協調制だけではない世の中で(書籍紹介)

武器としての交渉思考

交渉という要素はビジネスだけでなく、プライベートにおいてもよく出てくることだが、その交渉方法を私たちはあまりに知らない。少なくとも、私は意識して調べるまでは、交渉というのは自己主張の押し付け方ぐらいに思っていた。ただ、皆さんも経験があるであろうこととして、自己主張の押し付け合いによる交渉というのは、何かしらの優位性を持った側が勝つだけとなる。

自己主張を押し付けるパワープレイも交渉と言えるが、交渉力とは本来優位性を持たない側の武器だ。

一つ考えてみたい事例がある。ここ最近、LGBTQやSDGsなどの活動でデモ活動など自分たちの主張を社会的、倫理的正しさを強調して社会浸透させようとする動きがある。が、果たしてこれは効果のあるやり方であろうか。多くの場合、自分たちは正しいとだけ訴え、世の中が間違っていると、変わるのは私たちの外であると真っ向からぶつかる。お前たちが変われの押し売りだ。

主張は正しいのかもしれない。しかし、正しいだけでは人は動かない。このような自分たちの正当性をただ訴えるだけでは効果が出ない時に交渉思考というのは役に立つスキルだ。

デモ活動では、なぜ効果が上がらないのか。それは、受け手の利害に全く無頓着だからだ。コミュニケーションの本の多くが、相手との関係をよくするためには、相手の立場にたってとの主張をするが、具体的に相手の立場に断つということはどういうことだろうか。例えば、相手の考えを理解するなどがあり、その考え方についてさまざまな記載をするが、具体性に乏しくなってしまう。本当に相手の立場に立つというのであれば、必要なのは相手の利害について知ること、言語化することだろうと私はこの本を読んで考えるようになった。

相手との関係というのはどれだけ努力しようと、よくもなれば悪くもなる。相手との関係が崩れている中でも、お互いによい決着に向かう方法を取るヒントを得るために、本書を読んでいただきたい。

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