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7月23日

誰に会いたいのかわからない。だけど、どうしようもなく、会いたい。そんな状態がたぶんもう年単位で続いてるんだけど、今夜は余計にそうだ。

なんかわかるよ、それ。と言ってくれる人に、会いたいのかもしれない。数少ないけど、これまでの人生で何度か顔を合わせた、あなたかもしれないし、はっきりとしたことは言えない。

一昨日の朝、祖母が死んだ。老衰で、眠るように。父が駆けつけてお医者さん立会のもと確認した時間が、記録されるこの世を去った時間。正確なところは誰にもわからない。誰の目にも触れないまま、静かに祖母の人生が閉じた。

物心ついた頃から、祖母は特別なひとだった。厳しくて、怖い。強い。そして優しい。年を取るごとに、やわらかく笑っていた。祖母のことばや声は、上京しても、就職しても、1年に1回も会えない年が続いても、いつも傍にあった。祖母が一人で暮らす田舎の家もいつも夢にでてきた。

お骨になった祖母は、いま何を思っているんだろう。祖父が亡くなって30年、あちらの世界で会えただろうか。三途の川を渡る備えに、口紅を持ってもらった。久しぶりに会えるのだから、きれいにしてほしくて。おじいちゃんは、気付くかな。お骨は白くてきれいな布に丁寧に包まれて、あの中なら安心だと思えた。やっと、やっと、点滴ばかりの日々から開放されて、心休まっていたらいいなと思う。

後悔のないように、どこかでそう思って焦るように会っていたけど、どうしても空虚感はあるし、絶対なんてない。明日も明後日もわたしは生きていくけど、絶対なんてひとつもない。祖母が残してくれた叔母や父を大切に、また生きていくしかない。

そうだよね、ってわかり会える人に、いつか会えたらいいな。

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