松村北斗という衝撃



彼には、彼にしか紡げない言葉がある。



2023年3月10日午後9時
第46回日本アカデミー賞発表があった。

silentからすっかりめめ(SnowMan 目黒蓮)担になった母は、2022年12月2日に公開された「月の満ち欠け」にて新人賞と助演男優賞を受賞しためめのスピーチを刮目するべく、テレビの前にいた。

私も一緒に見ようと思っていたけれど、丁度WBC日本対韓国戦を観戦中。
母に録画を依頼し、別の画面に集中していた。

一通り母も私も、お互いの鑑賞したいものを見終えた頃、母は私に開口一番こう言った。

「松村北斗のスピーチを見て欲しい」

「絶対あなた好きだから。絶対見た方がいい!スピーチを早く見て欲しい!」
なんて珍しくすごい熱量で勧めてくるので、ビックリしたのを今でも覚えている。

その当時、私は松村北斗という人物について、恥ずかしながら「すずめの戸締りに出てるイケメンのイケボのSixTONESというジャニーズグループの人」というほんの少しの情報しか知らず、だからこそ、母が何故こんなにも高い熱量でお勧めしてくるのかわからなかった。

とは言え元々見る予定だったし、そんなに言うならと彼がスピーチをするところまでスキップして見てみた。

ただ、この時を振り返って思う。

母親っていうのは、偉大だ。
娘のことを、よく分かってる。

そのスピーチを聞いた瞬間、「こんなに澄ました顔で、こんなに凄い言葉の表現をする人がいるのか……!」と大きな衝撃を受けた。

それは、青天の霹靂と言ってもいいくらいだった。

その時の松村北斗のスピーチを聞いて「何言ってんだ?」と思う人は、きっと多い。
私も正直そう思った。
本人も、彼と苦楽を共にしてるメンバーも、後にそう思っていることをラジオで明かしている。

だけど、いや、だからこそ彼のスピーチが頭から離れなかった。
あの時から1か月以上経った今でも、私はあの時の松村北斗のスピーチを一言一句鮮明に覚えている。

それぐらいインパクトのある言葉だったし、私には到底できない言葉の表現の仕方だった。

彼には、彼にしか紡げない言葉がある。

世の中に綺麗なスピーチは数多にあれど、これほど人の記憶にこびりつくスピーチはそうそうない。
松村北斗の表現者としての独特の世界観と、それを堂々と発揮できる生き様が凄くカッコよくて、羨ましくて、憧れた。

ここまで人の言葉に衝撃を受けたのは、高校生の時夏目漱石の「こころ」を読んだ時以来だった。
驚きのベクトルは違えど、まさか、2人目。
それも今現在生きている人で、年も近くて、なのに私の頭からずっと離れない言葉を紡ぐ人がいることに感動して、嫉妬した。

これからもっと松村北斗の言葉を聞きたいと思った。

だから、彼がSixTONESとして活動してるうちは、私なりにその言葉をかき集めよう。

そしてもし、ほんの1秒だけでも松村北斗に出会えるのだとしたら、0.1パーセントでもこの感動とお礼を直接伝えられる可能性があるなら、私はそれまで自分の言葉を紡いでいこう。

それが今の私の生きる希望であり、勇気であり、道となる。

最後に。

お母さん、私に松村北斗を教えてくれてありがとう。


※敬称略注意

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