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【ハナヤマタ】笛田蘭の魅力について

 始めまして、コンテナ店子と言います。

 今回はハナヤマタの中でも後半戦である6巻、7巻、8巻で話の中心にいた登場人物である、ランの魅力についてを語って行こうと思います。登場してるシーン数が多いのはもちろんのこと、ハナのように話をけん引する活動力を持っているキャラクターでもあるため、彼女なしにこの後半戦は語れません。

 このようなキャラクターは話の中心に常にいようとすることが多いです。例えば、昨年のアカデミー賞で作品賞にノミネートしていた『 ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』では、主要な登場人物であった4姉妹の中で最後まで夢を諦めなかったジョーが主人公になっています。


 それ以外にも、彼女はそのバックストーリーをこの3巻の中ではかなり後の方まで引っ張り続けます。彼女が自分の過去について語ったのは7巻のラストのエピソードである47組目「Rボート」での事でした(7巻P150)。これは、他のキャラクターと比べても相当に遅いと言えるでしょう。例えばタミは2巻序盤である9組目「princess×princess」において登場しましたが、周囲と打ち解けられない疎外感を感じていることを同じエピソードの中ですぐに表現します(2巻P42)。

ランのバックストーリーのシーン

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引用元:浜弓場双(2015).ハナヤマタ⑦(P151) 株式会社芳文社

 このように彼女は様々な特徴と魅力に溢れていますが、今回はそれを1つ1つ解説していきます。それじゃあ行きますね。


①よさこい部の活動を妨害してくるキャラクターが現れたという点


 これは前回の記事においても触れた点ですが、ランはよさこい部を滅ぼそうとしています。これは、今までそれぞれの思惑や悩みがあって、それのせいでよさこいを続けることに色んな障壁が現れていましたが、それらとは大きな違いがあります。今までには互いを応援し合うような気持ちが話の推進力になっていましたが、そこから方向転換が入ったと言うことに衝撃を受けました。

 これについて少し掘り下げます。ハナは考えていなさそうに見えて、自分の中で考えたことや感情を根拠にして行動しています。そしてそれはなるやヤヤの時など否定されることは多かったですが、それらと、ランがした彼女の行動への否定ではその意味が違います。

 これの答えは、ランの場合はなぜハナに対して嫌がらせをするのかという部分において、疑問が残るという点です。上記の2人の場合は、自分によさこいなんかできるかわからなかったからということや、ハナたちに施しを受けるのはプライドから認められないという理由であることがそのタイミングですぐにわかります。

 それに対してランはプールに行った回の終盤でヤヤを取り戻そうとしていたからであるということを言っていますが、個人的にこの時の言葉にも結構疑問を持ちます。というのも、後々のストーリーを考えて行けば納得できますが、この時点では彼女がなぜヤヤについて憧れを持っていたのかというところが十分に解説されていないからです。

 これについて過去のキャラクターと比べてみると、なるがおとぎ話のような世界に憧れているという点も、それらのようにきっかけがあれば自分も変れるかもと思っていたからだし、タミの周囲の人たちと打ち解けたいと思う気持ちも一般生徒との交わるシーンなどで表現されていました。それに対して、ランがヤヤに憧れているというにしては、それまでの表現だったり理由だったりという部分において説得力が足りてないです。

なるがおとぎ話が好きな理由がわかるシーン

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引用元:浜弓場双(2011).ハナヤマタ①(P64) 株式会社芳文社

 このように、彼女の言動は冒頭において疑問点が多いです。それはわ子という存在もそうでした。プールの下りが終わった時点では、何かしらあるようには見えますが、それがわかりません。ここで取り上げた疑問については作品において有効的に機能しています。

 たとえばデザイナーとして有名なトムフォードが監督した映画で『ノクターナル・アニマルズ』という作品があります。これは、主人公である女性が作家である元夫から非常にショッキングな小説を送られ、それを読むと言う話です。この映画の予告編で、小説を送った理由が愛なのか復讐なのかと表現している様に、作中でも、なぜ送られたのかという事は伏せられています。このように、作中における疑問というのは、物語においてキャラクターの心情の表現だったり読者に続きを読ませる推進力になります。


 ランが持っている野望やそれの内面がわからない点についてもう1つ素晴らしくなっている点を紹介します。それは、彼女自身にとってもそれがわかっていないという点です。ランにとって、もっとも大きなアイデンティティというのは、わ子の存在です。これについては、彼女が自身のバックストーリーを語るシーンにおいて、友達は他にいないと発言しているから明確です。

 ですが、絶交してしまったことにより、それが不可能になってしまいました。そこで、彼女は自分が社会において必要な存在であるというアイデンティティを取り戻そうとします。これについては、ハナヤマタの魅力語る時にはおなじみのエリク・H・エリクソンの年齢別発達課題が根拠になります。ここで書かれている様に、中学生くらいの年齢のキャラクターは、自分のアイデンティティを確立することで、社会において存在する必要性を証明しようとします。

 これにおいて、ランは何度も迷い続けているのがために、一度それのせいで失敗したのに、よさこい部を滅ぼすと言う目的を設定します。それ以外にも、新しく得ようとしたよさこい部でのよさこいが得意であるという優位性を奪われないようにしていると考えれば、一番よさこいに詳しいハナに噛みつくのも納得できます。

 その一方で、よさこい部のメンバーから関心を持たれても、ヤヤのファンであると言う所は捨てません。これは、42組目「キャッチ・ラン・イフ・ユー・キャン」において、最初に彼女から喫茶店へ誘われたシーンでの緊張を見ればわかるでしょう(7巻P58)。このヤヤのファンであるという点について、それがアイデンティティの確立を目的としていないなら、彼女のバンドが解散してすぐに行動を始めるはずなのに、そうしなかったのは、やはりわ子という存在を失ったことで新たに生まれたアイデンティティの候補であったからでしょう。

 このように、わ子がいなくなったランは自分でもどうすれば社会から必要とされることが出来るのかわからず、様々な方法へと迷っている姿を多く見ることが出来ます。なので、ハナヤマタの魅力でもあるリアルな人間性という点において彼女は最適であると言えるでしょう。


②行動が多動的である 


 これも少し前の記事で触れましたが、ランは考えるよりも先に感情で行動するタイプのキャラクターです。この例として、前回の復習になりますが、40組目「WATCH RAN」で、彼女がなるへと詰め寄るシーンがあります(7巻P17)。他人の事をどう思っているかなどそうそう聞けるものではないと思いますが、それを聞いているのはやはり感情的になっているからと言えます。特に、由比浜中学校では女子生徒同士で交際をすることがそこまでおかしくないような校風なのもそれに輪をかけています。

ランがなるに詰め寄るシーン

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引用元:浜弓場双(2015).ハナヤマタ⑦(P17) 株式会社芳文社

 これについても、彼女の魅力の1つだと思います。特にそうだと感じる部分として、考えるよりも行動が先に出てしまうと言うことから、その言葉に説得力があると言う部分です。例えば、わ子は知的なキャラクターであり、行動をしている時に顔の表情が現れにくいことから、言っていることが真実なのかわかりにくい節があります。

 例えば、46組目「ズーン・ガール」において、ランとの教え方のコンビネーションについて褒められた際に含みのある笑みをしたシーンを出します(7巻P137)。これを見て、ただ教え方が上手いと言うことに喜んでいるだけではないのは明らかです。実際問題、彼女は終盤になって自分の目的がランを自分たちのチームに引き戻すことであることを明らかにしました(8巻P154)。この時、わ子は自分と一緒にいることがランの魅力を引き出していると言われたようでうれしかったのです。

 このように、わ子は様々な考えを張り巡らせて行動する一方で、ランはそれを得意としません。39組目「ラン・プール・ラン」において、ハナによさこい勝負を挑んだ際も、彼女のよさこいを見て自分の方が上手いと思ったからくらいで、明確な勝算があった訳ではありません(6巻P159)。さらに言うならば、事実上彼女は敗北してしまいました。ただ、ランの中ではこのことについて絶対的な自信がありました。その根拠として、ハナに対して身体能力は認めた一方でダンスでは絶対な優位性を確信していたからです(6巻P163)。これを過去に調査済みであったことが彼女の自信として現れ行動に移っていました。

ランがよさこい勝負で勝利を確信するシーン

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引用元:浜弓場双(2014).ハナヤマタ⑥(P163) 株式会社芳文社

 つまり、ランは行動をする際にこのような考えがあったりすると、それが表情や行動に現れやすいがために、それらへの説得力が非常に強いのです。彼女がしている事や行っていること1つ1つに感情が籠っているからこそ、それが本気でやっている様に見えるのです。

 これについて、もっとも光っているシーンを1つ紹介します。もしかしたらもう言うまでもないかもしれません。そうです。57組目「スタンド・バイ・ユー」の最後です(8巻P172)。この時、わ子を前にしてランはすぐに言葉を出せずにいました。彼女の言葉の中で何を言えばいいかわからなくなってしまっているのでしょう。

 ただでさえ、ハナに何かをされた際にもその感情を伝えられないのです。この時に感情が前に出てしまいやすい彼女が上手な言葉を見つけ出すことは相当に難しかったでしょうし、それについて自覚が一部ある以上、変な小細工は使わない方がいいと自分でもわかっているはずです。なので、わ子に対してストレートに自分の気持ちを伝えようとしたために、あの言葉を選んだのでしょう。


③よさこいのうまさに自信を持っている


 上記でも解説したハナとのよさこい勝負もそうですが、ランは自分のよさこいの技術に非常な自信を持っています。他の例も出しておくと、45組目「ローカル・ネットワーク」において、それを根拠にわ子の作戦に乗せられてしまうシーンがあります(7巻P119)。ここで彼女が突かれてしまった部分が、自分のよさこいの技術に対する圧倒的自信という部分です。

よさこいへの自信を利用されてしまうシーン

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引用元:浜弓場双(2015).ハナヤマタ⑦(P119) 株式会社芳文社

 他にも、後々わ子もそう言った様子を見せていますが、作中でよさこいの技術的側面を初めて見せたのはランでした。44組目「YOSAKOI JOB!!」で出てきた新しい振り付けについて話すシーンがそれです(7巻P97)。これは、今まで鳴子の鳴らし方とタミがバレエで身に着けた回り方を教えるシーンくらいしか、よさこいの技術的側面が出てこなかった本作においては特徴的で目立っていました。なので、読者はよさこいを得意としているキャラクターなのだとここで納得することが出来ます。

 これは彼女のアイデンティティでもありトラウマでもあります。ランのキャラクター性においては、この2つの側面が混じり合っていると言うところに魅力を感じます。まずはアイデンティティ的側面から見ていきましょう。

 彼女にとってよさこいのうまさがアイデンティティとなったシーンの中の1つとして、45組目「ローカル・ネットワーク」の冒頭で、一度遠巻きに見られる存在となっていた彼女の元へと人が集まってくるようになったという発言があります。これは、わ子以外には孤独だった彼女にとっては大きな出来事と言えるでしょう。物事を素直に言ってしまいやすい性格をしている上に多動的な姿が多々見られる以上、ランにとって自分が行動を先導できる教える立場というのは居心地がいいはずです。

 それと同じように、よさこい部に対しても、よさこいが得意であるからこそ、部活を乗っ取れると思ったはずです。その根拠については、言うまでもないと思いますが39組目「ラン・プール・ラン」の冒頭で彼女はよさこい部のレベルが低すぎるから潰そうとすると言います。これはやはり、自分の方がダンスがうまいから相手を下だと決めつけているのだと思いますし、その優位性が彼女のアイデンティティになっています。

 ただ、それは彼女にとって逆に大きな傷でもあります。それが出来たのは、47組目「Rボート」において出ていた、ランがかつてのよさこいチームを辞めることになったシーンがきっかけになります。彼女は自分が理想とするよさこいの素晴らしさを伝えることやそれを他の人も出来るようにすることが最優先だと思い、それを全てにすることが正解だと考えていたのでしょう。

 これは、初めて彼女がよさこい部にやってきた際、かっこいいヤヤに戻ってもらうにはよさこい部を潰すことないしは自分の力でかっこよくしてあげることが最善だと思い込んでいるという所からわかるはずです(6巻P171)。このように、ランは自分のしたいことをしようとしたり思い通りにしたいと言う気持ちが強い一方で、それをしようとすると他人を傷つけてしまいます。

 そして、普段活発で行動的に見える彼女がこのことに関しては相当に恐怖を感じています。それについては、44組目「YOSAKOI JOB!!」において、自分の存在を受け入れてくれたことで新たなアイデンティティの形成になりそうになっていたよさこい部のメンバーをまた傷つけてしまうのではと思い、自分へ教えて欲しいという言葉へ深く思うことを感じてしまうシーンを見ればわかりやすいですね(7巻P101)。

 このシーンまでに出ていた普段の彼女から考えれば、それらと相当に違っているがためにけっこうな驚きになりました。20組目「tea time」でヤヤのバンドが解散してしまい、よさこい部のメンバーと自分を比較して追い詰められている表現をした時に使った黒い靄と同じものをここでも使っていたからです(3巻P108)。

 それはここまでそのような表現がランになかったからという面もありますが、それだけではありません。ここで、その重大さが表現されたからです。ランは比較的にハナと同じようにコミカルに描かれがちです。そのため、何か秘密があるように見えますが、その重みが感じにくいと言うデメリットがありました。しかし、このシーンの登場により、それが変わります。なるやハナの表情のおかげで明るいシーンに見えるはずなのに、彼女が暗い表情をすることに寄り、その対比が鮮明に映っていると思います。

 また、このような特性を持っていながらもそれを受け入れていた存在がいます。わ子です。彼女がランを連れ戻そうと行動する一方で、ランがかつてのよさこいチームと再会した時、周囲のチームメンバーはランが現在何をしているかすらも知らなそうな様子でした(8巻P137)。また、53組目「Girl Actually」において、彼女はランの事を生意気なのは変らないと言っていました(8巻P98)。これについて、ランのことをそのように思いながらもわ子はそれを受け入れていたと言えるでしょう。

チームメイトはランが現在何をしていたか知らなかった様子

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引用元:浜弓場双(2016).ハナヤマタ⑧(P137) 株式会社芳文社

 これについては、なぜ一緒にいるかを彼女が語るシーンがあります。57組目「スタンド・バイ・ユー」で、自分のペースでいられて落ち着くと言う彼女がそう感じるのは(8巻P160)、おそらくこれも上記と同じように、互いに互いを傷つけあうことを許容し合っているからだと考えられます。そして、ランはわ子の事を変だと表現していたことがあります(7巻P67)。このことが根拠になっていると言えますね。また、これについては、この表現が出てくる回である43組目「13歳の金曜日」が後ろめたいような表情をしながら手を繋いでる2人の様子になっているのも、互いに孤立しながらも支え合っている表現なのではないでしょうか。

 このように、彼女の特徴である、よさこいが上手なことをアイデンティティに感じながらも、それによって起きる交友関係の破壊を恐れていると言う部分は、キャラクターの内面をより深くしているだけでなく、わ子との絆をより深くするという役割も果たしていると言えます。


④色んなキャラクターと接点を持っている


 ランにとって一番絆を描かれているキャラクターはもちろんわ子ですが、それ以外のキャラクターとの接点が多い所も魅力的です。

 作品によっては、後半に出てきたキャラクターは他のキャラクターとの接点がほとんどないままになってしまう場合もあります。例えばスターウォーズシリーズのレイとポーダメロンがあります。この2人は同じ仲間であるフィンと共にエピソード9で一緒に冒険することになりますが、レイとフィン、フィンとポーダメロンはそこそこ繋がりがある一方で、この2人には繋がりがないのでチームという感じをあまり実感できませんでした。


 それに対してランはどうでしょうか。彼女は深い会話をするシーンを持っているキャラクターとしてヤヤとハナの存在がいますし、その他の3人についてもランとわ子らが悩んでいる姿を見て何とかしようとするシーンが多く見えます。このため、彼女らが1つのチームとしてみた時に違和感がありませんでした。

 特に、ハナとランについてはとても分かりやすいです。最初は39組目「ラン・プール・ラン」において、扉絵で敵対するほどの関係でした(6巻P137)。しかし、ランが色々なことをしているのにもかかわらず、ハナの方が好意を向け続けていて、一緒にお祭りに出たいと言っていたことや、踊りを教えて貰えて喜んでいる姿を見たり、他のよさこい部のメンバーの様子を眺めているうちにその存在に対して好意を持つようになりました。

敵対している扉絵

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引用元:浜弓場双(2014).ハナヤマタ⑥(P137) 株式会社芳文社

 それは、49組目「最悪の2人」で、かつては悪口として使っていたチンチクリンという言葉を自分を含めたくくりとして使っているところを見ればわかりやすいでしょう(8巻P32)。本来の彼女ならばそのようなことは絶対にしません。ハナを見下すような行動を繰り返ししている様子を例に出せばわかりやすいはずです。

 それに、ランは8巻のラストで彼女らと一緒にいることが大好きだと言っています(8巻P172)。初期のように、ヤヤだけを狙っているのであれば、わ子の誘いに乗ってそっちにヤヤを誘うと言う作戦も出来るはずです。なのに、それをしないのはハナやなるにも強い関心を持っているからに他ならないでしょう。

 他にも、ランにとって距離を詰めた存在としてヤヤがいます。元からランが一方的に憧れていた存在ではありますが、ヤヤ側から見ても自分と似た様子を持つ後輩に関心を持ちます。そして、それはランがよさこい部に興味を持つ大きなきっかけになりました。これについては、ヤヤの最初から困っていることに対して直接聞こうとせずに自分の言いたい時になったらでいいと言っていた所や、誰かが近くにいてくれるだけで安心すると言う言葉に共感を持ったというのがあります(7巻P61)。

 完璧な存在だと思っていたヤヤがそうでなかったと言うことに親近感が湧くという点もありますが、その言葉に共感すると言う所が多いのもあるでしょう。まず、自分の悩んでいるところを言いにくい所ですが、ランは人格形成がされる幼い頃、強気に見られていたがためにクラスの人気者だったという所があります(7巻P66)。ここから、彼女は自分が他人に頼られる存在でなければならないという風になったのではないでしょうか。ラン自身の中にもその意識があったからこそ、着いてこれなくなった友人たちに怒りを感じたはずです(7巻P150)。

幼いころは人気者だったという過去

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引用元:浜弓場双(2015).ハナヤマタ⑦(P66) 株式会社芳文社

 なので、それを無理に見せなくてもいいけど、困った時には寄り添ってくれると言うことに関心を持ちました。また、ただ自分に興味を持ってもらえるだけでも嬉しいと言う発言にも共感しています。これについては、言うまでもなくわ子の事でしょう。

 作中でも何度も彼女の前に現れては元のチームへと引き戻そうとする彼女のランへの強い思いは、今回だけの話ではないはずです。実際問題、63組目「3000」で、彼女はランから一緒に踊りたくないのかと言われただけで文化祭に参加しようとします(9巻P94)。それ以外によさこい部のメンバーと共に活動する根拠はないはずです。よって、ヤヤの言葉にランが強く興味を持ってポンコツ祭りに参加することを決めたのも納得できると言えます。

 このように、ランは途中からの登場であったとしても、他のキャラクターとの絆をしっかりと描いているため、よさこい部のメンバーとして納得できるようになっていましたし、わ子と仲直りしようとする時、彼女らを頼ろうとするのも理解が出来ます。


⑤まとめ


 個人的に思うランの魅力としては以上の4つだと思っています。掘り下げられているパートが他のキャラクターよりも長い一方で、わ子との繋がりが切っても切り離せないと言う意味で、彼女の魅力という部分にも軽く触れることになりました。まとめると

・その目的が伏せられていることでより謎が深まっている
・感情が前に出やすいので行動に説得力がある
・よさこいのうまさに自信を持っていても、それが逆にトラウマとも密接にかかわっている
・後半戦から登場したキャラクターだが他のキャラクターとの繋がりがちゃんと描かれている

 という感じだと思います。

 まだ語ってないキャラクターもいっぱいいますし、前のハナとなるみたいに組み合わせの魅力とかもまだまだ語りたいしで、ハナヤマタについていっぱい語ることはまだあるので、今後ももしよければお付き合いお願いします。

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