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KERA CROSS 第四弾『SLAPSTICKS』

KERA CROSS 第四弾『SLAPSTICKS』、初日の夜公演を北千住のシアター1010で観て来ました。
KERA CROSSはケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)さんの戯曲を別の演出家が新たに創り上げるという趣向のシリーズ。今回は、ロロの三浦直之さんが演出を担当している。

サイレント時代の喜劇映画「スラップスティック」をこよなく愛する人たちの物語だ。映画の舞台裏って演劇の題材になりがちだ。泥くさい人間模様が、演劇に向いてるんのだろうか。

元々はKERAさんのサイレントコメディ偏愛から生まれた作品とのこと。それが今回はおそらく初演よりもグッとお洒落にまとまっているんじゃなかろうか。スター喜劇俳優が大衆によって潰されていくさまは現代に通じるものがある。

KERAさんの脚本だけに、ナイロンの役者さんたちがやったらめっちゃ笑えるんだろうなぁと思える台詞のやりとりがやっぱり多い。「初演はこんな感じだったのかな」と、うっかり脳内で想像上演してしまいそうになったが、その辺りは今後クリエに来る頃にはだいぶ練れているのではないかな。

キャストがとにかく華やか!!
なんといっても主人公ビリーを演じるちょっとヘタレな木村達成くんが魅力的だし、小西遼生くんの若かりし頃を木村達成くんがやるという設定にも胸熱だ。小西くんももうそんなイケオジをやるお年頃なのね。
『ダンス オブ ヴァンパイア』で印象に残っている桜井玲香さんがヒロイン格のアリス。壮一帆さんがこの時代の大女優メイベル。
アーバックル役の金田哲さんが荒削りながら面白い味のお芝居されてました。

当時のスラップスティック映像が劇中でたびたび流れるのも今回ならではの演出なのかな。とにかくその命知らずっぷりがすごい! 劇中のセリフにもあるけど、この時代の人たちって映画のために命を捨てることもいとわなかったのね。

ちなみにほぼ同タイトルの作品がタカラヅカでも上演されている。2002年の月組バウ『SLAPSTICK』だ(こっちは最後にSがない)。こちらは名監督マック・セネットの生涯を描いた作品で主演は霧矢大夢さん。小柳奈穂子先生の演出家デビュー作である。

今回マギーさん演じるマック・セネットも、変わりゆく時代の流れの中で変わらずスラップスティックを愛し続ける懐の深いキャラだった。これはタカラヅカ版の霧矢大夢さんと共通している記憶。タカラヅカ版ももう一度見直してみたくなりました(確か来月、スカステで放映あるんですよね)。


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