セイギのミカタ 第ニ話「タッチ」

■ジャスティス5基地。
基地内で会議をしているジャスティス5と秘密基地防衛室長の伊久佐。
伊久佐「今月の怪人退治数は7体。前年同月比とくらべて140%増・・・」
白井「この会議って意味あるのか」
赤名「意味があるかどうかは、自分次第です」
白井「優等生してやがる」

赤名がちらっと時計を見る。

突然モニターにアーク総統の姿があらわれる。
アーク総統「やあ、ジャスティス5の諸君」
赤名「アーク総統!」
アーク総統「そう慌てるな」
赤名「いったいなんの用だ」
アーク総統「用がなかったら連絡しちゃダメなのかな」
青山「恋人みたいなこと言ってやがる」
黒崎「お前にかまって・・・」

話し出す黒崎を遮る赤名。
赤名「お前にかまってる暇などない」
黒崎「・・・」
アーク総統「まったく、ジャスティスレッドは短気な男だ」

■赤名の部屋。
自宅でアーク総統の恰好で撮影している。
アーク総統「まったく、ジャスティスレッドは短気な男だ」
目の前には想定のやりとりのカンペが貼ってある。
アーク総統がちょっと間を開けて待っている。
アーク総統「・・・ハッハッハ。もう少し間があった方が良いかな」

撮りなおすアーク総統。
アーク総統「・・・ハッハッハ、レッドが言いたいことはそれだけか。じゃあ、イエローはどうなんだ。」

■ジャスティス5基地。
アーク総統「じゃあ、イエローはどうなんだ」
黄田「えっ、私?」
赤名「何か答えて、早く!」

黄田が慌てて白井にタッチする。
黄田「急に言われても・・・タッチ!」
白井「オレ?」

モニターの中のアーク総統が待たずに話をすすめる。
アーク総統「そんなこと私に言われる筋合いはない」
黄田「私何も言ってないけど」

アーク総統「じゃあホワイトは」
白井「なんの用だよ。こっちも暇じゃないんだよ」

少し間があってアーク総統が答える。
アーク総統「・・・」
白井「なにこの間?」
アーク総統「・・・キミはいつもそんなことを言う。じゃあ、他に何かあるよーって人?」

青山がつぶやく。
青山「なんでこいつがまわしてるんだ?」

赤名がモニターに向かって言い放つ。
赤名「すぐにジャマーンを壊滅させてやるから、待ってろ!」
アーク総統「その日が来るのを首を長くして待っているよ」


モニターが切れる。黒崎がボソッとつぶやく。
黒崎「あの時、もしアーク総統を倒していたら、今頃私たち何をしてたんでしょうね?」

■回想シーン。
ジャスティス5がまだレッドとグリーンとブラックの3人がジャマーンの基地内で戦っている。
ジャスティスグリーン「ここは俺たちに任せてアーク総統を」
ジャスティスレッド「グリーン!」
ジャスティスブラック「さあ、早く!」
ジャスティスレッドがうなずいて走っていく。

■ジャスティス5基地
白井「まあ、ヒーローはやってないよな」
黄田「困ります!ヒーローのお給料が無くなったら大学進学のお金払えなくなる」
青山「悪がいないとお役御免か。皮肉だね」

黒崎が赤名がいないことに気づく。
黒崎「あれ、赤名さんは?」
伊久佐「献血のボランティアに行った」
白井「根っからのヒーローだねーアイツは」

■屋外献血ルーム。
ジャスティスレッドの恰好で人に呼びかける。
ジャスティスレッド「AB型の血液が不足していますー。ぜひ、ご協力してください!」

看板には献血した特典としてジャスティスレッドとの記念撮影ができると書かれている。
親子連れが話しかける。
母親「いいですか、写真?」
ジャスティスレッド「もちろん!」

子どもと同じポーズで写真に写るジャスティスレッド。

■赤名の回想シーン。ジャマーン基地
同じポーズをとっているジャスティスレッド。アーク総統を追いつめている。
ジャスティスレッド「ここまでだアーク総統!」
アーク総統「私を倒すのか?」
ジャスティスレッド「もちろん。悪を倒すのがヒーローの使命だ」
アーク総統「じゃあ、悪がいなくなったらヒーローはどうなる?」
アーク総統がマスクを外しテーブルに置く。
アーク総統「悪がいるからヒーローが必要とされる。そうは思わないかね?」

アーク総統の正体は人間の男性だった。
ジャスティスレッド「に・・・人間」
アーク総統「驚いているみたいだな」
ジャスティスレッド「どうして人間のお前が悪の組織を率いているんだ」
アーク総統「君たちが考えているよりも、この世界は相当複雑に絡み合ってるのだよ」

ジャスティスレッド「どういうことだ!」
アーク総統「まあ、そのうちわかることさ」

ジャスティスレッドが切りかかろうとする。
アーク総統「ヒーロー法第二条」

ジャスティスレッドが止まる。
アーク総統「ヒーローはいかなる時も人間を傷つけてはいけない。確かそうだよな?」
ジャスティスレッド「なぜ、それを!」
アーク総統「そんなことはどうでもいいだろ。確かなことは、私が人間であることを知ってしまった以上、キミが私を倒すことはできないということだけだ」

ジャスティスレッドに詰め寄るアーク総統。剣を引くジャスティスレッド。
アーク総統「だいたい、私たちを悪と決めたのはそちら側の都合じゃないか」
ジャスティスレッド「正義に反するものは悪でしかない」
アーク総統「じゃあ、正義とは何かね?」
ジャスティスレッド「正義とは・・・力だ」
アーク総統「その通り!そしてそれは、時にその力は暴走を始める」
ジャスティスレッド「そんなことはない」
アーク総統「歴史がそう証明しているよ。そして、暴走した正義の先にあるのが、キミたちが悪と呼んでいるものだ」
アーク総統「つまり悪とは正義の先にあるものだよ」
ジャスティスレッド「そんなことない!」

ジャスティスレッドが剣を下ろして仮面を外す。
アーク総統「そもそも悪のいない世の中で、お前のような男がどうやって生きていく」
ジャスティスレッド「・・・」

アーク総統が異変に気付く。
アーク総統「何をしている?」

ジャスティスレッドがアーク総統のマスクを被ろうとしている。
ジャスティスレッド「良かった、思ったより臭くない」

ジャスティスレッドがアーク総統に詰め寄る。
ジャスティスレッド「確かにお前の言うことには一理ある・・・が」
アーク総統「が?」
ジャスティスレッド「だとしたら、お前のように頼りないやつに悪を任せてはおけない」
アーク総統「何をするつもりだ?」

レッドソードをかまえるジャスティスレッド。
ジャスティスレッド「ボクが悪になれば、人間を傷つけても問題ないよな?」
アーク総統「まさか・・・」

ジャスティスレッドがレッドソードでアーク総統を切り倒す。
アーク総統「これも、計画なのか・・・」

ジャスティスレッドが新しいアーク総統に成り替わった瞬間。
ジャスティスレッド「どうせならボクが悪の方がヒーローにとっては都合がいいだろ」

アーク総統とジャスティスレッド顔が半分ずつ合わさったイメージカット。
ジャスティスレッド「ボクはヒーローにすべてを捧げる男だからね」

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