ひとふで小説|レンガイケッコン(9)
これまでのお話:(第1話)〜(収録マガジン)
(9) カン!とした、乾いたチリトリの落ちた音を、エントランスが幾重かに響かせる。
蓮本は持ってきた書き置き用のメモをくしゃくしゃにポケットへ突っ込みながら東之に駆け寄って、チリトリを拾ったついでに重そうなゴミ袋もやや強引に引き取った。
「あ、いいですいいです!汚いですよ!ごめんなさい!」
「だ、大丈夫ですか?痛かったですよね、今のは。転ばなくて良かったけど…」
「大丈夫です、すみません!あはは、もう。躓いちゃいました、不注意