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人の声が調味料に!?声を聞くとおいしく感じる不思議 【26】

今回は、一人で食べる食事についての研究をご紹介します。

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ひとり暮らしの私は一人でご飯を食べることが多く、このトピックに思わず目が止まってしまいましたが、みなさんも一人より他の人と食事をする方が楽しく、食が進むのを経験されていませんか? 実は、一人で食べるときでも、鏡を見ながら食べたり、誰かが食べている映像を見ながら食べたりすると、おいしく感じ、食が進むことが科学的にわかっています。

おいしく感じる決め手は映像なのか、音声なのか…。
名古屋大学情報学研究科のグループは、大学生を対象に実験を行いました。

新製品のポップコーンを、モニターを見ながら好きなだけ食べてもらうのですが、モニターには、「モノの映像」または「人の映像」が、「人の声ありバージョン」と「声なしバージョン」で映し出されます。

参加者は、どの条件でいちばんおいしく感じ、食べる量が増えたと思いますか?

①モノの映像+人の声
②モノの映像(声なし)
③人の映像+人の声
④人の映像(声なし)

結果は、①と③でした! つまり、映像の種類に関わらず「人の声ありバージョン」のとき、おいしく感じ、食が進みました。ちなみに、合成音声では効果はなかったそうです。誰かと食事している時のおいしさのポイントは相手の声だったのですね。

今、コロナ禍での会食制限や、核家族化で高齢者が一人で食事をするケースが増えていて、食事の場面での孤独を解決する方法が求められています。1人で食べる食事の質をいかに高められるかを示した今回の研究は、入院時など1人で食事しなくてはいけない人への応用も考えられます。今後は、声だけのオンライン会食の状況や、日常的に孤立している人でも同じ効果があるのかも検討していくそうです。

研究を行なった川合伸幸かわいのぶゆき教授からのコメントです。

「人類は何百万年にもわたる歴史で、一人で食事するようになったのは、つい数十年前のことです。人類はまだ一人の食事に慣れていないので、一人で食事をするときはラジオを聞くなど、擬似的な会食の環境にすることをお薦めします」

私は一人の食事が当たり前だったうえに、コロナ禍で誰かと一緒に食事をする機会も減ってしまったので、特に自分ごとに感じてしまいました。これからの日本、少子高齢化や核家族化の影響で、一人で食べる機会が増えていくと言われています。

そんな中で今回紹介したような研究は、ますます重要になっていくと思います。ラジオやポッドキャストは一人の食事の良いお供になるかもしれません!

詳しくは、2021年8月30日発表の名古屋大学研究プレスリリースもご覧ください!

制作協力:越川光こしかわひかる(名古屋大学経済学部4年)

ベーシック線

◯ 関連リンク

 ・比較認知科学研究室

 ・川合伸幸教授

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