玉ねぎソースと野焼きの香  旅食カメラ

長野の千曲まで240km。
早朝に東京を出発した。
あいにくの天気ではあるが、ところどころ稲刈りの終わった姥捨の棚田を眺める。
最近は機械乾燥が主流らしいが、この稲架掛け(はさかけ)で干すと、お米の旨みがぐっと増すという。

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昼からは1時間半かけて白馬へ移動した。
今夜は白馬の旅館に世話になる。

昨今、若者の旅離れが著しいとのこと。
なんでも、ネットで見る景色で十分だと。実際に出かけてみても天気が悪かったりすると、「ネットの写真のほうがよかった」とがっかりするそうだ。
晴れていればこの「大出の吊り橋」の向こうにはアルプスがどんとそびえる。

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しかし、どんよりと曇ったこの風景はいまここにしかないわけで、すなわちそれは自分だけの旅の景色なのだ。
むしろネットに出回っている写真とは違う景色を見られたと思うが。

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信州サーモンのぬた、春巻き、さんまの竜田揚げ、湯豆腐、ポークソテー。
ポークソテーには玉ねぎをたっぷりと使った特製ソースがかかっている。
湯豆腐には自家製の味噌だれ。
心のこもった夕食だった。
ひさしぶりに飲んだ生ビールが沁みた。

翌朝、長野ICまでの道すがら、おみやげのシャインマスカットを買うべく道の駅に立ち寄ると、野焼きのにおいが漂う。
玉ねぎソースの深み、新鮮な空気に混じる野焼きのこうばしさ、心地よい疲労感。
それこそが、旅ではないか。

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