修真者の資質と功法について

極論すれば、霊気のある世界に生まれた人間が修真者になるために必要なものは資質と功法だけです。

資質は修真者になるための前提条件であり、功法はその手引書のようなものです。

資質は基本生まれつきで、後天的に獲得したり、強くすることはほぼ不可能に近い。可能だったとしても大変な対価が必要になる場合が多いです。多くの作品の中で資質は霊根の有無とランクによって表されます。霊根とは、人の体内にある、霊気の転換器のようなものです。よって、霊根を持たないものは体外に存在する霊気を、体内に取り込むことが出来ません。これがないと一発でアウトです。霊根は設定にもよりますが、基本仮想上の器官と考えて良いでしょう。霊根を持つものを普通に殺して解剖しても、霊根を見つけ出すことは出来ませんが、作品によっては、特殊な方法でこれを取り出し、他の人に埋め込むことも可能です。もちろん、生まれつきのものよりは不安定になりますが、悪役の常套手段の一つです。

霊根には属性があり、そして霊根のランクはその属性の多寡によって決まります。修真作品の中ではほとんどの場合において、属性は少ないほうが良いとされています。単属性の霊根は単霊根または天霊根と呼ばれ、霊力の吸収効率が最も高く、修行速度も早い。そして双霊根、三霊根、四霊根、五霊根と属性が増える毎に、効率とレア度はどんどん落ちていきます。また、金木水火土などの基本属性以外にも、雷や氷といった変異属性も存在しますが、こちらもやはりレア度が高いです。

また資質は修真者としての適性と広義的に解釈することも出来ます。その場合、骨格や経脈、反射神経の良し悪し、頭の良さや性格なども含まれます。

修真者になるというのは、自らの肉体を作り変えることでもありますので、修行が進むにつれ、身体的なアドバンテージはだんだん薄れていきます。しかししばしば「心性」と呼ばれる性格だけは、どうにもならない場合が多いです。

修真者に適した性格とはずばり、「清心寡欲」です。つまり、根っからの聖人君子のような人間です。なぜなら修行とは孤独なものです。雑念が多く、落ち着かない人間に向かないのは言うまでもないでしょう。そして、力を持つものとして、欲が強すぎると他人に騙され利用されたりして、惑わされやすく、自分と他人を危険に晒しやすいし、欲にかられて、危険を冒したり、道を踏み外すことにもなりかねません。

修真者の目的はあくまでも飛昇なので、途中で死んだり争いに明け暮れて修行を疎かにしていては本末転倒です。


次に功法の話に入ります。

修真者の修行の基本中の基本は、体外に存在する霊気を体内に取り込み、特定なルートで循環させてから、丹田に溜め込むことです。

その特定なルートというのがすなわち功法です。

功法にもランクと属性があります。属性のある功法は、その属性に対応する霊根を持ってないと修行できません。また、霊根さえあれば誰でも修行できる低ランクの功法もありますが、ランクの低い功法は修行の効率が悪いので、自分に合った高ランク功法を手に入れることが肝要です。

また、功法というのは基本一生モノです。強くなってから高ランクなものを手に入れても、そのまま使えるケースは稀で、多くの場合、最初からやり直すしかありません。まっさらな状態から修行するより早いとはいえ、大変な労力と時間が必要になります。また、場合によっては一時的に弱くなるケースもありますので、リスクの高い選択になります。

そして、一生モノというからには、引気入体(最初の一縷の霊気を体内に取り込むこと)から練気、築基、結丹と……あらゆる修行段階の修行方法が書かれているものが望ましいですが、低ランクの功法ではそもそもの効率が悪いため、次の段階に入る前に寿命が来てしまったりと、続きの修行方法が書かれていない場合も多いです。天才的な修真者であれば、続きがなくても模索して、自力で作り上げることも可能なので、使い勝手は良いのに、続きのない功法を選ぶ場合もあります。

また、功法によっては、属性だけじゃなく、体質や性別などの制限があるものもあります。
他にも、性格に影響を及ぼす功法や、体質を作り変える功法などもあります。

低ランクの功法であれば、そのへんの修真者の坊市で霊石一個で買えたり、修真門派に入れば誰でも貰えたりしますが、高ランクなものは内門弟子になったり、誰か強い人に弟子入りしなければ手に入らない場合が多いです。また、冒険の途中で、戦利品として手に入ったり、偶然誰かの伝承を手に入れるケースもあります。

ただし、「法不轻传」という言葉からも分かるように、功法というのはむやみに他人に教えてはいけないもので、師尊の尊たる所以もそこになります。

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