見出し画像

「商店会あるある」からの脱却

古い体質からなかなか抜け出せない

2015年(平成27年)の総会で、第17代会長になりましたが、副会長時代から感じていた商店会運営について不合理と思われる部分は速やかに改善し、さらに商店会活動を担うであろう次の世代のために禍根を残さない運営方法をボクが会長の間に見つけたいと決意しました。
とにかく就任当時はまだまだ前時代的運営で、会費は役員で集金してまわる方法だったり、商店会所有のコピー機もなく、商店会から会員にお知らせを届けることもままならない状態でした。
会員の皆さんからも、「抽選会やクリスマスイベントには参加はしているけれど、その効果や参加する意義のようなものを強く感じられない」と、ぼやきもちらほら。正直言って、「入会しているメリットがない」といつ言われてもおかしくない状態だったと思います。

一方で、商店会をもっと良くして行こうとコミットしてくれる若い経営者や店長の皆さんが多く出てきてくれたのもこの時期でした。
そこでボクが会長になって最初に着手したのが、役員ポストを増やし、こうしてコミットしてくれる若手の商店主や店長の皆さんを役員として商店会活動に招き、定期的に役員会を開催して、商店会のこれからについて議論する場を増やすことでした。
こうした議論を通じて、商店会を運営していくための多くの実務を会長や役員が分担してボランティアで行う今までのやり方から、事務局を設置して専従職員を雇い入れ、役員はほかの会員とのコミュニケーションをより多く深く取ることで会員のニーズを把握することにつとめ、そうしたニーズを元に役員会で商店会の進むべき道を議論し意思決定していく形にするべきだという、ひとつの理想型を導きだしたのでした。

理想を追えばそこに事務作業という高い壁

商店会は、その活動をそぎ落とすだけ落としてしまえば、街路灯など商店会が所有する資産を維持するために会員から預かったお金を使い、定期的に届けられる地域団体や上部組織からの情報が掲載された配布物を会員に配るぐらい。そして年に1度定期総会を開催して会計報告と会計監査を行えば、最低限、会の活動は全うされます。
もちろん地域差や会員数の多い少ないで事情は変わりますが、こうしてそぎ落としてしまえば、事務作業の負担は限りなく少なくできます。
商店会としてそれで良いのかはまた別問題ですが.…。

ところが、地域活動を支え、会員にとって入会する「魅力(メリット)」がある商店会を目指すとなると、そこそこ事務作業の負担が大きくなるのもまた事実。
単なるインフラ資産の維持だけに存在する会ではなく、会としてその地域の魅力を発信して集客したり、補助金を活用して会員店舗の販売促進につながるような企画や活動を実施したり、会員同士の交流が活発に行われ、お互いのお店や会社を深く理解しあうことで送客しあえたり、事業活動の相互サポートが生まれたりするような、まさに入会する「魅力」を会員に提供できる商店会にして行こうとするとそこには大きな事務負担の壁がそびえたつようになるのです。
財政基盤がしっかりした振興組合や協同組合など法人化された商店会は事務局を設置し専従職員を雇用できますが、財務基盤が脆弱なわが中道通り商店会のような任意団体の商店会では、なかなか職員を雇用することもままならず、活発に活動し「魅力」ある商店会を目指せば目指すほど、会長と役員のボランティアによる事務作業が増えていくと言うパラドックス。
しかも多くの商店会の会長や役員は自分の仕事もしながら商店会をサポートしているわけですから、相当なメンタリティーも必要です。 

はじめの一歩:倉庫兼事務所を借りる

話を元に戻して、わが中道通り商店会ですが、昔はコピー機もなく必要があればコンビニで、また倉庫もなかったため、商店会の様々な備品類が、役員の皆さんの自宅やお店にバラバラに保管されているような状態もあったと聞きます。
確かに昔はそれでよかったのかもしれませんが、これからの時代、昔のようなやり方をしていたら絶対行き詰まると判断し、倉庫兼事務所を借り、コピー機をリースし、バラバラに保管されていた備品類をひとつにまとめることから始めることにしました。
今まで商店会では事務所を借りたことがなかったことから、臨時総会を開催して、会員の皆さんから承認を得る手続きを行い、今のスペースを確保するに至りました。
こうしてまず商店会の運営に関わる経費を透明化し、会員に共有することで少しでも実情に目を向けてくれる会員が増えてくれることが大切だと感じました。

人はなかなか雇えない

中道通り商店会は任意団体です。そのため仮に人を雇うとなると、会長個人が専従職員と直接雇用契約を結ぶこととなります。また、任意団体のため健康保険や年金といった社会保障についても加入のハードルが高いことも事実です。
まず、会長個人が専従職員と雇用契約を直接結ぶということ。これはよほどの信頼関係がふたりの間にないと成立しませんね。
当初はしばらくは蜜月を過ごしていても、時の流れとともに関係が冷え込んでしまうということは、人間関係にはよくあること。最悪の場合を考えるとなかなか個人で人を雇うのは難しいことですね。
次に健康保険や年金といった社会保障の問題。
労働力を確保するのに大きなファクターとなるのが賃金の高さとこの保障ではないでしょうか?
任意団体でも社会保険や雇用保険、年金といった社会保障制度に加入することは可能です。但しその煩雑な加入手続きを誰がやるのか?これもまた大きな問題としてのしかかってくるのです。
財政が豊かであれば、手続きをすべてアウトソーシングすることは可能ですが、なかなかそこまで費用を掛けられないのが現実といったところです。

結局はお金。ならば会費を値上げできるのか?

結局何をするにもお金がかかるということ。
地域に支え、会員から会費を預かる責任をはたせる商店会を目指し、この街の未来を見据えたサステナブルな商店会にしていくためには、人を雇ったり、協力会社に業務を委託しなくては、前には進みません。
そこで、事業予算を増やすために簡単に出てくるアイデアが「会費の値上げ」です。この思考の流れもいわゆるあるあるです。
商店会の事業予算は、会員から預かる会費が屋台骨を支えているので、会費を値上げすれば自ずと事業予算が増えるのは確かです。280の会員によって支えられている中道通り商店会としては、会費を値上げすればその効果も大きいはず。
しかし、本当に値上げは受け入れられるのか?
答えは「否」だと思います。自分も含め会員の皆さんは、コロナ禍からの脱却をめざして日々商売で頑張っている方が多いはず。家賃も右肩あがり、電気代など経費が高騰する厳しい状況の中で、無駄な経費を出ないように切り詰めながら経営している方々がほとんどです。もし商店会費を値上げするという「カード」を切られたら……….。
退会する会員が一気に出る気がします。
また、会費を値上げするほどの新たな「価値」を商店会から会員に提供できるのか、今の運営体制では正直自信がありません。

うー!やー!たー!

ここまで手詰まりだと開き直るのが、ボクの性格です。
こうなったら文殊の知恵。商店会の皆さんの知恵と知見を駆使して、自分たちで稼ぐしかありません。
まずは有効活用できる商店会の資産はないのか、中道通りの魅力は何か、しっかり見極めて収益事業にチャレンジし、少しでも財務基盤を強くして、新しい仕組みを作る。そして、次の世代にこの商店会を引き継いでいくのだ、と気合を入れ直す日々です。

急に精神論になり、しかも長文になってしまい、いささか赤面する展開になりました。申し訳ありません。
最後までお読み頂き本当にありがとうございました。次はもう少し論理的に書き進めたいと思っています。(笑)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?