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次の緑の革命につながれ! 植物ホルモン「サイトカイニン」、40年越しの謎解ける

緑の革命──20世紀半ば、穀物の大量増産を実現した農業改革です。

イネやコムギは肥料をあげると大きく育つ一方、台風などで倒れやすくなり、必ずしも収量が上がるわけではありませんでした。ところが、背丈がある程度までしか伸びない品種が発見されたことで、肥料をあげても倒れにくく、安定した収量を見込める作物の開発に成功しました。

21世紀に入り、緑の革命に貢献した品種は、背丈を伸ばす「植物ホルモン」の働きが低下していたという事実がわかってきました。

植物にも人と同じようにホルモンがあります!植物ホルモンは、植物が成長し環境に適応するために、自分の体内で作りだす化合物です。これまでに10種類ほど見つかっています。

つまり、植物ホルモンをコントロールすることで、人類の危機を救うような農業革命につながる可能性があるということです。その可能性に、植物ホルモンの一種「サイトカイニン」の研究でアプローチする榊原均さん(生命農学研究科 教授)が、本日、最新の発見を発表しました。

榊原均さん(生命農学研究科 教授)
発表前に、オンラインでお話を伺いました

サイトカイニンは、イネの成長を促したり、穂を形成するのに欠かせない重要な植物ホルモンです。15年前、榊原さんら研究グループは、サイトカイニンがどのように合成されるかを解明したはずでした。

ところが、実はその補助的な役割を担う合成経路があったというのが今回の新発見です。実は、40年前にメインの合成経路として提唱されたものの、実証されず忘れられていたものでした。関与する遺伝子の機能を調節することで、収量UPもあり得るとのこと。

榊原さんのお話をぜひポッドキャストでお聞きください(榊原さんのお話は1:35辺りから)。

研究の舞台は、名大の東郷フィールド。東山キャンパスから東に15km(車で30分ほど)の場所にあります。28haの敷地内に、水田、畑、果樹園、家畜を飼育する草地があり、研究や実験実習に使われています。「研究にかかった時間は、途中ストップしていた期間も合わせると、10年くらいです(榊原さん)」
(写真は榊原さん提供)
お話に登場するCPN1シーピーエヌワンは、サイトカイニンの前駆物質を活性化する遺伝子。CPN1を失うと、穂のサイズが小さくなります。「穂が小さくなるのはネガティブな効果ですが、補助的な役割をする遺伝子なので、その機能を逆に高めてやればマイルドな効果としてサイトカイニンの作用を高めることができるんじゃないのかなと考えています(榊原さん)」
(写真はプレスリリースより)

植物を「地球の生命を支える根幹の部分」と捉え、広い視野で地球の将来への貢献を目指す榊原さんの研究について、詳しくは関連リンクもぜひご覧ください。

(インタビュー・文:丸山恵)

◯関連リンク

  • プレスリリース(2023/8/29)「植物成長促進ホルモンの新たな活性化経路を発見~イネの穂形成に重要な役割~」

  • 論文(2023/8/29 米国科学アカデミー紀要「Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America」オンライン版に掲載)

  • 植物情報分子研究室(名古屋大学大学院 生命農学研究科)

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