ひとふで小説|6-イェダラスカレイツァ:バルヴァリデ[VI]
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VI ふと、サラは改まって礼を述べていないことを思い出し、ヴァンダレに深々と頭を下げ、村長に褒賞を出すよう進言したことを報告した。背後の炎が自分の影をヴァンダレに落としてしまい表情はよく見えなかったが、ヴァンダレは気さくな語り口で謙遜した。
「勝てたから、お礼を言って頂ける立場にあるだけです。負けていたら、皆さんを危ない目に遭わせてしまうところでした。礼には及びませんよ。剣を持つ者がやらねば誰がやるのです、当然のことをしたまでですから…。あな