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わかりやすい説明の3M

最近、Excelに加えてPowerPointをお教えする機会も増えてきました。
研修では「メッセージを正しく、わかりやすく伝える美しいスライド」を作成する技術をお伝えしています。

前回の研修で、メッセージの伝え方について質問がありました。完成したPowerPointを使ってプレゼンをする際の話し方について、ちょっとしたコツがあるのでお話します。

わかりやすい説明をするための"3M"

PowerPointなどの資料は、メッセージを伝えるためにあります。
そのスライドで「何を伝えたいか」を徹底的に考えて作成をするのですが、どんなに素晴らしいスライドを作ってもうまく説明ができないともったいないですよね。

今日は、わかりやすいプレゼンテーションを行うためのフレームワークをお教えしたいと思います。
私が前職のときに、先輩から教えてもらったもので、「わかりやすい説明の3M」と呼んでいるものです。

PowerPointなどの資料をお見せしながら説明をするときには、この順番でお話すると伝わりやすいと言われています。

このフレームを教わってから意識的に実践していた結果、「中田さんのプレゼンはわかりやすいですね」とほめてもらえることが増えました。誰でもできる便利なテクニックですので、身につけてしまいましょう。

メッセージを正しく伝えて、説得力のある説明ができるように、伝え方を考えていきましょう。

【わかりやすい説明の3M】

①Meaning(意味)・・これから話すことの意味と位置づけを伝える
②Mechanizm(構造)・・スライドの構造=スライドの見方を伝える
③Message(意見)・・・そのスライドで伝えたい意見を伝える

大切なのは、この順番通りにお話しすることです。順番をバラバラにしてしまうと逆にわかりにくくなりますので、気をつけてください。

実際にいつも私がプレゼンテーションで使っているスライドを題材に、練習していきましょう。

練習① 3つのMの順番に話す

まずはこのスライドをお見せして、プレゼンをする場合を考えてみましょう。

このスライドは、私がExcel研修で実際に使用しているスライドです。
スキルには段階があり、教わって演習しただけではだめで、実践を通してスキルアップしようということを伝えるために作ったものです。そして、人に教えることで最強になれるということを伝えています。

③Message(意見)は、スライドの上部に書いてあるとおりです。「習熟のためには演習・実践が必要。人に教えることができれば習熟できたと考えてよい」がメッセージで、このスライドで一番伝えたいことです。

もちろんこのスライドをバーン!と見せてメッセージを伝えるだけでもよいのですが、よりわかりやすい説明をするために、3Mに従って説明していきましょう。

まずは、①Meaning(意味)です。これから話すことの意味、「これからこういうことについてお話しますよ」ということをお伝えします。この①Meaning(意味)の説明があるだけで、聞き手は「なるほど、これから〇〇について話すのだな」という意識を持っていただけるので、その後の説明がスッと頭に入るようになります。

①Meaning(意味)としては、このような感じでしょうか。
「皆様には本日、Excelスピードアップについての基礎的な技術を学んでいただきました。ただ、残念ながら今日のセミナーを受講しただけではスキルは身につきません。これから、スキルを身につけるために最も大切なポイントをお話します。」

ここは、テクニックになるのですが、なるべく挑発的な宣言をして、聞き手の意識を惹きつけることができればよいでしょう。


聞く準備をしていただくイメージです。ここでは意識を①Meaning(意味)に集中していただくべきですので、スライドはこの時点ではお見せしないほうがよいかと思います。

さて、次は②Mechanizm(構造)です。ここでは主に、スライドの構造をお伝えします。わかりやすく言うと、スライドの読み方を伝えるというイメージです。

②Mechanizm(構造)はこのようになるかと思います。
「このスライドは、スキルの習熟度についての4つのステップを示しています。左下の「教わる」から始まり、最終的に目指すべきレベルを記載しています」

少し丁寧すぎる説明かもしれませんが、スライドの読み方をお伝えしておくと、聞き手の無駄な混乱を避けることができます。

さて、最後はいよいよ③Message(意見)です。このMessage(意見)をご理解いただくことが一番の目的です。
話を注意して聞いていただくために①Meaning(意味)があり、無駄な混乱を避けるための②Mechanizm(構造)があるわけです。

③Message(意見)としては、
「教わって演習するだけではスキルは定着しません。身につけたスキルを実践で使うことが大切です。また、最終的には人に教えることで最強レベルに到達することができます」

いかがでしたでしょうか。3Mの順番で伝えると伝わりやすく、誤解も生まれにくいということがご理解いただけたと思います。
3Mの順番で話したトーク例をいかに掲載しますね。

「皆様には本日、Excelスピードアップについての基礎的な技術を学んでいただきました。ただ、残念ながら今日のセミナーを受講しただけではスキルは身につきません。これから、スキルを身につけるために最も大切なポイントをお話します。(①Meaning)

このスライドは、スキルの習熟度についての4つのステップを示しています。左下の「教わる」から始まり、最終的に目指すべきレベルを記載しています(②Mechanizm)

教わって演習するだけではスキルは定着しません。身につけたスキルを実践で使うことが大切です。また、最終的には人に教えることで最強レベルに到達することができます(③Message)

練習② 働き方改革についてのスライド

もう一つ練習をしてみましょう。
このスライドでどのように伝えればよいか、3Mで考えてみましょう。

このスライドは、働き方改革について論じたスライドです。
③Message(意見)は「“働き方改革”を推進するうえで、組織・業務・人は三位一体の関係にある」です。
まずは、スライドの構造を読み解いていただいたうえで、トークスクリプトを考えてみてください。

答えは一つに決まっているわけではありませんので、自由に考えてみてください。

いかがでしょうか。
例えば、私がお話するときは、以下のように説明します。

①Meaning(意味)
「働き方改革が話題になって久しいですが、部分的な改善をしていても働き方改革はうまくいきません。そこで、そもそも働き方改革にどのような要素があるか、お話したいと思います。」
②Mechanizm(構造)
「このスライドは、働き方改革で必要な3つの観点について書いております。それぞれが矢印でつながっていますが、これらは互いに連携をしています」
③Message(意見)
「スライドにあるように、“働き方改革”を推進するうえで、組織・業務・人は三位一体の関係にあります。組織・業務・人それぞれの観点で一気通貫の改革を目指さなければ本当の意味での働き方改革は実現できないでしょう」

これらはあくまでもトーク例ですので、内容は人によって変わっても構いません。大切なのは、①Meaning(意味)→②Mechanizm(構造)→③Message(意見)の順番で話すことです。

最初のうちは、ちょっとくどくなってしまっても構わないので、3つのMの順番に話してみることをおすすめします。

何度も繰り返して慣れてくると、3Mを意識しなくても自然にわかりやすい説明ができるようになりますよ。
また、だらだらと長い説明をしなくてもポイントを押さえた話し方もできるようになってくると思います。

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