2年に渡る指導の結果。
策家(さっか)のないとうです。名古屋を拠点にノンジャンルで企画の仕事をしています。動画や音楽、ナレーション制作、ウェブや印刷物などのクリエイティブ、販促やイベント、メディア企画、会社の体質改善や人材不足の解消などなど、「企画とは誰かの手助け」と位置付けて活動しています。
お世話になっている方から、間に入って欲しいという頼みごとが舞い込んだのはおよそ2年半ほど前のことでした。
企画や広告の分野の会社さんで、そこの息子さんを指導して欲しいという内容。息子さんはアラフォーで、いわゆるフルゆとり世代。ちょうどワタクシは息子さんより一回りくらい年上です。社長であるお父上との間に入って、企画として仕事になりそうなことがあれば協力するというスタイルで関係性がスタートしました。
何度かやりとりをしたり、わずかですが仕事を息子さんとやってわかったことは次の5つ。
①やたらとカタカナ語を使い、業界人ぶる
②マックブックを持ち歩いているがメモとスケジュール管理程度の使い方
③手帳を持っていない
④初対面の相手には何でもできるかのようなアピールをする
⑤うまくいかないと100%自分は悪くないと主張する
て、かなりのものである(笑
「なにをして食べていきたいと思ってる?」と問うと、「企画やクリエイティブです」というので、簡単な企画書を書いてと頼むと、「企画書は書けません」と返してくる。
「じゃ、今は書けなくても書けるようになれる努力はしてね」と告げ、企画書が書けないとなると企画の仕事は難しいとなり、「あるいは営業ですかね」というので、一緒にチームで動く場合は営業的なポジションを与えた。要するにクライアントとの接点を任せたわけです。
それから2年間、「相談はいつでもいくらでもしていいから、できるようになるために貪欲に」と「2、3年のうちに規模が小さくても構わないから最初っから最後まで中心的に関わった企画の経験を積めるように営業」と主に2つの目標を掲げて活動しました。
詳しくは聞いていませんが、彼はこれまでに父上の下ではなく、広告代理店やクリエイティブ関連の仕事や営業の仕事をしてきた経歴があるそうですが、クライアントの要望に応えられるだけのオーラがまったくない(笑
キャッチボールしかしない人でもメジャーリーガーでも「野球やってます」って言える。それと同じかな?と懸念が湧きだしました。
そこからはもうね、転げ落ちですね(笑
彼に指導として伝えて、2年経った今でも守ってくれないことを列挙してみます。
①何か頼まれたら自分から期限を切る
②自分で切った期限を守る
③期限を守れなくなったら最速で相手に連絡を入れる
④ノートとペンでいいから書いて記録する
⑤カタカナ語の多用をやめる
⑥任されるまでは自分の考えだけで動かない(相談する)
⑦落ち度があったらまず謝罪する
まだまだありますが、代表的なものがこの7つ。こうして改めて書いてみても、新社会人に指導するような内容ですね(笑
これで成人式2回目の年齢を迎えようというのに、どれも、ひとつも、未だに守られていない。
①何か頼まれたら自分から期限を切る
→頼みごとをすると「わかりました」で電話を切ってしまう。数日後にこっちからしびれを切らして連絡するとすでに答えを持っている。ワインじゃなかろうに、寝かす必要性がわからない(笑
②自分で切った期限を守る
→こっちから「いつまでにできる? 慌てないでできる期日は?」と聞くと「●日までにやります」と返答はする。だが守ったことがほぼない(笑
③期限を守れなくなったら最速で相手に連絡を入れる
→「常識的には期限当日の17時が最終で、それより遅くなるようなら事前に連絡するものだよ」と話していたのに、18時とか、20時とか、翌日の昼過ぎとか(笑) その時の言い訳は「もう遅い時間でしたので」だそうです。なんで翌日の朝一じゃないのかはいつも謎(笑
④ノートとペンでいいから書いて記録する
→最近はローソンに無印良品の商品が陳列されるようになり、300円程度でノートとペンは手に入る。ところが一度もノートを持ってきたことも、目の前で書いて記録するところも見たことがない。マックブックを開いてメモは取るが、果たしてそのメモは再び開かれることはないんじゃないかと思うくらい、話したことを覚えてもいない。
⑤カタカナ語の多用をやめる
→「リテラシーが低いんで、スキーム組まないといけませんね」的な使い方ばかりする。もしお相手が言葉の意味を知らないのに知ったような顔をされたらそれこそ会話自体が成立しないので、企画者としては致命的だと指導したが治らず。ちなみに「スキームってどんな意味?」って聞いたら固まってました(笑
⑥任されるまでは自分の考えだけで動かない(相談する)
→おそらく100回は言っている。「なんでそんなことしたの?」と(笑) その返答はいつも「それでいいと思ったので」です。人に丸っとしりぬぐいをさせておいてそのセリフを何度でも言えるってのは、人の気持ちがわからないとしか思えず(笑)
⑦落ち度があったらまず謝罪する
→トラブルはボヤのうちに消火したいワタクシは迅速に動くのですが、一旦落ち着いたタイミングで「なんでこうなったのか?」という話し合いをしても謝罪の言葉が出てこない。つまり、頑なに謝らないのではなく、悪いことをしたという認識ができていない(笑
指導に際して特に金銭は発生しておらず、「彼が立派になれば仕事も増えるだろうし」くらいの気持ちでした。彼がどんなにできが悪かろうと、「まぁ自分でフォローすればいいし」という線引きでしたが、それがいよいよ我慢ならんことが起きました。
ワタクシ自身にくる負担はいくらでもワタクシ次第で納められますが、あろうことかワタクシの友人を頼まれて紹介したら、おそろしく多大なる迷惑をかけたのです。
友人を紹介したことで仕事が1本成立し、彼はディレクション(制作進行管理)と営業という立ち位置。ワタクシは実務に参加しないし、案件が増えれば手伝う姿勢でしたので紹介したことに関してはお金はもらいませんでした。
その代わり「友人に迷惑をかけないようにしっかりやってくれないとさすがにワタクシも怒るよ」と何度もクギを刺しました。「自分で考えて動くのはここまで全部ダメだったので、相談はホントにいつでも何度でもしていいからちゃんと最後まで着地して欲しい」と添えて。
結果、案件が始まったら友人に丸投げでディレクションの役目は一切やらず、納品後の請求でも「当初提示した金額で」と自分の取り分を仕事をしていないのに要求。9月に納品し「次の案件については2月からしか動けない」と友人がこの案件が始まった段階(4月)から伝えていたにも関わらず、2月に入っても連絡のひとつもよこさない。不審に思ってクライアントに「2月からできるという話は伝わってますか?」と聞いたら「なにも聞いていません」という返答。クライアントは頼めるならもっとやって欲しいそうで、友人も怒り心頭。
本人に連絡すると「何度もクライアントに連絡しているがなかなか決まらない」とウソの報告。
友人からワタクシに相談があり、「彼からの依頼は受けない」という結論になりました。結局のところ、彼は父親の仕事を継いでいる風な感覚はあるものの、自分がわかっていない。企画書も書けない、営業もできないどころの話じゃなく、「人の気持ちがわからない」のです。だから頼まれたことをちゃんとやれない。それなのにこの業界にいたいというわけのわからない思考。この業界でなくたって、基本的に商売とは人とやるもの。人の気持ちがわからなければそもそも成立しないんです。今わからないことは受け入れられても成長する可能性を一切感じないようでは終わりです。
この2年の間に、ワタクシと彼の共通の知り合いが何人も彼から距離を置き、「ないとうさんよくやるなぁ」と言ってくれましたがさすがにもう限界です。
ワタクシの人脈に迷惑をかけるのはもう害がある。
ということで、友人から彼に「もう信用できないから組まないよ」と「クライアントにもこっちから連絡しておくから」と通達してもらいました。
彼とは1月の下旬に話して以来、一度も連絡はない。
年初に「今年はこっちから連絡することはしない」と伝えたばかりでした。昨年まではいちいちこっちから連絡して「あれやった?」「これっていつやる?」と声がけしていましたが、本人が主体的に動かないうちは身につかないとの考えでそうすることにしました。2年間で打ち合わせや相談だけでも軽く100時間は費やしましたが、これはワタクシの人材への投資失敗として自分への教訓にするつもりです。
あるいは、彼くらいキワモノな存在はなかなかいないので、4コマ漫画にでもして出版したら回収できるかも?笑
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