ナチュラル和田アキ子

先日、初めて京都に行った。
旅行ではなく、部活で。
茶道部なのに。

その活動は、全国から高校生が集まって交流会しよ!というものである。関東人が関西人と絡むことはとても少ないと思う。中々出向かない場所でテンションが上がりつつ、色んな人と喋った。
私自身は関東の人間なので、標準語を話す。他の子は京都弁、関西弁…など生で聞いて夢にいるような気分だった。
朝、挨拶してくれた男性はほぼ新喜劇みたいなテンションで「おはようございますー」と言ってくれた。
京都の人といえば、京言葉だが言われた記憶はないので大丈夫だろう。でも、京都弁が冷たく聞こえるのは事実なんだなと思った。私に指示をしてくれる時に、ピシャンと言ってきているように聞こえ、急かしてくる時も、穏やかな時もなんだか裏がありそうに聞こえて不思議な空間だった。今思えば、あの瞬間が1番京都を感じた時だった。

初めての場所の初めてのトイレは緊張する。
これはあるあるだと思うが、その場所でトイレに行かなくてはならない場面に突入した。場所を聞いて、緊張しながらトイレに行くと少し並んでいた。2つトイレがあるけれど、中が狭く外に並んでいる様子だった。私もその後ろに並び、自分の順番を待っていた。すると、私の後ろに3人組のおばさまが並ばれた。この人も京都の人なのかなぁと思いつつ、スマホを忘れたので扉とにらめっこ状態が続いた。すると、3人組の1人のおばさまが私に

「あなた何されてる方なの?」

と聞いてきた。耳を疑った。私は思った。

ナチュラル和田アキ子やんけ!!!!

生きてきた中で言われたことがある人はいるだろうか。どういう生き方をしていたらナチュラルにその言葉が出てくるのだろうか。残りの2人のおばさまも「うんうん、あなた何されてる方なの?」の表情を私に向けている。もちろん、「一瞬で和田アキ子下ろしました?」とかは聞けない。そんなことを考えつつ3人のおばさまの顔をずっと見ていたら、質問の内容を半分くらい忘れ、変な間だなと思われないタイミングギリギリで「茶道してて」と行った。「そうなんや〜」と言われ、会話はほぼ終わったが何にしろナチュラル和田アキ子というシンプルにおかしな造語を生み出してしまったことに恥ずかしさを覚えた。

そして、変な沈黙があった後トイレから1人出てきたので私も入ったけれどまだ並んでいた。そうしている間にも「あなた何されてる方なの?」が私の脳内をぐるぐる回っていた。少し経って噂な和田アキ子おばさまが中に入ってきた。奇跡の再会だった。「まだおった笑」と言われて、あ、3人組の1人のおばさまだったわと思い出し「えへへへ」とさっきまでナチュラル和田アキ子などと考えていたとは思えない返事をしてしまった。恥ずかしいなぁと思いつつ、帰りの電車の中でも新幹線の中でも家に帰ってからも忘れられない出来事になってしまった。

次はガチガチ和田アキ子に会いたいです。

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