愛をこめて、「ポンコツです」。
策家(さっか)のないとうです。名古屋を拠点に企画者として活動しています。策とは企画、企画とは「誰かの手助け」。動画・音楽・ウェブや印刷物などのクリエイティブやイベント、販促、組織の体質改善など、ノンジャンルで企画を立てております。
愛を語るのは気恥ずかしい52歳です(笑)
クリエイティブの業界にいますとね、いろんな場面で「なんでこんなことになるの?」があります。今回はそんなお話の一例です。
いわゆる広告を作るお仕事は一定数ありますが、未だに、完全に「ピラミッド構造」だったりします。
①クライアント
↓
②広告代理店
↓
③制作会社(総合)
↓
④制作会社(専門)or 個人クリエイター
と、まぁこんな流れが過半数です。
ワタクシはこの構造で言えば④が多いので、クライアントとの直接の接点はほぼありません。「広告代理店や間に入っている制作会社さんが会わせないようにしているのでは?」と思ってしまうくらい顔を合わせません。
最近は少しずつですが②の位置もご依頼いただきます。策家(さっか)ですので、作戦立てる位置は本来ここですからね。
さて、あるときのことです。④の立場で制作にあたろうと、材料をもらいました。もちろん①⇒②⇒③と渡ってきてワタクシの手元にきたんですが、調べたところ1年前に作った際の材料とまったく同じだということがわかり、④⇒③⇒②⇒①へと確認をしようとしたんです。
お金をかけて作るので、
「なんで新しく作るのに去年と材料が同じなんだろう?」
と、
「作り直しになると困る(クライアントの負担が増える、あるいは追加料金なしで作り直しという力技が来る・笑)ので、ちゃんと確認したい」
という思いがあるわけです。
ところが!
まさかの制作会社(総合)から「②からきたんだからそれでいいよ」と返答が。
「そこは確認取ろうよ~!」という思いが消えないので、粘る。
「新しく作るのに材料が同じなのは不安じゃないですか? もし作り直しになって、追加料金が認められなかったらどうします?」と(笑
で、しぶしぶ③⇒②へと連絡。
ところが!(パート2)
なんと広告代理店からも「①からきたんだからそれでいいよ」と返答が(笑
ワタクシが伝えたことをそのまま使って粘ってくれてもいいのに広告代理店が言ったことをそのまま伝えてくる制作会社(総合)。
ここでもワタクシは粘り、制作会社(総合)から広告代理店へと同じ論理を展開。言い方としてはもう半分脅しです。
「もし作り直しになったら追加料金はいただきますよ」と。
ようやく②⇒①へと連絡が入り、これで確認できて制作が進められると思っておりました。
ところが!(パート3)
クライアントの担当者さんが「前任者から受け取ったフォルダにあった材料なのでそれでいいです」と返答が(笑
ここまでくるとさすがにコントですよねー。こちらが気にしているのは「ちゃんと確認しないと作り直しのリスクが減りませんよー」ってことなのに、関わった人が全員「めんどくさいじゃん」と言わんばかりの軽ーい対応。
結局どうなったかというと、「前任者や現在の上司、あるいは責任者にゴリ押しして確認を取っていただく」をゴリッゴリに押しに押してもらったら、「新しく作るための材料」がキッチリ出てきました(笑
ドラマでしたねー(笑
この事例で、もしワタクシの位置を含む関わる全員が「これでいいじゃん」と思ってたとしたら、作り直しは避けられませんでした。そしてここが重要なんですが、「確認を怠った結果でトラブルが起きると途端に犯人捜しが始まり、仕事をいただいている側がワリを食うことがほとんど」なんです。
つまり、力技だと書いた「追加料金なしでそっくり作り直し」がやってくるわけです。
こんなことは誰も喜びません。
いや、もしかすると今この記事を読んでいる人だけは喜んでいるかもしれません(笑
制作側、つまり広告代理店も制作会社(総合)もワタクシも、作り直しなんてたとえ追加料金をいただいたとしても「クライアントに喜ばれていない」ので、以後の受注は失うかもしれません。やってられませんしね。
この事例ではワタクシが確認することを一歩も引かずに踏ん張りました。ひょっとしたら制作会社(総合)さんも予見はしているものの、「大丈夫ですか?」と言うこと自体をめんどうだと思ったり、過去にも今回のワタクシ同様に踏ん張ったけど広告代理店に確認を断られたりしたことが何度もあって、「言ってもムダ」になっている可能性もあります。
ワタクシは幸いにも一度クリエイティブ業界を離れて戻ってきているので、この業界を割と客観的に見れています。そのワタクシの見解は、
「言ってもムダ」じゃなくて「言わないからムダが発生」です。
クライアントがなにか(主にコマーシャル)を作るのは、作るのが目的じゃなくて結果を出すのが目的。制作側も作るのが目的ではなくて、「クライアントの満足を追う」のが目的なのです。作ることを目的とはき違えると、今回のように間違った材料にも疑問を抱かず「間違った材料を渡してくる方が悪い」となり、責任は負わされなくても二度と依頼はこないでしょうね。
これがねー、例えばネットプリントだとそれがあたりまえなんですよ。安いことと引き換えに「間違ったデータ送ると間違った仕上がりになる」し、「期日までに入稿しないと欲しい日に届かない」のです。不思議と人間はシステム相手だとそれを守るのに、人が相手だと責めたりわがままを押し付けるんですよねー。
仮に、最初っから関係者全員、つまりクライアントの担当者さんまで共通した線引きとして「効率よく、狙ったものを、間違いなく作る」を持っていたら、おそらく材料を渡す際に「〇〇に確認した材料です」と付け加えて渡しますし、制作側でなにかしらの疑問が生じても問い合わせやすく、かつ「すぐに確認して折り返します」とスムーズになると思うんです。
この事例ではないですが、「もらった材料なんだからさ、いいからそれで作っといてよ」と一蹴され、結局追加料金なしで作り直しになったうえ、クライアントに謝罪させられた例もありました。当然ですが、今はもう関わりを一切断っております。
個人的には「今できないことは悪じゃない」と分類しているので、今、この時点でできていないことは責めたりしません。が、問題や疑問が発生したのに解決に協力的でない姿勢を今後も続けるとなると「今後もにたようなことが繰り返される」のでお付き合いはできないです。
たぶんですが、そいう人は役割ではなく「立場」で仕事をしていると思うし、なんなら作業のことを仕事だと思っていて、「自分のめんどくさい」でやるかどうかを判断している可能性がありますね。仕事ってのは本来は「仕える」という言葉が入っているので、求められた役割を果たすことで、そして満足してもらうことで成立していると思うんです。そして作業は具体的に手を動かすこと。明確に思うのは、世に生成AIが浸透し始めましたので、近い将来「作業」はAIにとって代わっていきます。それも加速度的に。
そうなったらね「仕事」ができない人から「必要ない」と言われる未来がやってきますから。そういう方には愛をこめて「ポンコツです」と伝えたいです。今ポンコツなのは悪じゃないですが、今後もポンコツを続けると自分が一番ワリを食うことになりますよー。
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