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Langsamer Satz

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ラングザマー・ザッツ (緩徐楽章)。 音楽にまつわる雑文(雑な文)を、ゆっくり、のんびりと書きます。
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#クラシックコンサート

(続)1970年、バーンスタインは本当にウィーンで「マタイ受難曲」を振ったのか

 一つ前のnoteで、フジコ・ヘミングさんとバーンスタインとの出会いについて書いた。  1970年、ウィーンでバーンスタインが「マタイ受難曲」を指揮した演奏会の後、ヘミングさんが世界的指揮者の楽屋を訪れてピアノを弾き、彼に認められたというのが公式のエピソード(※注)。バーンスタイン・ファンの私は、もしかすると未知のレア音源が存在するのではという期待を胸に、当時の公式な演奏記録を調べてみた。 ※注:この情報は恐らくこちらが出典と思われる。    Fujiko Hemming

フライングブラボー(拍手)と私

 コンサートでのフライングブラボー、フライング拍手というのが、どうも苦手だ。曲の最後の音が鳴ったあと、響きが消えないうちにブラボーを叫んだり拍手を始めたりする、あれだ。  私は、どんな終わり方をする音楽でも、ホールにまだ音が残っていて、演奏者が立ちずさんでいる間は、音楽の余韻を静けさの中で楽しみたい。いましがた完結した音楽の姿が完全に消えてしまうまで、舞台と客席が一体となり、高い集中力を維持したままその行方を耳と目で追う、それは至高の瞬間だからだ。特に、聴いた音楽に心を動か