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46. 発電効率も耐久性も!太陽電池の願い叶える「膜」誕生

こんにちは。理学部三年、髙山楓菜たかやまふうなです。

私は新たな物質を作る、と聞くとワクワクします。 昨日まで世界になかったものが、今目の前にある。とっても素敵なことではありませんか?今回は、そんな新たな物質「酸化シリコン保護膜」を紹介します。シリコン系の太陽電池の表面を保護してくれる物質です。

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太陽電池というのは、光が当たった時に内部の電子が動くことで電気を流しています。電気を多く取り出すためには、電子を多く収集しなければいけません。

現在の太陽電池は表面を保護するために、シリコン酸化膜という保護膜で覆っています。酸化シリコンとはガラスのことです。しかし、これは電気抵抗が高く、1ナノメートル程度の非常に薄い膜しか使うことができません。薄い保護膜では太陽電池の作動中に性能が低下する恐れがあるので、なるべく厚い保護膜を使いたい…というのが本音です。

そこで、名古屋大学のグループが開発したのが、厚い酸化膜の中にナノメートルサイズのシリコン結晶を組み合わせ、それを電子の通り道にする新しいタイプの保護膜です。電気抵抗を抑えられるので、電子を効率よく集められます。さらに厚みがあるので表面をしっかり保護できます。電子の収集と表面の保護という2つの課題を、同時に解決できたのですね。

このシリコン酸化膜は、多種多様な材料を積み重ねることにも適しています。例えば、抵コストで効率のよいタンデム型太陽電池を高性能化したり、シリコン集積回路にさまざまなデバイスを集積する技術など、太陽電池が主な電力源となる未来に貢献してくれそうです。

研究を行った後藤和泰 ごとうかずひろ助教は、新たな物質をつくる研究について、次のように話しています。

材料の特性は、あちらを立てればこちらが立たずということがよくあります。そのような制約を超える材料の着想を得て、頭の中で考えた材料を実際に実現できたときは材料開発のやりがいを感じます。

この研究について詳しくは、2022年1月31日のプレスリリースもご覧ください。

(文:髙山楓菜、丸山恵)

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◯関連リンク

・後藤助教が所属する宇佐美・黒川研究室(名古屋大学工学研究科)

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