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ジン君が入隊した #bts

BTSの最年長メンバー、ジンことキム・ソクジンさんが12月13日、韓国軍に入隊しました。なんとメンバー全員が、北朝鮮との軍事境界線に接する京畿(キョンギ)道・漣川(ヨンチョン)郡の新兵教育隊の施設に集まり、ヒョン(お兄ちゃん)をお見送り。その後Twitter公式アカウントで7人全員一緒の写真を公開しました。

ARMYたちは集まらなかった

所属事務所のHYBEによれば、彼らは順次兵役義務を果たし、2025年にも活動を再開予定。BTSファン=ARMYは2025年まで7人が揃った姿を見ることができません。BTSはそんなARMYたちの寂しさを少しでも拭うかのような笑顔の写真をTwitterで公開。全員でお兄ちゃんの坊主頭を撫でる微笑ましい写真もありました。(心優しいメンバーのJ HopeとJiminは、頭を撫でて笑いながらも目に涙を浮かべているように見えます)

韓国メディアによれば、ARMYたちは、ジン君本人と事務所が事前に何度も「見送らないでほしい」と呼びかけたことを愚直に守り、ほとんど集まらなかったそうです。人気アイドルや俳優の入隊では数百人単位でファンが集まるのが当たり前。これは本当に異例のことでした。

集まったARMYは数人とも数十人とも報じられていますが、報道陣や警備の数に比べて圧倒的に少なかったのは確かです。BTSとARMYが深い信頼関係で結ばれていることが見事に示された出来事でした。

BTSメンバー入隊のインパクト

世界的人気を誇るBTSメンバーがついに入隊するとあって、各国メディアはその背景も含めて詳しく報じています。

全世界に散らばる数千万人のBTSファンだけでなく、このニュースを見た多くの人々が、彼らが兵役に行かなければならない理由、すなわち朝鮮戦争の存在を知ることになるでしょう。朝鮮戦争は、その直前まで続いた日本の植民地支配と地続きです。複雑な日韓関係など1ミリも知らなかった世界中の若者たちが、その歴史に興味を持ったときに、どう受け止めるでしょうか。そのときに私たちは何をどう説明できるのか。日本政府は、そんな若い人たちが理解できるような外国語のコンテンツを用意しているでしょうか。
英文検索すると出てくるのは、いかに日本がbrutal(残忍)な支配をしていたかというものばかりでした。

BTSの優しさと、突出したコミュニケーションの質量

私がARMY(BTSファン)としてBTSに沼落ちしてから約2年。これから2年近く彼らの姿を見られないと思うと寂しいです。メンバーたちはそれぞれのSNSでジン君を送り出す投稿をあげて、ファンを泣かせます。

ダンス隊長のJHope(右)がアップしたジンとの写真。「元気で幸せになりましょう、兄さん!!! 愛しています!!!」とのコメント付き。

ジン君の入隊にいたるまでのファンとのコミュニケーションは見事でした。
息つく暇がないペースで、充実したコンテンツが次々に配信されます。
ファンは悲しんだり、入隊日に韓国に行って見送りしようというような馬鹿げた余計なことを考えたりする時間が全くなかったのです。
箇条書きで振り返っておきます。膨大な量にめまいがします。(全部読むと大変なので、箇条書き部分を飛ばして最後の結論に行ってください)

  • 10月8日。6月に「グループ活動休止」を公表して以来初めて、The Fact Music Awardsで7人そろっての演奏を披露。ジン君は「ファンスターチョイス個人部門」を受賞、メンバー6人の肩に担がれて登壇。

  • 10月15日に韓国・釜山で開いたコンサートでは、シングルカットしていなかった新アルバムのロックナンバー「RUN BTS」をサプライズ披露。衝撃的に力強い新たな振り付けに、ファンは「BTSの本領発揮!!」と歓喜。

  • その衝撃と興奮がさめやらぬコンサートのわずか2日後に、ジン君の入隊手続き開始を事務所が発表。

  • 衝撃の発表の悲しみに浸る暇もなく、直後からジン君のソロシングルの概要が少しずつ明かされ、「何がなんでもジン君を応援しなければ」という気持ちが高まる。作詞作曲が親交あるColdplayのクリス・マーティンであることが明かされ期待も膨らむ。

  • Astronautブロモーションのためだけに新ゆるキャラ「ウット君」を登場させ、インスタアカウントを開設

  • 10月28日、シングル「The Astronaut」MVを発表。

  • その翌日、アルゼンチンに飛びColdplayのワールドツアーに1日だけ参加、ソロシングルをライブで披露。ステージにはウット君のぬいぐるみ。

  • ライブではクリス・マーティンが楽曲提供の経緯を感動的に説明。

  • ライブ直前にはジン君はファン向けのライブトークを配信し、兵役を延期してきた理由を赤裸々に告白。「もっと早くにいきたかったけどDynamiteが予想外にヒットしてしまって・・・」

  • Astronautの関連商品開発の裏話を披露。ジン君自身がこだわりぬいた商品であることが伝わる

  • BTSバラエティ番組「Run! BTS」の新たなエピソード配信

  • 韓国の人気YouTube番組で女性アーティストと酒をしこたま飲んで酔っ払う

  • 韓国のテレビの人気バラエティ番組2つに相次いで出演。

  • 韓国の超有名シェフと韓国の伝統酒づくりに挑むYouTube番組を配信。

  • 昨年末スマッシュヒットした「スーパーチャムチ」(スーパーまぐろ)の制作ビハインド1本目を配信

  • 「Special Challenge for ARMY」と名付けたAstronaut関連商品紹介バラエティ番組を配信、商品を全世界のARMYにプレゼントする大掛かりな企画展開。

  • 途中、韓国メディアが入隊日と入隊場所をスッパ抜くが、ジン君はその直後にファン向けSNSのWeverseで「残念な形で知られてしまった」と前置きしながら、ARMYたちに見送りに来ないように念を押す。

  • 11月30日には大阪で開かれた音楽賞MAMAに出演したメンバーJHopeが、受賞スピーチでジン君に生電話。「ARMY!」と叫んで、ファンに最後のお別れメッセージを届けた。

  • 12月2日、BTSリーダーのRMがソロアルバムを発表し、文字情報も含む大量の関連コンテンツを毎日投下。そちらに気を取られているうちに、入隊日がどんどん近づく。

  • 12月4日、ジン君満30歳の誕生日。短いファン向けライブ配信で、誕生日ケーキを手で割る荒技を披露。涙を見せない

  • 同日、単独写真集のプレビューを兼ねスーパーチャムチのビハインド2本目を配信

  • 12月11日、入隊2日前。ファン向けSNSのWeverseで坊主頭を披露、「wwwwww思ったより可愛い」とコメントをつける。

  • 13日の当日朝もWeverseに「さぁ、カーテンコールの時間だ。(軍隊に行く時にやってみたかった)(ゲームキャラクター「ジン」のセリフ)」とテキスト投稿。ちょっとお茶目にARMYに別れを告げた。

  • そして本当に本当の最後に、冒頭に紹介した7人の写真である。

これだけ丁寧に別れを告げてもらえることなんて、普通の人間関係の中であるでしょうか? 
これだけ大量のコンテンツ、配信スケジュールは緻密に計算されていたと思いますが、コンテンツの内容からは一貫して、率直でウイットに富み、人懐っこくて可愛らしいジン君の人柄ばかりが伝わってきます。
いちARMYとしては「何度も何度も話をしてもらって、説明してもらった。とても大切にしてもらった」というあたたかい記憶だけが残っています。
こんなふうに積み重ねた交流があるからこそ、ジン君の意志を尊重して、入隊日にARMYたちは集まらなかったのでしょう。

7人がもう一回揃うまで、これから2年近く。ひとまわり成長した彼らとの再会を、楽しみに待とうと思います。

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