セイギのミカタ 第三話「もう一人のヒーロー」

■ジャスティス5基地。
ジャスティス5の基地に小学3年生たちが社会科見学にやってくる。
伊久佐「はーいココが、本部指令室です」
小学生たち「うわー」

走り回る小学生を注意する引率の女性教師。
先生「勝手に走り回らない!」

司令長の椅子に座る女の子。
女の子A「ジャスティス5出動せよ!」
先生「こら!」

伊久佐が女の子の頭をなでる。
伊久佐「女性初の司令長はキミかもしれないねー」
女の子A「女性『初』をありがたがってるようでは、日本はまだ未熟ですね」
伊久佐「ハイ…」

女の子を椅子から降ろす先生。
先生「スイマセン!」

走り回る男の子が何かにぶつかる。
男の子「痛っ」

ジャスティスレッドが子どもを持ち上げる。
ジャスティスレッド「元気だなー」

持ち上げられた男の子が大喜びする。
男の子A「ジャスティスレッド!」

レッドの周りに子どもたちが集まってくる。

ジャスティスホワイトの周りには女子がたくさん集まってくる。

ジャスティスブルーとジャスティスイエローがその様子を見て話す。
ジャスティスブルー「子どもって現金ね」

ジャスティスブラックのもとには誰も近寄ってこない。
ジャスティスイエロー「子どもって残酷ですね」

男の子Bがジャスティスレッドにねだる。
男の子B「ねえ、あれやってー」

変身ポーズを披露するジャスティスレッド。
ジャスティスレッド「正義よ俺に宿れ!」

生徒が一斉に沸く。
男の子B「本物だー!」

■回想シーン。
ゴミが散乱した部屋とブラウン管のテレビを見ている少年の背中。
映し出されたテレビには戦隊ヒーローの映像。
テレビの中のヒーローがポーズをとる。
テレビの中のヒーロー「さあヒーローの時間だ!」

同じようにポーズをとる少年の後ろ姿。

■ジャスティス5基地
指令室に座って子どもたちの質問を受ける。
女の子B「女の子でもヒーローになれますか?」
ジャスティスイエロー「もちろん!」
伊久佐「ジャスティス5は、性別、年齢関係なく実力があれば誰でもヒーローになれます」

別の子が質問をする。
男の子C「お給料はもらえるんですか?」
伊久佐「もちろん。ヒーローもボランティアではないからね」

別の子が質問をする。
女の子C「どうして、ヒーローは悪を倒すんですか?」
ジャスティスブラック「どうしてって?悪は悪いからだよ」
女の子C「なにか悪いことしたの?」

ジャスティスイエロー「悪はね、みんなが嫌だなーってことをするんだよ」

女の子C「じゃあ、ヒロトくんもたまに意地悪するけど、ヒロトくんも悪なの?」
ヒロトくん「俺は悪じゃねえよ」

ジャスティスレッドが立ち上がる。
ジャスティスレッド「とてもいい質問だ!」

ジャスティスレッド「まずはひとつ。ヒロト君はきっとキミのことが好きなんだ」
ヒロトくんが照れて否定する。
ヒロトくん「す、好きじゃねえよ」

ジャスティスレッドが笑う。
ジャスティスレッド「私みたいに赤くなってるぞー!好きという気持ちは恥ずかしいことじゃない」

ジャスティスレッド「そして、もうひとつ。どうして悪を倒すのかってことだよね?」
女の子Cがうなずく。

ジャスティスレッド「キミはパン屋さんがパンをつくるのはどうしてだと思う?」
女の子C「パンを食べたい人がいるから」
ジャスティスレッド「そう!同じように、悪を倒してほしい人がいるからヒーローは悪を倒すんだ」
男の子D「じゃあ、悪を倒して欲しい人がいなくなったら?」
ジャスティスレッド「どうしたらいいと思う?」

みんなが考える。
女の子D「別の仕事をする!」
男の子E「ヒーローがそんなの変だよー」
子どもたちがワイワイと議論を始める。
その中で一人の女の子がぼそっとつぶやく。
女の子E「別の悪をつくる」

そのつぶやきを聞いていたジャスティスブルー。
ジャスティスブルー「子どもって怖いわね」

指令室に警報音がなる。
警報音「ブーブーブー」
アナウンス「渋谷センター街に怪人出現。モニターに映し出します」

モニターに米俵がモチーフで嵐のデビュー時のようなスケルトンの衣装を着た怪人(コメアラシ)が映し出される。
コメアラシ「マジコイツラキモーイ」
子どもたちが悲鳴を上げる。
子どもたち「キャー」
女の子D「なんかスケスケがいやー」
ジャスティスホワイト「なんとなく、その服のことには触れない方が良いって俺の直感が言っている」
ジャスティスイエロー「どうしてですか?」
ジャスティスホワイト「コメ欄が荒れる気がする」
暴れる怪人。逃げ惑う人たち。
コメアラシ「ニバンセンジオツ。スグコイツラキエル」

伊久佐が命令を出そうとする。
伊久佐「ジャスティ・・・」

冒頭の女の子が司令官の椅子に座って命令。
女の子「ジャスティス5すぐに出動せよ!」

全員があっけにとられる。
奥のモニターでは怪人に銀色のヒーローが切りかかっている様子が小さく映し出されている。
ジャスティス5「・・・」

その瞬間モニターから爆破の音が聞こえる。

全員がモニターに振り返る。
モニターに映っているのは爆破した怪人とそれを倒したであろう銀色のメタルスーツを着たヒーロー(シルバン)の姿。

ジャスティスホワイト「誰だコイツ?」

ゆっくりとモニターに向かって歩いてくるシルバン

感嘆の声をあげる子ども。
子ども「かっけー」
先生が慌ててその子の口をふさぐ。

シルバンがモニターに向かって話し出す。
シルバン「えっと、これで見えてるのかな?」

シルバンが咳ばらいをして話をつづける。
シルバン「あー私は政府直轄ヒーロー、シルバンだ」
伊久佐「政府直轄!?」

モニターに向かって丁寧に礼をするシルバン。
シルバン「以後、お見知りおきを」

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