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在宅でできる仕事の勧誘を受けた話。

 策家(さっか)のないとうです。名古屋を拠点に企画者として活動しています。策とは企画、企画とは「誰かの手助け」。動画・音楽・ウェブや印刷物などのクリエイティブやイベント、販促、組織の体質改善など、ノンジャンルで企画を立てております。

 さて。過去に二度ほどお会いしたことがある方から突然こんなお誘いをいただきました。

「誰でも在宅でできる仕事があって、月に15~20万円くらい稼げます。説明を聞いてみませんか?」

 これだけ見る分にはとても魅力的です、あやしいけど(笑)。空き時間にやればよくて月にこれくらい稼げるのであれば、話くらいは聞いてもいいなと思いました、あやしいけどね(笑)

 説明はZoomでいいということでしたのでさっそく「聞いてみます」と返答。最大の理由は、ワタクシのような個人活動者からすれば、本来「これでメシ食ってくぜっ!」ってことだけではなかなか生計が安定しないということもありましたし、なによりも「そんな条件でやれる仕事が本当にあるなら、勧めたい人が複数人思い浮かんだ」からでした。

 ワタクシの場合、なにかを人に勧める場合、

 ①自分がその内容をちゃんと理解していること
 ②できれば先に自分がやってみて、勧めたい人にも合っているか確認する

という条件をクリアするようにしています。やってもいないことを「アナタに合ってるから」と軽々しく口にしていいとは思っていないんです。

 そして当日。

「時間厳守でお願いします」と言った本人が定刻を過ぎてから入ってくるところから始まりました(笑

 内容的なことはそこの企業秘密もあるでしょうから書きませんが、確かに経験値とか学歴とか性別とかは関係なく、誰でも始められる仕事でしたし、月間に稼ぐ目標額にもそれなりの根拠を感じました。

 結論から言いますが、ワタクシはもちろんやりませんし、人に勧められるものでもないと判断しました。

「10万円以上の高額な入会金を今なら●万円でいいですよ」という条件がついていたからです。

 誘うときに「入会金を支払う必要はありますが・・・」が一切なく、Zoomとはいえこちらは日時を合わせて時間をとり、「40分で済む」と聞いていたのに1時間を越え、入会金のお話はラスボスのごとく最後に出てきて、しかも「本来●●万円のところを今なら●万円」というセールストークをする。

 つまり、「いいことだけを言って誘い、あとでガッカリされる確率が極めて高い手法をとった」という行動がなによりも怪しいんです(笑

 お金の話を先にすることが、仕事上はなによりも大事な礼儀であると考えているワタクシとしては、まったく逆をやられたわけです(笑

「話を聞いてみてどうでしたか?」と問いがきましたので、こう答えておきました。

「中身も理解しましたし、確かに誰でもできる内容だとも思いました。しかし、仕事の話だと聞いていたのに、実際には最初にお金がかかる。それも安くない。仕事を探している人はお金が必要なのに、お金を払えという話のオチでは違和感しか感じませんでした」

 ほかの参加者もうなづいていましたが(笑)

 また、その場では言いませんでしたが、仮にこのプランを、月に15~20万円稼げるのが上級コースだとして、より安価な会費で中級コースもあるとか、最初は月に5,000円くらいまで稼げるように面倒を見る無料プランがあるとかならまだ人に言えたなぁと思いました。

 付加価値を売る時代ではありますけれど、「自分が確実に稼げるかどうかもわからないうちに何万円も投じるなんてことがそんなにあるんだろうか?」と思うわけです。

 また、今回のお話を二度しかお会いしていないワタクシにいきなりしてきた方も今後はワタクシにもれなく観察されます。これは以前にも1口40万円以上という投資話に同級生が誘われた際にも使った手法ですが、「誘ってくれた人が誘うまではちょくちょく毎日のように連絡してきて、断った途端に連絡がなくなるかどうか」というチェックです。

「金の切れ目は縁の切れ目」とはよく言ったもので、同級生に婚活の場で投資話を持ってきた彼女は、同級生が断った日からなんの連絡もなくなりました(笑)

 何かのことで誰かを誘う時、人はどうしてもデメリットを言いづらいものですよね。ところがこれは自分を主語で考えているからで、誘う相手を主語にして考えれば「デメリットがあるなら先に聞いておきたいもの」ということが見えてくるんです。セールスの現場で持続的に結果を出している方数人も「相手の望まないことをすれば関係性がなくなり、持続的なセールスは成立しない」と言っていました。

 今回のお話には紹介料の設定もありました。お誘いいただいた方は「ネットワークビジネスの話じゃないですよ」と付け加えていました。確かにネットワークビジネスではないですから、間違ってはいないです。でもそれは、ネットワークビジネスがどんなものなのかを把握している人だけの論理。把握していない人からすれば「紹介料」とか「人を誘って」なんて出てくれば、それはもうその人の中では立派な「ネットワークビジネスみたいなもの」になるだけですよ(笑)

 個人的にはネットワークビジネスの仕組みは素晴らしいと思っていますし、物販系のネットワークビジネスの経験もあります。そこをやめた理由は人。「人の成功をプロデュースすれば自分も成功できる」という仕組みにはなっていたんですが、人がそのルールを守っていなかったんです。本人が欲しがってもいないものや高額なものばかり見せて「あるといいでしょ?」と繰り返す。ワタクシもかつて自分が誘ったメンバーから「買った方がいいかな?」と相談があり、「買うな!」と明言しました。ワタクシが反対しても買うのであれば本当に欲しかったんだということですからね。で、高額な商品ばかり見せる人に「そういうのやめて欲しい」と伝えたら「本人の成功のためだ」と返されたので関係性がなくなりました。どう見ても自分の取り分のためにメンバーに高額なものを買うように仕向けていたとしか思えませんでした。その人は今もやり方を変えていないと風のうわさで耳にしました。

 たった1回の経験で「バツグンのプロ」と名乗る。修正入りまくった写真で履歴書やお見合い写真を作る。実務経験はないけど資格はたくさんあるからと列挙して営業活動。

 なんだか最近は「盛れば盛るほどビジネスが成功する」みたいな教えが横行しているというか、そんな気がするんです。特に資格がなくてもできる業界は見ていて痛々しいくらい(笑)

 昭和だろうと平成だろうと令和だろうとね、商売というのは必ず「人とするもの」だと思うんです。もしもどこかにアレクサ相手に商売しているという人がいたら紹介してください。話を聞いてみたいんで(笑)

 人からどう見えていて、どう思われるのか。またお客様にあたるお相手が何を思い、何を望むのか。そこを気にもせずに自分の好きなようにふるまえば、時としてそれは人に害をなすこともあるんです。

 みんな違って、みんないい。

 なんですけど、「自由には必ず責任がセット」でもあるんですよね。

 さて、今回のお話をお断りしたので、誘ってくれたあの人はどんな動きをするでしょうねぇ? ワタクシの予想は「しばらく連絡なくて、次に連絡があっても別のビジネスの話」というのが最有力です(笑)


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