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消費者でもあり生産者でもある、新しいサービスの形

以前、「リーダーもマネジメントもない新しい組織の形」という記事を書きました。
https://note.mu/nakatagen/n/n43cc96723dae

プロジェクトとプロジェクトが繋がるネットワークで成り立つ新しい組織の形について書き、いろいろな反響がありました。

私たちDIKの活動は、多様化する働き方の一つのモデルになれるのではと考えて、ある意味"実験の場"としていろいろなことを試しています。

今回はその続編となるお話をしたいと思います。
題して、「消費者でもあり生産者でもある、新しいサービスの形」です!

◆ユーザーとは、消費するだけの人のこと?

まずはじめに、企業活動に関わるひとをざっくりと、
①価値の消費者、②価値の生産者とに分けて考えてみたいと思います。

①価値の消費者
一般的に企業が創るサービスは、「ユーザーは消費者である」という前提をおいて設計されています。例えばラーメン屋さんは、お金を払ってラーメンを食べに来てくれるひとがいることで成り立っています。

サービスにお金を払う人がいて、ユーザーがそのサービスを消費する、という形が基本形であり、資本をベースとした企業活動においては、これは当たり前のことだと思います。

②価値の生産者
一方で、起業には価値を提供する主体者、価値の生産者がいます。
ラーメン屋さんでラーメンを作るひとや、ホールで注文をうけてデリバリーする人、が広い意味での生産者になります。

当然、企業が「わが社が世の中に提供できる価値とは何だろう」と考えたとき、「(生産者として)消費者にどのようなサービスを提供できるだろう」という発想になります。

しかし、よく考えてみると、企業は社員(生産者)にも価値を提供しているはずです。
会社は、自分の人生の多くの時間を過ごす場所。企業が従業員に幸せに働ける環境を提供しているとしたら、それは立派な価値提供です。
だからこそ、経営者は労働者にもどのような価値を提供するか考え続けないといけないと思います。

DIKにはヴァーチャルチームという仕組みがあります。
いろいろなプロジェクトを並行してやっていますが、プロジェクト遂行に必要な力を持った人が、プロジェクトごとに関わってくださっています。
プロジェクトは、Excel研修、洗車事業、ダンス事業など多岐にわたります。

エンジニア、洗車人員、コンサルタント、Webの専門家、営業、などなど、プロジェクトごとに関わる人のタイプは全然違います。プロジェクト別にリーダーもそれぞれ違うのでカルチャーも違います。

さらに、人によって関与度は様々。
プロジェクトにフォーカスするために、例えば大学を辞めてフランチャイジーになってくださった方もいるし、普段は会社勤めをしながら、年に1,2回、イベントを手伝ってくれる人もいます。

好きな時に、好きなだけ、好きなことを手伝っていただく仕組みを作っています。

このようなゆるやかなチームのことを、仮想的なチーム、「ヴァーチャルチーム」と呼んでいます。
もちろんヴァーチャルチームとは別にコアとなって働く主要メンバーはいますが、圧倒的に多いのがヴァーチャルに関わってくださる人たちです。

弊社はまだまだベンチャーで社員は僕一人ですが、ヴァーチャルチームの方はとても多く、もう少しで100人になろうとしています。

もちろん、お手伝いいただいた分のお給料はお支払いしています。中には、月に何十万円もこの活動で稼いでいる方もいらっしゃいます。謝礼が発生する時点でボランティアではなく、立派な仕事の一つと言えると思います。

◆ほぼ離職がないヴァーチャルチーム

このチームの面白いところは、離職が非常に少ないところです。
そもそもの思想が、「好きなときに、好きなだけ、好きなことに関わればいい」というものなので精神的・肉体的な負担は増えにくいのです。

そもそも明確に辞める理由が少ないため、「退職します」というような声はほとんどあがりません。
嫌になったり飽きたりした場合は、ちょっと距離を置いていただくだけです(笑)

離職が少ないこと自体に価値があるわけではないですが、かなり自由で柔軟な働き方の一つといえるでしょう。つまり、居心地は悪くない、緩やかな組織なのです。

皆さんは、何かしらこのコミュニティで活動することで新しい学びや出会いがあり、充実感を感じてくださっていて、活動を続けてくださっているのだと思います。

最近、企業として、働いてくださる方に提供できる価値がもっともっとあるのでは、と強く思うようになりました。
この価値を提供する規模とスピードを高めていきたいと考えています。

つまり、企業が世界に提供できるのは、消費するだけのサービスだけじゃない、ということです。

生産者として関わり、人生をちょっと面白く、豊かにしていただくための場を提供する。これは、消費者としてのユーザーに提供する価値と同じくらい大切な価値ではないでしょうか。

◆日本人の100人に1人が関わっているような大きなプロジェクト群を作りたい

消費者としてのユーザーと、価値を生み出す生産者としてのヴァーチャルチーム。どちらも大切な"顧客"であると言え、満足いただけるように努力をしたいと思っています。

組織活動に関わることで得られる充実感、学びも含め、すべてが報酬となります。この仕組みを提供することは、広い意味でのサービスの一つと言えるのではないでしょうか。

全世界で15億人のユーザーがいるFacebookも、社員は2万人。生産者/消費者の割合は0.001%。
極端な発想ですが、この比率が1対1くらい、つまりユーザーの半分が関与者でもあるサービスを作れたら面白いと思いませんか。

弊社が行っているExcelCampというExcel研修ではちょっとこれに近いことが起こっています。受講された方がその次の研修で今度はインストラクター、つまり生徒にExcelを教えるスタッフとして参加する仕組みです。

受講していた立場から、今度は教える立場になることで、より研修内容を深く理解することができ、「インストラクターをやってさらに力が伸びた」という声をたくさんいただきます。

消費者(受講する立場)から生産者(教える立場)になるのです。
受講された方は、だいたい5人に1人くらいの割合でインストラクターを1回はやっていただいています。
Facebookは、生産者/消費者の割合は0.001%。ExcelCampは20%。ちょっと面白い仕組みだと思いませんか。

現状の弊社のチームは、自然発生的に増えていったリレーションです。たまたま出会った人にご協力をお願いして成り立ってきました。
この関与者を増やす仕組みを、より体系化して組織的に行うことで、消費活動以外でも世界中の人の生活に深く関われるかもしれません。

例えば、かなり大風呂敷になりますが、日本人の100人に1人が関わっているゆるやかなコミュニティを目指してみるのはどうかな、と思っています。
リアルな場所での交流の場、労働の場。たくさんの人が参加する、新しいSNSのようなものです。

消費者としても、生産者としても、企業へのかかわり方には、人それぞれのストーリーがあります。
人生を今よりもちょっと良くするための、ゆるやかなリレーションがある場所。そのような環境を作ることが大切です。

もやっとした概念論のような話になってしまいましたが、
これらはただの机上の空論ではなく、なんとなくそのカルチャーがDIKにはできはじめているな、と感じます。
この仕組みの拡大は、私たちにとっても新しいチャレンジです。

もう少し頭を整理してみたいですが、何かしら具体的なアクションを必ず起こしますので、また共有をさせてください。

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