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私にとってのボーイズラブBL

高校一年生の二学期ごろ。私はまだ、スマートフォンにしたばかりで、どうやってアプリを入れていいのかさえわからなかった。
けれど友人に動画無料配信サービスアプリを入れてもらったおかげで、両親に検索履歴を詮索されることのなく、自由に好きなものを閲覧できる空間を手に入れた。一人、夜中にアニメのプロモーションビデオやラジオを好きなだけ聞く日々を送るなかで、私はある動画を見つけた。
それは、出版社が提供しているショートアニメでかなり漫画に近い作りになっていた。セリフの吹き出しがあり、場面やキャラクターもそれほど動かないし、変わらない。話の内容は高校の頃、先輩後輩だった二人が今度は漫画家と編集という関係で出会うというものだった。
これが、この動画こそが私にとって最初のボーイズラブ(BL)だった。ベッドシーンが隠すことなく丁寧に描かれ、お互いの心の揺れが細かく作り込まれている。
衝撃だった。私にとって少女漫画といえば、男女が付き合うまでのあれこれを描くものだと思っていたからだ。当然お互いが好き合っていることを前提にして進められていく話だと勝手に思いこんでいた。もちろん少女漫画にも様々な設定や内容がありボーイズラブもそこに入る。
けれど、当時の私はそんなことも知らなかった。
動画を見た時、誰かの手が自分の胸をぎゅうっと掴んできたように感じた。これだ、と直感した。その日から今日に至るまで、私はほぼ毎日BLを読むようになった。
日々を生きていく中で毎日をハッピーに過ごすことは難しい。何もないのに部屋に一人でいると虚しくなったり、寂しかったり、怒ったりしたくなる。家から出れば平静を装うことはできるけれど、心中が穏やかにいられることなんて滅多に訪れない現象だ。
けれどBLを読んでいるときは別なのだ。何も考えずにその世界に没入することができる。登場する人物たちに寄り添いたくなる。追体験がしたくなる。もっとその世界を知りたい、と思えるのだ。
明日のことはわからない。けれど、寝る前のほんの数十分私は自分のベッドでこっそりとBLを読む。それだけで、「まぁいろいろあるけど、いい日かも」に変わることができるのだ。
だから、私はボーイズラブを読むことを恥ずかしい、とは思わない。何か自身の知らない分野で社会的にどうか、と思われている娯楽はいろいろあるだろう。けれど今一度、立ち止まり考えて欲しい。上辺だけを見ないで、思い切って 知らない世界にも目を向けて欲しいのだ。きっとそこには、誰にもいえないけれど、ただ純粋な「好き」で守られている空間がある。
私にとってボーイズラブとは、日々の世界を一時的にシャットアウトさせ、純粋に物語を楽しめる場所なのだ。
だから、どうか温かい目でみていて欲しいと思う。

♯BL

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