拝啓 人事部長殿 を読んでみて

noteさんの企画。
読書の秋2022の推薦図書の1つ「拝啓 人事部長殿」を読んでの感想を書いてみようと思います。

すべては善意からスタートしている

日本の雇用制度は問題ありまくり。それは私自身も地方都市の中小企業で10年以上働いており、周囲の人たちと話をしている経験から百も承知です。

それでも、今私達が働いている雇用制度も先人の人達が苦労して積み上げて作ってきたものであることもまた事実。そして、100%でないにしてもその多くは、善意をもって考え抜いて作れたということ。
それだけは忘れてはいけないと思いました。

これはこの本の主題の“人事”や“雇用制度”だけではありません。
個人でも同じです。1人の個人がその場で最善だと思ったことを毎日・毎時間・瞬間毎繰り返されている大原則があるんだとこの本を読んで改めて思いました。

表面的な結果だけに反応するのではなく、なぜそこに至ったのか。何事も経緯に着目することで、物事の見え方が大きく変わるということです。
大抵のネット炎上もその視点さえあれば、短絡的な攻撃的な批判はなくなるはずだなど思ったりしました。

この本のすごいところ

1,要約力
人事や雇用についてド素人な私に理解できるようにしっかりと噛み砕いて、まとめ上げている要約力に驚きました。
能力がある人にとっては普通なのかなぁ〜?
著者は東大でトヨタ自動車に入社して、トヨタの働き方に疑問をもって飛び出すような人なので、元々能力は高いと思いますが、私には著書のように物事をまとめあげる力はありません。

2、高精度の心当たり
問題点や指摘事項のどれも心当たりがあり過ぎます。
そりゃ、日本国内で働いている人が組み込まれているシステムの話をしているから当たり前と言えば当たり前なのですが、つい「確かに」「そういうことか」と言葉を出しながら読んでしまいます。

3,希望を語るけど、ある種の絶望
本で指摘される日本の労働に関する問題点を浮かび上がらせ、解決の方向性も示してくれます。それは同時に、ある種の絶望も同時に示してくれます。
社会や日本国の単位で考えると、かなり厳しい状況だと改めて認識させてくれます。 ただ、ここを理解しながら個人としてどのように立ち振る舞うか。

個人の絶望と国の未来は別問題だといい意味で割り切らせてくれたなと。
それも誰が悪いとかではなく、日本人がみんなで選択したこと、これから選択するであろうことがもたらす必然で起こりうる結果なので、どうしようもありません。

だから、それは天気予報みたいなもので、雨が降ると分かっているなら傘を持つのか、建物の中に入るのか。変えられない環境の状態の概要を知る良い本だと思います。


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