日産セレナのCVTリコール

日産はセレナのCVTのリコールを発表した。

リコールの内容

「CVTの制御プログラムの不備により、CVTのスチールベルトが破損して、最悪の場合に走行不能となる」と日産はリコールのページで発表している。

対象の車両は、平成24年7月3日から平成25年12月2日までに製造されたセレナの一部になる。
対象台数は、110,319台となる。

破損の仕組み

CVTは幅変えられる2つのプーリー(台形の円盤の組み合わせ)とその間にかける台形のベルトによって構成されています。
CVTの原理が発明されたころには、片側のプーリーの回転速度で動作するガバナ(遠心力でおもりに外に向かう力がかかる原理を用いて制御する機械)などでプーリーの幅を変更して、各プーリーにベルトがかかる位置を変更することにより、変速を実現していました。
しかしながら、その方法では一つの変速パターンしか実現できないために、現在は電子制御でプーリー幅を変更するようにしています。
今回のリコールはこの電子制御の不備によるものです。

CVTのベルトとは、押して力を伝えています。
違和感を感じるかもしれませんが、CVTのスチールベルトは引っ張る力に対して弱い構造になっています。
なので、電子制御においては、押す力がかからないように制御することが肝心となります。

今回のリコールは、ごく限られた条件において、ベルトにひく力がかかってしまう制御上のBugがあったと推定されます。

なぜ、このようなことが起こってしまうのか?

CVTは実用化されてから20年以上たっており、こなれた技術であるといえますが、昨今の燃費向上や操作性の向上のために制御は開発を進めていると状況です。
エンジンが異なれば、それに最適化したCVT制御を搭載しなければなりません。
また、昨今のパドルによるシフトチェンジなどのスポーティな走りもできるようにするなどの機能を追加しております。

今回のリコールに関しては、一般的な走行をしている場合には発生しないと推定されます。
例えば、Dレンジに入れたままで走っている人などです。
一般的な走行は、制御のソフトウェアの試験にいて最も注意する部分でありますので、試験を十分に行っていると思われます。
(もし、この状況で起こるとしたら大問題ですが、それは無いでしょう。)
多分、追加されたモードを含めた試験が十分に行われていない状況であったと思われます。
よく忘れられるのが、モードの切り替え時前後の動作の試験になります。
ここら辺が原因の可能性が高いと思われます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?