、16日~2月上旬までは平年並みか高い予報となっています。

週別の平均気温

また、平均気温が「かなり高い」もしくは「かなり低い」となる確率が30%以上と見込まれる場合に気象庁から発表される、早期天候情報(12日発表)では、1/18~26の間の西~東日本の平均気温が「かなり高い」となっています。

早期天候情報

一月半ば以降は寒さが一旦和らぐようです。けれど、日本海側など、これまでの大雪で積雪が多いところでは、雪が解けての雪崩や増水などに注意しなければなりません。

しかし、その後再び強い寒気団が日本へ押し寄せることも十分考えられますから、2月に入ってからもまだまだ油断はできません。

さて、前々回、【前線】のお話をしました。
今年初回はその続き、前線と波の関係についてのお話です。

波が生まれる素は主に風です。
海上で吹く風が強く、吹き続く時間と距離が長いほど、波が強まります。

季節ごとの低気圧の特徴はそれぞれありますが、日本付近では、前線を伴う温帯低気圧が発達しながら西から東へ通過(東~北東進)していきます。

天気図を見てみると、温帯低気圧がある場合、寒冷前線や温暖前線が伸びており、低気圧を回るように等圧線(地上の気圧が等しいところを結んだ線)が描かれています。
風は、気圧が高いところ(高気圧)から低いところ(低気圧や前線)へ向かって吹いていて、等圧線の間隔が狭ければ風は強く、広ければ弱い、ということになります。

日本海低気圧 2209

日本海低気圧 2309

ちなみに、地上の摩擦によって、海上の風は等圧線に対しておよそ20°の角度で斜めに横切って、高気圧は外側へ、低気圧は内側へ、吹いています。
(陸地では、摩擦 (地形などの凹凸)が大きいためおよそ30°)

では、太平洋側のポイントでの前線と波の関係について。
温暖前線と寒冷前線に挟まれた暖域では、前線に向かって南~南西風が吹いています。
低気圧が日本海や内陸を進んだ場合、太平洋側では海上から南~南西風が吹いてくることになります。
風をダイレクトに受ける南向きのポイントでは、低気圧が発達して、風が強まるほどサイズアップしますが、そのポイントが暖域にある間は、まとまりのない波でジャンクコンディションとなる場合も。
しかし、低気圧が東へ進み、寒冷前線が通過すると、今度は前線向かって吹く風が北寄りに変わります。
南向きのポイントではオフショアとなり、波がまとまりますから、このタイミングが狙い目です!

また、梅雨前線や秋雨前線の停滞が続いた場合、前線の北側では北東風、南側では南西風が吹き続きます。
前線が南にかかっている(前線の北側に位置する)場合、東寄りに向いたポイントでは、北東風による波、また、前線が北側にかかっている(前線の南側に位置する)場合、南向きのポイントは、南西風による波で、それぞれサイズアップする可能性があります。
波質はあまり望めないものの、前線が長く停滞し吹き続いた時間が長ければ、風が止んだ後にも波が残る可能性が高まります。
また、前線が南側にあるときに、その南側で南寄りの風が強く吹きこみ続けた場合、北側に位置するポイントに南ベースのウネリが反応する場合もあります。

次に日本海側の場合。
低気圧が日本海を通過するときに、まずは暖域で吹く南西風による波で、西向きのポイントでサイズアップ。その後、寒冷前線が通過して、前線の後ろ側で吹く北寄りの風になると、今度は北向きのポイントでもアップしていくことになります。
前線が離れ、風が弱まったタイミングが狙い目です。


繰り返しになりますが、
海上で吹く風が強く、吹き続く時間と距離が長いほど、波が大きくなります。
前線によって期待が出来る波は、距離や時間はさほど長くないものの (停滞前線は時間が長いこともある)、強く吹くことによって生み出されます。

前線による波は、波の周期(波長)は短めですが、オンショアならば風をかわせるポイントを選び、オフショアに変わったら、その瞬間にタイミングよく入れば充分楽しめる期待ができます。

前線の種類や位置、進行方向、ポイントの向きや位置なども考慮して、タイミングよく狙ってみてください。

今回は【前線と波】についてのお話でした。

次回はたぶん、、、波を予想する時にとっても重要な【波の周期(波長)】についてのお話をしようと思います。

申し遅れましたが、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

気象予報士
塩田久実