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BTS、活動”休止”発表 どこまでもAuthenticに悩みを語り、ファンに誠実に伝えたメッセージ

2022年6月14日、「BTS会食」(The Real BTS Dinner Party) と銘打たれたYouTube動画で、BTSメンバーがグループとしての活動を一時休止すると発表した。Dynamite以降ファンになって約2年、彼らを追い続けてきたArmyとして、いま感じていることを、とりあえずの記録に残そうと思う。

6月13日は彼らのデビュー記念日。この日に向けた1−2週間は毎年「FESTA」というお祝い期間で大量のコンテンツが供給される。
デビュー記念日の翌日に、なぜ会食?と思って動画を見始めたら、いつもの楽しい食事コンテンツとはどうも雰囲気が違う。まずは7人が一緒に住んでいた宿舎の契約が切れて、それを手放すという話から始まった。

1時間1分56秒もの長尺動画。だんだん核心に入っていく。
デビュー9年目にリリースした新アルバムがなぜアンソロジーアルバムだったのかをRMが語り始める。そしてメンバーのソロ活動の話が続く。少しずつ、BTSとしては活動休止すること、当面はメンバーがソロ活動に専念することがハッキリしてくる。
彼らが会話を続ける中で、だんだんと理解が追いついてくる。

なぜ韓国の音楽番組に出たのか?3月の韓国コンサートではコロナ対策で歓声禁止で寂しかった、地元ファンの歓声を聞きたかった。パフォーマンスは本当に大変だから、ファンが期待している『Run! BTS』の歌は披露しない。ごめんなさい。

『走れ!バンタン』(人気の配信バラエティー番組)は続けたい。

かつて出したミックステープも含めたソロアルバムをメンバーそれぞれが出していく。Vは「皆さんの知っているVとは違う自分を見せたい」と。
ソロアルバム発表は最年長のJINが一番最後になる予定。

BTSであり続けるために、活動休止を選択した、と。
必ずもっと良くなって戻ってくると、最年少のジョングクが約束する。

今回の決断に至った理由を語るリーダーRMの言葉は切実だった。(YouTubeの英語字幕抜粋)
— I started music and became BTS because I had a message for the world.
I didn't know what I would do after "ON" but then COVID-19 came up
so we did "Dynamite", "Butter" "Permission to Dance", "Life Goes On"
And I realized the group has definitely changed.

僕が音楽を始めてBTSに入ったのは、世界に伝えたいメッセージがあったからだった。
「ON」をリリースした後は休むことも考えていたが、コロナになってしまった。
「Dynamite」「Life Goes On」「Butter」「Permission to Dance」を出した。
そしてBTSは変わってしまった。

For me, it was like the group BTS was within my grasp until "ON" and "Dynamite" but after "Butter" and "Permission to Dance", I didn't know what kind of group we were anymore.
Whenever I write lyrics and songs, it's really important what kind of story and message I want to give out, but it was like that was gone now.
I don't know what kind of story I should tell now

「Dynamite」まではBTSというグループが自分の手の届く範囲にあった。でも「Butter」と「Permission to Dance」からは、自分達がどんなグループだか分からなくなってしまった。
自分が歌詞や曲を書くときは、どんなストーリーやメッセージを自分が問いかけたいかが非常に重要なんだけど、今はそれがない。
自分が今どんなストーリーを語りたいのかが分からないんだ。—-

BTSが世界中に受け入れられた最大の理由は、彼らが語るメッセージだった。そのメッセージが枯渇してしまったというのだ。

最初に泣いたのはムードメーカーでおしゃれ番長のJ-Hopeだった。
普段はセクシーなダンスとあざと可愛さのギャップがたまらないJiminも、耐えきれずに涙ぐんだ。
いつもメンバーを背負って頑張ってきたリーダーのRMが最後に涙が抑えられず、盟友SUGAも思わず涙している。

ファン=ARMYの期待に応えられずに申し訳ないという言葉、いやきっとARMYは僕らの誠実さを理解してくれるはずだという言葉。自分たちの進む道を迷いながら選び取っていった彼らの思いがひしひしと伝わってくる。
自分達の言葉で、1時間かけて、活動休止という重い決断を、ファンに理解してもらいたくて、なかなか言い出せずにいるんだけど、言い出し始めたら一気に深いところまで全員が思いを語る。

彼らの一番の人気の源は「Authenticity」だと何度も書いてきた。Authentic、真実らしさ、自分らしさ。強みも弱みもウソがないと信じられるコミュニケーション。今回の1時間の告白をじっと見ながら、彼らのauthenticityを繰り返し噛み締めた。
とてつもない寂しさと、2年間一緒に奇跡を見せてくれたことへの感謝と、誠実に語ってくれた彼らへのリスペクトで胸が詰まる。

人気絶頂のこのタイミングで、自分達のために、一番稼げる仕事をいったん休むという選択をした彼らは、本当に新しい世代のアイドルだ。

ゆっくり充電して、また皆で活動する姿を見せてください。


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