『黒い迷宮 ルーシー・ブラックマン事件15年目の真実』著者インタビュー

早いもので、今年も既に半分が終わろうとしている。今年上半期に出会った様々なノンフィクションたち。その中で、今でも頭の中からこびりついて離れぬくらい鮮烈な印象を残した一冊がある。それが、本書『黒い迷宮 ルーシー・ブラックマン事件15年目の真実』だ。
 ルーシー・ブラックマン事件は、2000年7月に英国航空の客室乗務員が失踪し、7ヶ月後に神奈川県三浦市の海岸近くにある洞窟でバラバラ遺体で発見された事件である。15年も前の話だから、最後まで読み終えることができるかななどと軽い気持ちで読み始めた自分の浅はかさに、今では呆れるばかりだ。
 目の前にいるかのような登場人物のリアリティ、外国人特有の視点による斬新さ、社会構造の問題点を突く時の鋭さ、そしてストーリーテーリングの巧みさ。こんな本に出会えるのは、そうそうあることではない。そして10年以上の期間に及んだ取材は一体どのように行われたのか、執筆中はどのようなことを考えていたのか?あらためて著者の人となりが気になり、取材を申し込んでみた。
 取材当日、リチャード・ロイド・パリーさん(以下:リチャード)がやってきた。想像していたよりも背丈が大きく、だけど時折魅せる柔和な笑顔とのアンバランスさが印象的である。やや緊張感につつまれた雰囲気の中で始まったインタビューの模様を、ご覧いただきたい。

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