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なみある?塩田気象予報士の波や天気のお話。【高気圧の色々】

今年は桜の開花が早く、お彼岸を過ぎて、西~東日本では満開となったところが次々と出てきました。
千葉外房のうちの辺りでは、まだ五~七分咲きほどの桜も見かけますが、春を告げる桜前線はわりとハイスピードで北上しているようです。

桜五分


そして、花粉が飛びまくっているこの季節。スギ花粉はピークを超えましたが、ヒノキはまだまだ全開のようです。
私は以前10年ほど重めの花粉症でしたが、ここ5年くらいは、ラッキーなことに、たまにくしゃみが出たり、目がかゆくなる日が年に数日ある程度に落ち着いています。
花粉症が酷かった頃は、海に入ると一時的に体内に入った花粉が流されるのか!?上がってしばらくは楽だった記憶が。
しかし、先日友人が「海入るとさらにカピカピになって辛いんだ(涙)」と話していました。どちらが正解?人それぞれ?ですかね。
あと、花粉症の症状が出ていたころは湘南在住でしたが、南西風がドン吹くと症状がひどくなっていました。予想天気図に日本海低気圧が現れると、波よりも、何曜日に目と鼻がつらくなりそう、などど、そっちが気になったものです。
近所にも、また都内在住の人でも同じようなことを言う人が結構いましたが、伊豆半島や箱根、丹沢の山々から飛んでくるのでしょうか。
暖かくなって桜も見頃となり、水温も上がって何回ドルフィンしても頭が痛くならない、心地良い季節がやってきましたが、花粉も早く落ち着きますように。

さて以前、低気圧の色々についてお話ししましたが、今回は「高気圧」のお話をしたいと思います。

まず、気圧というのは、地球を取り巻く大気の重さによって生まれる圧力のこと。
「低気圧」は周囲よりも気圧が低いところ、「高気圧」は周囲より気圧が高いところです。何hPa以上が高気圧などと決まっているわけではありません。
空気は気圧が高いところから低いところへ動く。これが風です。
高気圧から風が吹き出し、低気圧へは風が吹き込みます。
北半球では、高気圧は中心から四方八方へ向かって時計回りに空気が流れ出して(風が吹き出して)います。

高気圧の成り立ちには「気温」と「地球規模の大気の流れ」が関係しており、温度分布や移動の速度によって、3種類に分けられます。

① 背の高い高気圧 
上空に空気が集まり、大規模な下降気流となって地表へ降りてくる。5km以上の高さを持つ高気圧で、周囲に比べ、中心ほど気温が高く、動きが遅い。温暖高気圧ともいわれている。

② 背の低い高気圧 
地表が冷やされて重い空気が下に溜まって出来る。高さ2~3kmくらいまでで、ほとんど停滞している。寒冷低気圧。

③ 移動性の高気圧
温帯低気圧と交互に現れ、1日におよそ1000kmほど東へ進む高気圧。主に春や秋に3~4日毎に通過する。前面の北寄りの風は寒気を南へ、後面の南寄りの風は暖気を北へ運び、これを繰り返すことで、季節も進んでいく。高気圧の前面(東側)は低温、後面(西側)は高温。

日本列島の周辺には高気圧は大きく分けて4つ存在し、以前にお話しした気団から成り立ち、季節の移り変わりに合わせ、それぞれの存在感を強調して現れます。

日本周辺の気団

それでは、順にご紹介します。

【太平洋高気圧】(高温湿潤)(背高)

2019080309 太平洋高気圧

夏の象徴。背の高い高気圧の代表で、太平洋北部をほぼ覆うように広がる巨大な背の高い高気圧。日本の夏の天気を支配する。日本列島を覆うようにしっかりと張り出していると猛暑日続出など暑い夏になります。

【オホーツク海高気圧】(冷涼湿潤)(背高)

2019070909 オホーツク海高気圧

梅雨の時期などにオホーツク海を覆うように、よく現れる比較的小ぶりな高気圧。冷たい海面の影響を受けて下層は冷涼ですが、上空は温暖であり、背の高い高気圧の部類に入ります。勢力が強まると北日本を濃霧が広がり、「やませ」と呼ばれる冷たく湿った北東風が吹いて、冷夏の原因となります。 

【シベリア高気圧】(寒冷乾燥)(背低)

2012121009冬 シベリア高気圧

冬の象徴。ユーラシア大陸で発達する高気圧で、中心はユーラシア大陸で、西はカザフスタンの西側カスピ海付近、東は日本まで覆うという、こちらも巨大な高気圧。この高気圧が冬将軍をもたらします。冬になるとシベリアの大地はカチカチキンキンに冷え渡り、地上付近の気温も非常に低くなります。背の低い高気圧です。

【移動性高気圧】(温暖乾燥)(移動性)

2006050409 移動性高気圧

ちょうど今の季節、春や秋に存在感増し増しの移動性高気圧です。小さめな高気圧で、偏西風に乗って日本付近を西から東へ移動します。この高気圧の中は、さわやかな好天に恵まれます。

さて今回は、日本周辺に現れる高気圧についてお話ししました。
高気圧によってもたらされる波についてはまた次回♪

気象予報士
塩田久実