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吉祥寺西公園の謎テント

20年眠り続けた防災テント

吉祥寺西公園の防災倉庫に、開園当初から眠り続けている災害発生時に使えると伝えられて来た大型テントがある。
地域の一部の人たちしかその存在を知らないこの大型テントは、公園開園時に行われた映画鑑賞会で使われたという都市伝説が残るだけで、実際に立っている姿を誰も記憶していないという不可思議な存在。
吉祥寺西公園は、発災時に仮設トイレが設置でき、水道水の提供などができる公園で、武蔵野市の中でも防災機能を持ち合わせた公園のはしり。
今となっては機能が更新されておらず、食品などの備蓄もないため、避難所としての位置づけもなく、震災など大きな災害が仮に起きたときは、とりあえず初動の避難地として存在する公園と言って良いと思います。
実際に2011年の東日本大震災の時も、近隣の住民や店舗のお客様やスタッフが一時的に避難してきましたが、状況が落ち着くと自宅やお店に戻る様子が見受けられたことを記憶しています。

どうする?このテント

前置きはさておき、今回この謎テントを引っ張り出して一度組み立てて見ようという話になったのは、毎年吉西福祉の会や西コミセン、中道通り商店会が中心となって開催している「西公園なかよし祭り」の実行委員会でのことでした。
その存在を知りながら誰も手をつけなかったこのテントが本当に発災時に役に立つのか、部品の破損や欠落がないか、設置するための工具が一緒に倉庫の中に入っているのか、組み立て方がわかるマニュアルがあるのかなど、このタイミングですべて棚卸しして確認し、使うためには必要なものを洗い出し、改めて市役所担当部書とも情報共有し、今後どう取り扱って行くか協議しようという試みでした。

西公園の看板にある表記

組み立て方を整理しよう

【部品】
①真ん中の太い支柱(折れるパーツがある)×2本
②テントの屋根部分の梁×1本
③テントの端を支える細いポール×2本
④四角(よすみ)の細い支柱×4本
⑤屋根用テント×1枚
※必要な部品はこの5種のみ。すべて倉庫に存在する

部品を見分中

【設営に必要な道具】
残念ながら、設営に使える道具は倉庫にありませんでしたが、下記の道具があれば設営可能です。
⚫めがねレンチ
⚫ラチェットレンチ
⚫モンキーレンチ
公園内にある設置場所の穴の蓋を止めているビスをはずし、支柱を設置するときのビス止めするための道具が必要です。
今回はバッテリー駆動型のインパクトレンチを使いましたが、災害時に電力供給がストップすることを想定するとおすすめできません。

【組み立て方】
部品を見ながら以下を参照にしてもらえれば、組み立てはそれほど難しくないかもません。

  1. 6本ある支柱の設置場所にある穴のカバーをはずす

  2. 真ん中の2個の穴に、部品①を上から挿せる状態で横に寝かす(部品①をどちらの穴に入れるかは部品①の支柱に書いてあります)

  3. 部品①に部品②を連結する

  4. 部品②に部品⑤をマジックテープを使って取り付ける

  5. 部品①の根本をしっかり穴に入れたら、部品⑤のついた部品①と②を部品①の頭についたロープや人力で直立させる(⚠️転倒しないよう細心の注意を)

  6. ぶら下がった部品⑤の端の袋縫いされた部分に、部品③を横から片方ずつ入れる

  7. 部品④を部品③に接続し、部品⑤を部品④で突き上げるように持ち上げながら、四角(よすみ)の穴に部品④を挿す

  8. 地面と支柱を専用ビスとナットで固定すれば完成

設置穴のカバー
部品①と②を連結し②にテントの屋根になる⑤を取り付け
真ん中の2本の支柱を所定の穴に
皆で力を合わせて立ち上げる
部品③をテントの端の筒状のところに差し込む
部品③と④を接続し屋根のテントを立ち上げる
ほぼ完成
最後にビス止め
倉庫に収納

組み立てた印象

まず、重い。支柱も屋根になるテント幕も部品がすべて重いため、設営時に多くの人手と細心の注意が必要。特に、風が強い日や雨が降る中での設営は困難が予想される。
◯夏の強い日射しを遮り日陰は作れる
△風が強い日の耐性は少々疑問
❌横幕がないため、横殴りの強い雨は凌げない

都市伝説の真偽を語れる方との遭遇

このレポートをそろそろまとめてアップしようと思っていたところに、吉祥寺西公園開園当時に担当されていた方と出会いました。
その方によると、公園新設にあたり、防災機能だけでなく、市民の憩いの場として、映画や音楽ライブなどのエンターテイメントを公園でも楽しめるように、設計されたとのこと。
紀ノ国屋側の植栽が段差になって植えられている場所は、開園時は客席として人が座れるように考えて作られたそうですが、その客席で子供さんがころんで落ちて怪我をしたことから、そのような使い方はやめるようになったと言うことだそうです。
映画を上映したという都市伝説は、残念ながら事実ではなく、映画は上映していないということもわかりました。

地域の皆さんが決めること

このテントを今後も生かすのか、それともこのまま寝かせておくのか、それは、これからもこの地に住み、吉祥寺西公園の防災機能を維持し、活用していく地域の皆さんの意思に委ねることだと思います。
中道通り商店会はその意思を尊重し、これからもサポートしていくことが役割だと考えています。

設営および撮影協力:
吉西福祉の会、吉祥寺西コミュニティ協議会、一小防災ネットワーク、一中PTA、中道祭礼、中道通り商店会


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