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 皆さんは毒を摂取したことはありますか?
 インターネットで調べてみると毒とは生命活動に芳しくない影響を与える物質だそうです。つまり酒も煙草も立派な毒なんですね。
 それはさておきシャンプーや都市ガス、殺虫剤など利用法を違えば人体に有毒な、つまり毒になる物質に囲まれて私たちは生きています。化学物質は体に悪いものが多いと信じている人も多いですがそれは本当のことなのです。
 ならばそれらを排除した自然環境は毒はないのでしょうか。答えはもちろんいいえです。ふぐが蓄えるテトロドトキシンや様々な種類の蛇毒、トリカブトやキョウチクトウなどの植物に含まれるアルカロイド類など自然界は多種多様な毒を作り上げてきました。しかしそれらは身を守るために身に着けてきたものがほとんどです。進化論的には毒を少し作れる遺伝子を持った個体がほかの無毒な個体より種の保存に長けていたためその結果、長い時間をかけて強毒を持つ現代の生き物として成り立ったわけです。

 ではキノコはどうでしょう。キノコは他の生き物より強い毒をもった種類がとても多いのです。しかも地味な見た目の。たいていの毒を持つ生物はカラフルな見た目のものがおおく、その理由は捕食者がわかりやすいためです。一度蜂に刺されれば黒と黄色の縞々の虫には近づかなくなるでしょう、またシュウ酸カルシュウムの激痛を味わえばあの毒々しいコンニャクの花を見るだけでその場を後にするはずです(人間は食べてしまいますが)。
 しかし毒キノコの多くは地味な見た目をしています。しかも致死量が極めて少ないものが多いのです。これではこのキノコは危険だということを捕食者にわからせることが出来ずに殺してしまいます。それではキノコが生えるたびに食べられ、食べた生き物が死に、またキノコが生え食べられて死にの連鎖になってしまいます。
 これでは毒を持った意味がない気がしますが実はこれこそがキノコの戦略らしいのです。我々が目にするキノコは子実体といいキノコ全体の一部にすぎません。本体は地中の中でまるで綿のように、もしくは網のように広い範囲で広がっています。大きいものですと一つの山全体に一つのキノコの菌糸が張り巡らされていることもあるそうです。そしてそんなキノコたちは山に生えている木や枯葉などから栄養を得て育ちます。つまり山が豊になればなるほど元気なキノコになるのです。
 それがキノコが毒を持つ理由らしいのです。つまりキノコの毒で死んだ生き物で山を豊かにするのです。生き物が死ぬと虫や細菌などが分解してアンモニアや尿素などの栄養になります。それが結果的にキノコの繁栄につながるのです。キノコの生存戦略はスケールの大きく、気の長いものなんですね。

 あなたが森へ行き、立派なキノコの群生を見かけたら、その下には死体があるのかもしれません。

※上記の文は私的妄想に基づきます


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