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Vol.008 【レポート】中之島プロモーション 宇川直宏ディレクターズトーク 「水都大阪における中之島というカルチャープラットフォーム 〜交流と分岐そして混交〜」

開催日時:2021年2月13日(土)14:00〜15:30
収録場所:アートエリアB1

登壇者:宇川直宏(“現在美術家”/DOMMUNE主宰)
進行:木ノ下智恵子(大阪大学共創機構社学共創部門准教授)

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堂島川と土佐堀川に挟まれた中州である中之島は、大阪を代表する近代建築、夜景を一望できる超高層タワー、水辺の風景など、都市の歴史と自然が交差する場所です。そんな中之島全体をユニークベニューの舞台に、アーティスト独自の観点から、都市の魅力をリサーチ・創作・発信する「中之島プロモーション」。

第一弾は、ライブストリーミングスタジオ兼チャンネル「DOMMUNE」の開局や映像・美術作家としてマルチな才能により国内外で活動する宇川直宏さんをディレクターに迎え、ボーカリストSalyuによる音楽パフォーマンスを収録配信しました。
その配信前夜の宇川さんによるトークでは、2018年のリサーチや企画背景についてお話を伺いました。

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約10年前にも中之島を訪れたことがあるという宇川さんは、主に施設のエントランスロビーや公園などの共有部と公開空地を訪れ、さらに船に乗り川から大阪湾まで巡ったことで、中之島の見え方ががらりと変わったそうです。

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水運の理に恵まれた中之島は、江戸時代に「天下の台所」と称されたかつての物流拠点でした。そんな歴史・地理的文脈を踏まえ、情報や文化の消費をどう捉えるかという視点から、改めて中之島という都市を体感したことが本企画の創作理念に繋がったそうです。

高度経済成長期以降、現代に至る人々の消費対象は、モノからコンテンツへ、さらにSNSをはじめとするコミュニケーションへと変転し、その有り様を中之島が象徴・類似しているという宇川さん。

「リサーチで中之島を巡っている時に、偶然インスタグラマーが中之島の突端で握手会をやってたんですね。インスタグラマーの投稿を見て集まったファンたちが長い列をつくってました。
現代的なインスタグラマーやインフルエンサーなどの移ろいやすいポップアイコンの人たちが中之島という埋立地で意識交流や身体的な交流ができてるっていうことが中之島のある側面を象徴している気がしたんです。」

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川の流れのように、ネット上のコミュニケーションのように、中之島では、大正時代から存在する文化施設、超高層のラグジュアリーホテルなど、かつての水運の理が「分岐」し、それぞれが独立した個となり、発展したネットワークが「交流」していく。その様は融合ではなく、個別が独立した状態を保持したままで、より豊かで多様な創造性へと昇華させていく「混交」という言葉がふさわしい、と宇川さんは言います。そうした考えを元に、アーティストと環境が相互に作用し合い、オーディエンスをも巻き込み、今まであり得なかった化学反応を可視化させる、というアイデアが創発され、パフォーマンスが実現しました。

このディレクションにおけるキーワード<交流・分岐・混交>を冠したトークでは、Salyuさんのパフォーマンスの歌声を少しだけ披露する場面もあり、翌日の配信への期待感が高まる時間となりました。

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2018年の宇川さんによる中之島リサーチと構想は、以下のサイトからご覧いただけます。ぜひ、こちらもあわせてご覧ください。
https://nakanoshima-lab.jp/research/artist/artist01.html


レポート執筆:木ノ下智恵子(大阪大学共創機構社学共創部門准教授)

リサーチ写真:松見拓也


【アーカイブ公開中】
トーク全編の映像は、YouTube公式チャンネルにて公開中です。
(2021.2.22現在)
↓ 映像はこちら

アーカイブリンク0213

プロジェクトのウェブサイトはこちら:
クリエイティブアイランド中之島公式ウェブサイト
https://nakanoshimalab.jp/



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