サイレントヒル2リメイクの話がしたくて……
ゲームに限らず、オススメの作品は? って訊かれると返答に窮します。
インドア派の趣味ばかりのオタクなもんでね。人よりは多少、多くの作品に触れてるから、絞りきれないんですよね。
ただ、ホラーゲームでオススメの作品は? と訊かれたら、仲谷は迷わずサイレントヒル2を推します。
そんな名作が23年の時を経て、最新の技術でフルリメイク!!!
SNSで速報見た時はね、嬉しさのあまり思わず声が出ましたよホント……予約開始と同時にカートに突っ込んで光の速さで支払い済ませました。
発売日一週間前ともなるともう待ち遠しくて仕事も手につかない有様……ここまでゲームの発売が楽しみなのはいつぶりだったか、本当に思い出せないレベル。
そして待ちに待った発売当日、仕事を適当にこなして帰宅し、家事もささっと片付けてプレイし始めたんですが……いやはや期待以上のもんでした。
これは現在8つのエンディングのうち、所謂ネタエンド以外の6エンドを回収した仲谷が、ネタバレに極力配慮しながら魅力を語っていく記事になります。
ホラー作品として秀逸なだけに逆に人に薦めづらい……んだけどもね……すこしでも気になったらプレイして欲しい……!
あらすじ
未だ色褪せぬ魅力的なストーリー
ストーリーとしては、イベントシーンが追加されたり、台詞回しに若干の変化が見られたものの、リメイクにあたって大きな変化はなし。
裏を返せばそれだけ物語が完成されていた、ということなのかなと。
何故、死んだはずの妻から手紙が届いたのか。
襲いかかってくるクリーチャーの正体。
マリアとは何者なのか。
ジェイムスが忘れている"ある真実"。
そして、メアリーの行方。
物語の進行とともに少しずつ大きくなる違和感や疑問が、終盤で一気に解消された時の衝撃は今でも色褪せることなく、寧ろ表現力の向上によって威力を増しておりました。
イベントシーンでの若干説明口調に感じられた台詞がなくなり、その分キャラクターの細かな表情で感情の動きを表現するようになった印象……映画のワンシーンを観ているような感覚でした。技術の進歩を感じます。
あとオリジナルからの大きな変化として、日本語の吹き替え音声が追加されました。
この辺は好みの問題ですが、個人的には慣れ親しんだ言語ということで、各キャラクターの感情がすっと入り込んできて、物語への没入感が増したように感じます。
臨場感の増したカメラワーク……なんだけども
オリジナル版からの大きな変更点として、俯瞰カメラから肩越しカメラへの変更がありました。
バイオ3→バイオ4への変化、というとピンとくるかなと思います。
発売前は賛否あったこの変更ですが、プレイした印象としては、ジェイムスの視点を共有することにより、臨場感が増したように感じられました。
ライトの光源だけを頼りに暗闇の中を進む不安感、敵が物陰から飛び出してきたときの驚きなどは、このシステムだからこそ感じられるホラー要素だったと思います。
ただ、「このカメラワークのせいで画面酔いした」という意見がちらほら見受けられました。
仲谷あんまり画面酔いとかしないタイプなので気になりませんでしたが、その辺りは注意です。
マネキンマジで強くなりすぎでは??
オリジナル版では正直単調だった戦闘システムでしたが、リメイク版は一筋縄ではいかなくなっており、これも恐怖感の向上に一役買っていた印象。
最序盤に出てくるクリーチャー、ライイングフィギュアの場合でも、何も考えずにただ近接武器で殴りかかるだけでは、ほぼ確実に反撃を受けることになります。
ジェイムスは特殊な訓練を受けているわけではない一般人です。雑魚敵からの一度の被弾も命取りになりますので、極力ダメージは避けたいところ。
2、3発殴ったら回避行動を取り、相手の攻撃を躱したら改めて行動、といった、ヒットアンドアウェイを求められます。
また、クリーチャーによってはこちらの近接攻撃を回避したり、はたまた武器を掴んで押し返してきたりするもんだからまーー気が抜けない……。
勿論遠距離武器もあるんですが、そこまで拾える弾数が多いわけではなく、構えてから照準を定めるのにも時間を要するので、使い所の見極めも必要……。
回避行動時の無敵時間が他のアクションゲームに比べて長めに設定されているのが救いですかね……広い場所であれば下手に戦わず、横をすり抜けて戦闘を回避する、というのも全然アリです。まぁ仲谷は精神が蛮族のそれなので、見敵必殺の精神で街を徘徊しておりましたが……。
ビジュアルとサウンド
この二点はね、本リメイクで一番評価したいポイントです。
特に物語の途中、度々足を踏み入れることになる、血と錆に塗れた裏世界の不快感と言ったらもう……最悪でしたね!(褒め言葉です)
物語の根幹に関わる重要なクリーチャーたちのデザインも、オリジナルの雰囲気を踏襲した上で、これでもかと悍ましさをプラス。
個人的には作中一二を争う気持ち悪さを誇るアブストラクトダディがね……いや本当に気持ち悪かった(褒め言葉です)
そしてサウンド……こちらもまーーー不快!!!(何度も言いますが褒め言葉です)
不安を助長させるBGM、姿は見えないのにひたひたと聞こえる敵の足音や息遣い、近接武器で敵を殴った時の、感触まで伝わってきそうな効果音……ふと立ち止まった時の静寂すら最早不快になってきます汗
ゲーム起動画面にてヘッドホンを使用してのプレイを推奨されるのも頷けます。
特に個人的に鳥肌が立ったシーンがね、とあるイベントでキャラクターが頬を撫でる際の音。
男性だとわかると思うんですが、無精髭を撫でる時のあのザリザリした音まで聞こえるんですよ……本当に、どれだけこのリメイクに力入れてるんだと驚かされました。
まとめ
一言で表すなら、本当に贅沢なリメイク作品。
丁寧な仕事ぶりから、製作陣の原作愛が伝わってきましたね……。
サイコロジカルホラー、と言うだけあって、本当にこう、精神的に追い詰めてくるんですけど、それだけじゃないんですよね。
亡き妻の行方を探し、面影を辿る旅路の果てに待っている真実と、ジェイムスの選択。そして結末を見届けてから物語を振り返った時、張り巡らされていた伏線の数々に気付いた時に芽生えるこの複雑な感情はね……唯一無二のものです。
少しでも気になった方は、ネタバレを踏む前に是非! プレイしてみては如何でしょうかね!!!?
というわけで今回はこの辺で。
追加エンドの話
最後に少しだけ……ネタバレ全開で、リメイク版に追加された2つのエンドについて話しをさせて……なので未プレイ者はこっから先は読まずに回れ右を……プレイして、この2つのエンドを見てからまた来てくれ……。
追加エンド①
いやね、リメイク版に追加エンドがあると耳にした時、オリジナル版以外のパターンの結末ってあるんか……? と疑問だったんすよ。
だからUFO、いぬの類のネタエンドが増えるんかなぁ、くらいの気持ちで挑んだ二周目。
病院で手に入れた小箱を、ボウリング場で手に入れた鍵で開けると、中から出てきたのは『ホワイトクロジェア』……なーんか聞き覚えあるぞ? と思って調べると、1でカウフマン医師が製造してた麻薬の原料……あっ(1アウト
"Bliss"を訳すと……"至福"……あっ(2アウト
そして解説文曰く、
『これで何もかも解決する。特別な時、特別な場所のためのもの』
これはあかん(3アウト&ゲームセット
このアイテムを、ホテル312号室でのビデオ再生前に使用すると、栄養ドリンクばりに一気飲みするジェイムス……あーだめだもうこれ……
そして再生されるビデオ。
「いつかまた来よう」と、撮影者のジェイムスに語りかけるメアリー。そしてホワイトノイズの後にメアリーの殺害シーンが……と思いきや、カメラを置き、メアリーをハグするジェイムス……は???
困惑するプレイヤーをよそに、ジェイムスがカメラを止め、ビデオの再生が終了。
そして、無人となったホテルが映し出され、物語は終わる。
…………元気な頃のメアリーと再会できたよやったね!!!(白目
いやこーれは……ゾッとした。
最終盤に訪れるレイクビューホテルは実は綺麗な姿が裏世界で、ビデオ視聴後の廃墟が表世界。
ホテルは本来、ジェイムスとメアリーが観光で訪れた後に火災で焼け落ちており、ビデオを観たジェイムスが現実を受け入れたことで、本来の姿に戻る……んだけどこのエンドの場合、ジェイムスは現実を受け入れることなく、ビデオの中の世界ーー裏世界の更に奥へと進んでいったという、メリーバッドエンド。
自分の罪を認めた上で、妻の最期の願いを酌んで生きて街を去るleave。
本来街を訪れた目的を思い出し、妻の亡骸と共に湖に沈むin water。
理想の妻の姿であるマリアに依存するMaria。
そして、現実を受け入れないまま、最後まで罪から逃げ切ったBliss……1のリサに近い状態なのかなぁ多分……。
にしてもまさか1のネタを引っ張り出してくるとは……これ1のリメイクも期待していい……んですかね???(震え声
追加エンド②
今回、仲谷が最初に辿り着いたエンディングがin waterだったんですよ。
オリジナル版ではleaveエンドと同じく、ベッドでのジェイムスとメアリーの会話シーンがあったんすけど、リメイク版では省かれてたのがちょっと気になってましたが……Stillnessエンド観たらあぁこのためかとなんか納得しましたね……。
"Stillness"……日本語に訳すと"静寂"や"静止"。
最序盤の車の中で手に入る悲嘆の鍵で、ホテル"表世界"の支配人室にある金庫を開ける。
すると、金庫の中には奇跡的に火災による消失を免れたトルーカの絵葉書が。これを所持した状態でメアリー戦を終えると……。
場面は変わり、運転席にて己の罪を悔いるジェイムス……あれこれin waterと一緒じゃね? と思っていると、「そうね」と優しげな返事が……えっ???
そして、「どうして泣くの?」という問いかけと共に、後部座席からメアリーの手が伸びてきて、ジェイムスの頬を優しく撫でる。
その後のジェイムスの、振り絞るような「君が恋しい」で涙腺が崩壊……泣くでしょこんなん。
続くジェイムスの謝罪の言葉を、優しく遮るメアリー。
「待っていてくれるか?」というジェイムスの問いかけに、「ずっと待っていたわ」と返すメアリー。
ジェイムスは助手席の手紙を眺め、暫しの思案ののち、画面は暗転。
車は発進し、入水する音。
最後は雨音だけが辺りを包み込み、物語は終わる。
ちょっと解釈が難しいんですよね……ジェイムスは果たして死を選んだのか、それとも妻の最期の願いを酌んだのか。
個人的には後者であって欲しいな、とは思っています。
in waterエンドの場合、恐らくメアリーの最後の手紙は読んでない、という認識でいるんですよ個人的には。だから、メアリーのいない世界に絶望して当初の目的を果たした。
ただこちらのエンディングでは、助手席に置かれた開封された手紙をちらりと見やるんですよね。
それに加えて、「待っていてくれるか?」って問いかけてる。自分はまだそちらには行けないけど、っていう意味なのかなと。だからいわば、変則的なleaveエンド、という認識。
ただそれに対する返答が「ずっと待っていたわ」ってのが少し噛み合っていないような……メアリーは死んで、もうこの世のどこにもいない、っていう絶望に囚われていたジェイムスだけど、メアリーは「ずっとここで待っていた」し、「これからもここで待っている」という意味なのかな……でもちょっと厳しいかなぁ……?
でもなぁ……in waterエンドのジェイムスの独白を聞くと、「自分のしたことが許せない」そして「君はもうどこにもいない。そうだろう?」って言うんですけど。Stillnessではこの二つの言葉に対してメアリーが返事してるんですよね……そう考えるとやっぱり、ジェイムスは思い留まったんじゃないかなって。
ただまぁ、後者だとして少し引っかかるのが「車だけ湖に沈めることってできるのかな」という疑問がね……?苦笑
にしても、in waterエンドで省いたメアリーとの会話シーンをこう言う形で保管するとはなぁ……これは本当に驚きました……素晴らしいエンディングです本当に。
というわけで今度こそ、今回はこの辺で。