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【ツイッター買収事件簿4】イーロン・マスク氏の謎に包まれた秘密のファミリーオフィスとは?

□ 2022年4月27日


朝日新聞のニュースアングルで「マスク氏、ツイッター買収の窓口は秘密のファミリーオフィス」というタイトルで報道がなされている。

ロイターの記事「米合流サイト、ツイッター買収を巡る攻防は、米電気自動車大手テスラの最高経営責任者で、世界一の富豪であるイーロン・マスク氏が、ツイッターを440億ドルで手に入れることで決着した。ただマスク氏が買収手続きの窓口に指定したファミリーオフィスは、秘密のベールに包まれている。

テスラ以外に航空宇宙企業スペースエックスのトップなども務めるマスク氏は、先に当局への届け出資料で、ツイッター買収については、自身のファミリーオフィスが窓口になると明らかにした。

しかし、テキサス州オースティンに拠点を置き、マスク氏の資産を管理しているこのファミリーオフィスに関しては、ほぼ何もわかっていない。

当局の届出資料や法律関連の書類によると、ファミリーオフィスの社名はエクセッション。創設を手伝ったのは、元モルガンスタンレー社員で、何年にもわたり米金融業界との付き合い方について、マスク氏にアドバイスをしてきたジャレット・バーチャル氏だ。テキサス州会計監査当局の記録によると、バーチャル氏は2021年にはエクセッションのマネージャーとなっている。バーチャル氏とマスク氏はコメント要請には応じなかった。

ウォートンスクールのラファエル・アミット教授によると、バーチャル氏が複数の役職を兼務しているのはファミリーオフィスのマネージャーとして異例のことで、マスク氏の信頼が厚いことを示している。ファミリーオフィスの運営を任せるということは、その人の信用しているということだ。そしてイーロン氏はバーチャル氏の権限が最大になることを望んでいる」


ファミリーオフィスとは何か
このニュースの中では自前の資産運用会社と説明がひと言書いてあるだけだが、上場企業の社長というのは、ほとんどの確率で自分の資産運用会社というものを持っている。

私も以前金融機関に勤めている時は、いろんな上場企業の社長のところに営業に行った。自分で創業した社長で資産運用会社を持ってないことはありえない。

資産運用会社は、自分で会社を上場させる時に、自分の株を管理する会社が必要だ。自分個人で持っていてもいいが、個人で株を持って売買すると、税金の取り扱いが大変なのだ。

本当に持っていない人に出会ったことがない。だいたい法人営業で営業に行くと、財務の部長とかとは仲良くなって、一本10億でこの商品どうですかとか言うと、そういうのは社長が好きなのだけど、上場企業の規定だと運用規定がシングルAマイナス以上の2年以内でクーポン2%なのだ。2パーセント以上のリスクは取れない。
だからそういう商品は社長のところに持って行ってくれないか、社長は今個人の資産運用会社があって、そこの運用している商品が何月何日に償還されて10億円ぐらい戻ってくる予定だから、そっちに営業した方がいいかもとかと教えてくれたりする。

上場企業というのはボラティリティ(価格変動の大きい)の高い金融商品を買うと、その金融商品の値段が上がったり下がったりした時に、損益計算書にそれを書かないといけない時がある。これをPLにヒットすると言うのだが、このPLにヒットする商品を持って行くと、上場企業は監査法人がうるさいので無理だと必ず言われる。
まともな上場企業は、まともな監査法人がついているのでボラタイルな、非常に値動きの激しい金融商品は買うことができない。

昔金融商品の取引でアイリスオーヤマが損失を出したり、あとはサイゼリアも50億円程度の損失を出したりしたことがあるが、こういう会社の監査法人はやはり脇が甘い。

そのような変動の激しい金融商品を買ってはいけないというのが建前なのである。なぜそのように監査法人が見るかと言えば、上場企業は株主がいる。株主がいる会社が博打を打って、金融商品ははっきり言ってバクチで、博打を打ってすって、株価が下がったら説明責任に問われる。

それなので監査法人は上場企業のお目付け役として、ガミガミうるさいことを言う。

その一方個人の産運用会社というのは、うるさいことはあまり言わない。
個人資産の運用会社は、金がどこから来て何に使われているのかを公開する義務が一切ないので、何が起こっているのか分からない。
そういう当たり前の話を、謎に包まれた秘密のファミリーオフィス風にこのロイターで報じているのが、何か少し変わった報道だと思った。

この資産運用会社はどう見れば分かるかと言えば、だいたい会社四季報を開けると、主要株主のランキングが出てくる。この1、2、3位ぐらいのところに何か変な名の会社が入っているはずなのだ。何かその社長のイニシャルのような名前の会社名、例えば株式会社オフィスMのような社名が入っていたりする。何だこれはみたいな会社が絶対このランク5位以内ぐらいに入っている。それを見つけたら、創業一族の資産運用会社ではないのかと思って間違いない。

古い会社だったりすると、その資産運用会社が有限会社だったりもする。そういういろんな資産運用会社があって、秘密のファミリーオフィスは、秘密でも何でもなくて、それが普通だということである。

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