緑の革命──20世紀半ば、穀物の大量増産を実現した農業改革です。
21世紀に入り、緑の革命に貢献した品種は、背丈を伸ばす「植物ホルモン」の働きが低下していたという事実がわかってきました。
つまり、植物ホルモンをコントロールすることで、人類の危機を救うような農業革命につながる可能性があるということです。その可能性に、植物ホルモンの一種「サイトカイニン」の研究でアプローチする榊原均さん(生命農学研究科 教授)が、本日、最新の発見を発表しました。
サイトカイニンは、イネの成長を促したり、穂を形成するのに欠かせない重要な植物ホルモンです。15年前、榊原さんら研究グループは、サイトカイニンがどのように合成されるかを解明したはずでした。
ところが、実はその補助的な役割を担う合成経路があったというのが今回の新発見です。実は、40年前にメインの合成経路として提唱されたものの、実証されず忘れられていたものでした。関与する遺伝子の機能を調節することで、収量UPもあり得るとのこと。
榊原さんのお話をぜひポッドキャストでお聞きください(榊原さんのお話は1:35辺りから)。
植物を「地球の生命を支える根幹の部分」と捉え、広い視野で地球の将来への貢献を目指す榊原さんの研究について、詳しくは関連リンクもぜひご覧ください。
(インタビュー・文:丸山恵)
◯関連リンク
プレスリリース(2023/8/29)「植物成長促進ホルモンの新たな活性化経路を発見~イネの穂形成に重要な役割~」
論文(2023/8/29 米国科学アカデミー紀要「Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America」オンライン版に掲載)
植物情報分子研究室(名古屋大学大学院 生命農学研究科)